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図説 金枝篇1 [哲学・歴史・芸術]

 「図説 金枝篇(上)」 J・G・フレーザー著 吉岡晶子訳 (講談社学術文庫)


 イタリアのネミの祭司が、殺される宿命にあったのはなぜかを、追求した著書です。
 全13巻の大著「金枝篇」を、図で補いながら、読みやすく編集した簡約版です。


図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)

図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/11
  • メディア: 文庫



 ネミの聖所には一本の樹があり、その枝は一本も折ってはならないとされていました。
 ただし、逃亡奴隷が一本折ったときには、祭司と一騎打ちをすることを許されました。

 戦いで相手の祭司を殺せば、逃亡奴隷は祭司に代わって「森の王」となるのです。
 運命を決するこの枝こそ、アイネイアスが冥界に旅立つときに手折った金枝なのです。

 ネミの祭司は、なぜ殺されなければならないのか?
 金枝を折ることには、どのような意味があるのか?

 これらの謎を解くため、フレーザーの推論が始まり、十三巻に及ぶ大著ができました。
 壮大さと難解さで知られるこの大著を、全て読むことはほとんど不可能でしょう。

 ここで紹介した「図説 金枝篇」は、分かりやすいので比較的すらすらと読めました。
 しかも原著の雰囲気や味わいはそのままです。フレーザーの入門者にはオススメです。

 最も面白かったのは、「聖なる結婚」で取り上げられている、いくつかの伝承です。
 神々と結婚することで、人間界に豊穣をもたらすことが約束されると言うのです。

 バビロニアの聖所には豪華な寝台があり、選ばれた乙女がそこに入って横たわり・・・
 その乙女は決して男と交われない代わりに、神の妃として皆から敬われ・・・

 ペルーのある先住民は、人型の石像を神とし、それを美しい乙女と結婚させ・・・
 その乙女は決して男と交われない代わりに、神として最高の敬意を払われ・・・

 そういえば、伊勢神宮に使える斎宮や、賀茂神社に使える斎院も、似ている例です。
 どちらも神々と結婚し、神々に仕え、引退後も生涯独身で過ごし・・・

 第三部「死にゆく神」に入ると、ネミの祭司の謎が、少しずつ明かされていきます。
 王を殺す習慣は、聖なる霊を、衰弱した体から活力ある後継者へ移すためだと言う。

 ディンカ族の雨乞い師は、自分が衰えたと感じたら、墓穴を掘って横たわり・・・
 インドの村の王は、12年経った後の祭で、自ら身体の部分を小刀で切り取り・・・

 フレーザー入門で、もうひとつのオススメは、ちくま文庫の「初版 金枝篇」です。
 全2巻にまとめられていて、しかも訳が比較的分かりやすいです。

 さいごに。(娘は今年も1m30)

 昨年、走高跳で大会デビューし、いきなり1m30をクリアして驚かせた我が娘。
 1年たって中2になった今も、記録は1m30のままでした。高跳びは難しい!

 しかし、それでも地区で8位でした。賞状をもらって、嬉しそうでした。
 しかも、県大会進出! 10月の県大会では、1m35を跳んでほしい・・・

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