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ルーヂン [19世紀ロシア文学]

 「ルーヂン」 ツルゲーネフ作 中村融 (岩波文庫)


 言葉だけは立派で天才的だが、実際は軽薄で中身のない男ルーヂンを描いた小説です。
 「ルージン」といえば、19世紀ロシアの知識人の典型として知られています。


ルーヂン (岩波文庫 赤 608-3)

ルーヂン (岩波文庫 赤 608-3)

  • 作者: ツルゲーネフ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1961/08/05
  • メディア: 文庫



 田舎の女地主ダーリヤの屋敷に、あるときルーヂンという一人の若者が現れました。
 彼のあふれんばかりの才気と情熱的な弁論は、居合わせた人びと全員を魅了しました。

 ダーリヤはルーヂンを天才だと思い込み、彼を引きとめ何かと相談を持ちかけました。
 やがてルーヂンは、ダーリヤの一人娘ナターリヤと良い仲になりましたが・・・

 ルーヂンはいかにしてボロを出すか? 数年後のルーヂンはどうなっているか?
 彼は、言葉だけは立派だが、意志が弱く度胸もない、ロシア知識人を象徴しています。

 「あの頃の僕は自分をすこし背負いすぎて、嘘があったよ・・・確かに当時の僕は自分
 が何を求めているかもよく分からずに、言葉に酔い、幻を信じていたのだ。」(P203)

 ルーヂンのこの告白は悲しい。彼は、いま流に言うところの「ざんねんな男」です。
 しかし、誰もが少なからず若い頃、ルーヂンのような時期を経ているのではないか。

 たとえば大学時代の飲み会における自分は、まるでルーヂンそのものでした。
 偉そうなことばかり言って、周りを煙に巻きながら、何も成し遂げていなかった!

 頭でっかちで役立たずのルーヂンは、私の若い頃を思い出させる愛すべき存在です。
 できれば、この本を大学時代に読んでおきたかったです。

 さいごに。(まずは走高跳から)

 陸上部に入った娘から、「どの種目が楽か」と、やる気のない質問がありました。
 本来なら「楽することを考えず、走る種目を選んで鍛えなさい。」と言うべきです。

 実際は「走高跳かな。練習しているふりだけすればいい。」と答えてしまいました。
 娘はこういうときだけは素直で、走高跳を始めました。しかし、どうなることやら。

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