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ドクトル・ジバゴ2 [20世紀ロシア文学]

 「ドクトル・ジバゴ(上)」 パステルナーク作 江川卓訳 (新潮文庫)


 革命期の混乱したロシアを舞台に、医師ジバゴとラーラの運命を描いた物語です。
 ソ連で発禁処分となりましたが、国際的に評価されノーベル賞に選出されました。

 上巻については、すでに紹介しました。
 → https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-07-14


ドクトル・ジバゴ〈下巻〉 (新潮文庫)

ドクトル・ジバゴ〈下巻〉 (新潮文庫)

  • 作者: ボリス・パステルナーク
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/04
  • メディア: 文庫



 ロシア革命の混乱のさなか、ジバゴとラーラは図書館で運命的に再会しました。
 ジバゴには田舎に置いてきた妻がいて、ラーラには前線に赴いた夫がいました。

 しかし、この非常時に、二人の愛は燃え上がったのです。
 以後、ジバゴは妻のトーニャを欺いて、ラーラと会うようになります。

 トーニャは理想的な妻であり、ジバゴは彼女を、愛しながらも崇めています。
 にもかかわらず、ジバゴはラーラに惹かれてしまいます。男のサガの悲しさ!

 やがて、罪の意識にさいなまれたジバゴは、ラーラと別れる決心をしました。
 ところが、ラーラの家に向かう途中、彼はパルチザン隊に強制徴用されて・・・

 ジバゴはどうなるのか? ラーラは? 残された家族は?
 赤軍と白軍との無残な戦闘は、人びとを容赦なく疲弊させていき・・・

 この小説の上巻を読んだのは3年前で、下巻の最初で投げ出していました。
 ところが今読んでみると面白くて面白くて、なかなか本から離れられません。

 本にはその人だけの旬がある、と聞いたことがあります。
 この本は、私にとっての旬が来るまで、静かに待っていたのかもしれません。

 物語の展開以上に、ジバゴの目を通して語られる革命の様子が印象的でした。
 暴力、陰謀、処刑、狂気、殺戮・・・しかも、残虐な行為が賛美されています!

 「この温和で、罪のない、ゆったりとした生活の流れが、一転、血と号泣のただ
 なかに叩きこまれて、だれもがひとしなみの狂気と凶暴にとりつかれたように、
 時々刻々、休む間もない殺戮が繰り返され、それが法にかなった行為、賛美の対
 象になってしまった・・・」(P228)

 なるほど、こういう記述は、革命に批判的だとみなされるでしょう。
 ノーベル文学賞に選出されながら、当局に辞退させられたのは、本当に残念です。

 ところで、忘れられないエピソードがあります。兵士パルイフの悲劇です。
 家族を守れないかもしれないという恐怖から、家族4人を惨殺してしまい・・・

 この小説の主題は、ジバゴとラーラの愛を中心とした人間模様だと思います。
 しかし、作者が本当に書きたかったのは、こういう部分だったのではないか?

 映画「ドクトル・ジバゴ」は、名画中の名画です。
 以前、妻と一緒に見る約束をしましたが、ひとりきりのときにじっくり見たい。

 さいごに。(娘の方が遅くまで起きている)

 中学で初めてのテストが迫ってきたため、娘はテスト勉強をがんばっています。
 私が10時頃寝てしまうのに、娘は11時半頃まで勉強していることもあります。

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