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ドクトル・ジバゴ3 [20世紀ロシア文学]

 「ドクトル・ジバゴ(上)」 パステルナーク作 江川卓訳 (新潮文庫)


 革命期の混乱したロシアを舞台に、医師ジバゴとラーラの運命を描いた物語です。
 ソ連で発禁処分となり、ノーベル賞に選出されながらも、辞退させられました。

 新潮文庫から二分冊で出ていましたが、現在は絶版のため私は古本を買いました。
 訳はとても分かりやすい。カバーもカッコいいのでそのまま復刊してほしいです。


ドクトル・ジバゴ〈上巻〉 (新潮文庫)

ドクトル・ジバゴ〈上巻〉 (新潮文庫)

  • 作者: ボリス・パステルナーク
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/04
  • メディア: 文庫



ドクトル・ジバゴ〈下巻〉 (新潮文庫)

ドクトル・ジバゴ〈下巻〉 (新潮文庫)

  • 作者: ボリス・パステルナーク
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/04
  • メディア: 文庫



 パルチザン部隊を脱走したジバゴは、困難の末ラーラと久しぶりに再会しました。
 さらに危機が迫り、二人はワルイキノへ逃れ、ひとときのやすらぎを得ました。

 混乱の中でたまたま手に入れた幸せ。しかし、こんな生活が続くはずがありません。
 二人はつねに別れの予感を抱きながらも、お芝居のような生活を続けていました。

 突然コマロフスキーが訪問し、ある提案をしたところから、物語は急展開して・・・
 現実は二人をこのまま放っておくわけがなく、ジバゴは運命の決断を迫られて・・・

 ラーラを失ってからジバゴは、すっかり老け込んで、抜け殻のようになりました。
 人生で大切なのは愛です。ジバゴとラーラとの愛は、まったく特別なものでした。

 「それは世界との一体感、調和感であり、自分たち自身が風景のなかに溶けんこんで
 いて、美しい眺望の、全宇宙の一部になっているという感覚、実感であった」(P401)

 さて、ラーラの次の言葉が、とても印象に残っています。
 作者パステルナークが、もっとも言いたかったのは、こういうことなのではないか。

 「わたしたちは、自分が時代遅れの人間に見られたくないばっかりに、何よりも大
 切なものを裏切ったり、嫌でたまらないものを讃美したり、わけもわからないこと
 にうなずいたりしているんだわ」(P280)

 ところで、名画「ドクトル・ジバゴ」を、レンタルで借りて見ることができました。
 評判通りのすばらしい映画でした。映像も美しくて、見ていて飽きませんでした。

 それにしても、ジバゴは結局、自分のプライドに生きた人だったんだと思いました。
 彼はプライドを捨ててコマロフスキーを頼ることが、できませんでした。

 また、パーシャも結局、自分の信念と理想に生きた人だったんだと思いました。
 彼はあまりにも純粋すぎたため、ラーラへの愛よりも革命を優先してしまいました。

 この二人の男たちは、ラーラよりも、自分を優先したのです。
 その点、悪人のコマロフスキーの方が、ラーラのことを考えていたかもしれません。

 さいごに。(DVDレンタル)

 「ドクトル・ジバゴ」のDVDを、ツタヤで借りました。
 借りて来たその日に、妻に知られてしまったため、一緒に見ました。

 3時間30分と長いので、3日に分けて少しずつ見ました。
 それにしても、この長編映画をわずか108円で見られるとは、本当に良い時代です。


ドクトル・ジバゴ 特別版 [DVD]

ドクトル・ジバゴ 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



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