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ポポル・ヴフ [古代文学]

 「マヤ神話 ポポル・ヴフ」 レシーノス著 林家永吉訳 (中公文庫)


 グアテマラのキチェ族に伝わっていたマヤの神話が、16世紀に記録されたものです。
 中公文庫版には、所々に美しい挿絵が入っています。新版はカラーの口絵入りです。


マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 文庫



 フン・フンアフブーとその弟に、地下の世界のシバルバーから、使者が来ました。
 二人はシバルバーで殺され、フン・フンアフブーの首は一本の木につるされました。

 すると一度も実らなかったその木に実が成りました。フンの首が実となったのです。
 そしてその実は、それを見に来たイシュキックという少女に、語りかけました。

 「この木にいっぱいなっている丸いものは、みなしゃれこうべなのだよ。」
 少女が差し出した左手に、しゃれこうべが唾を吐くと、少女は身ごもって・・・

 こうして生まれたのが、双子の英雄、フンアフブーとイシュバランケーです。
 二人がシバルバーで、父の仇を殺す場面は、ちょっと喜劇的で面白いです。

 この二人が、死んだり生き返ったりしている場面に、マヤ特有の死生観があります。
 次のような残酷な風習も、マヤ特有の死生観から生まれるものかもしれません。

 「トヒールは、彼の眼の前で、あらゆる部族の者たちの胸と腋の下を切り開き、心
 臓をひっぱり出して、供犠(いけにえ)にせよと言っていたのであった。」(P225)

 「捕まえてきた者は、トヒールとアヴォリシュの前ですぐ供犠にされた。
 そして彼らは、その血を道に撒き流し、首をひとつずつ道に並べた。」(P244)

 長い間口承されてきたマヤ神話「ポポル・ヴフ」は、1550年頃に文字化されました。
 スペインの宣教師からローマ字を学んだ誰かが、キチェ語で書き留めたようです。

 150年後にそれを発見した神父が、スペイン語訳したものの、埋もれてしまいました。
 紆余曲折があり、レシーノスがそれを再発見したのは、さらに250年後のことでした。

 現在「ポポル・ヴフ」を読めるのは、しかも文庫本で読めるのは、まさに奇跡です。
 原住民の神話の多くは、宗教に悪影響を及ぼすものとされ、焼き捨てられたからです。

 文庫本ではないけど、マヤとアステカに関するイラスト入りの興味深い本があります。
 芝崎みゆきの「古代マヤ・アステカ不可思議大全」「遺跡へっぴり紀行」の二冊です。 


古代マヤ・アステカ不可思議大全

古代マヤ・アステカ不可思議大全

  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅

マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅

  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 さいごに。(シャインマスカット)

 今人気のシャインマスカットを食べました。
 娘が、誕生日にはケーキよりもシャインマスカットを食べたいと言ったので。

 たしかにおいしかったです。それ以上に、粒が宝石のようにきれいでした。
 でも、値段は高すぎですよ。私はケーキのほうがよかったなあ。

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