どこに転がっていくの、林檎ちゃん [20世紀ドイツ文学]
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」 ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)
捕虜収容所での屈辱を晴らすため、全てを犠牲にして仇敵を追う男の、冒険物語です。
1928年に出てベストセラーとなった長編小説で、レオ・ペルッツの代表作です。
元陸軍少尉のヴィトーリンは、ロシアの捕虜収容所で受けた屈辱が忘れられません。
故国に戻ってすぐ、何もかも捨てて、捕虜収容所司令官セリュコフを追い始めます。
復讐を誓った仲間たちは、ウィーンの安逸な生活の中で、仇敵への恨みを忘れ・・・
唯一ともに出発したコホウトは、国境を越えることができず・・・
監獄に連行されたヴィトーリンは、そこで地下活動家アルテミエフと出会いました。
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん、お池に落ちてしまうわよ」・・・
この文章から、私は田中清代(きよ)の絵本、「トマトさん」をイメージしました。
トマトさんはコロコロ転がって・・・それから川に入って流されて・・・(笑)
しかしもちろん、ヴィトーリンの旅は、そんなのどかなものではありません。
途中、犠牲となった人々もいます。その中には、印象的な人物もいました。
前線地帯でチャンスを待つヴィトーリンは、あるとき熱病を患った男を助けました。
すると若きガガーリン伯爵は、命がけでヴィトーリンの前線突破を手伝った末・・・
ツァーリの元侍従ピストルコス男爵は、モスクワにひっそりと隠れ住んでいました。
ところが、あまりにも不幸な偶然によって、敵に自分の正体がバレてしまい・・・
そして、なんといっても印象的なのは、地下運動家のボス・アルテミエフです。
ヴィトーリンに便宜を与えながら、実に皮肉な展開によって破滅に追い込まれ・・・
あちこち世界を飛び回り、ようやく突き止めたセリュコフの居場所は、なんと!
多くの犠牲を払い、ようやくセリュコフと対面したヴィトーリンが、行ったことは?
「いつか戻ってきて復讐してやる! 確かに心安らぐ夢だった。最悪の時をやりす
ごさせてくれた。でもしょせんは病の一症状にすぎない。今になってもそれがわか
らないのかね」(P59)
最初、こんな言葉を吐いた教授を、裏切り者だと思いました。
しかし、あまりにも虚しい結末を読んだ今、教授は正しかったとさえ思います。
ところで、この本はタイトルとカバーイラストで、とても損をしていますよ。
せめてカバーイラストだけでも、ハードボイルドっぽくしてほしかったです。
さいごに。(幸せな死を迎えたのでは)
母から電話が来て、私が駆けつけたとき、すでに父の意識はありませんでした。
救急隊の方が、心臓マッサージをやってくれましたが、結局だめでした。
突然だった分、痛がる様子もなく、安らかな表情で亡くなりました。
苦しまず人に迷惑もかけず、幸せな死を迎えたことで、少し慰められています。
捕虜収容所での屈辱を晴らすため、全てを犠牲にして仇敵を追う男の、冒険物語です。
1928年に出てベストセラーとなった長編小説で、レオ・ペルッツの代表作です。
元陸軍少尉のヴィトーリンは、ロシアの捕虜収容所で受けた屈辱が忘れられません。
故国に戻ってすぐ、何もかも捨てて、捕虜収容所司令官セリュコフを追い始めます。
復讐を誓った仲間たちは、ウィーンの安逸な生活の中で、仇敵への恨みを忘れ・・・
唯一ともに出発したコホウトは、国境を越えることができず・・・
監獄に連行されたヴィトーリンは、そこで地下活動家アルテミエフと出会いました。
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん、お池に落ちてしまうわよ」・・・
この文章から、私は田中清代(きよ)の絵本、「トマトさん」をイメージしました。
トマトさんはコロコロ転がって・・・それから川に入って流されて・・・(笑)
しかしもちろん、ヴィトーリンの旅は、そんなのどかなものではありません。
途中、犠牲となった人々もいます。その中には、印象的な人物もいました。
前線地帯でチャンスを待つヴィトーリンは、あるとき熱病を患った男を助けました。
すると若きガガーリン伯爵は、命がけでヴィトーリンの前線突破を手伝った末・・・
ツァーリの元侍従ピストルコス男爵は、モスクワにひっそりと隠れ住んでいました。
ところが、あまりにも不幸な偶然によって、敵に自分の正体がバレてしまい・・・
そして、なんといっても印象的なのは、地下運動家のボス・アルテミエフです。
ヴィトーリンに便宜を与えながら、実に皮肉な展開によって破滅に追い込まれ・・・
あちこち世界を飛び回り、ようやく突き止めたセリュコフの居場所は、なんと!
多くの犠牲を払い、ようやくセリュコフと対面したヴィトーリンが、行ったことは?
「いつか戻ってきて復讐してやる! 確かに心安らぐ夢だった。最悪の時をやりす
ごさせてくれた。でもしょせんは病の一症状にすぎない。今になってもそれがわか
らないのかね」(P59)
最初、こんな言葉を吐いた教授を、裏切り者だと思いました。
しかし、あまりにも虚しい結末を読んだ今、教授は正しかったとさえ思います。
ところで、この本はタイトルとカバーイラストで、とても損をしていますよ。
せめてカバーイラストだけでも、ハードボイルドっぽくしてほしかったです。
さいごに。(幸せな死を迎えたのでは)
母から電話が来て、私が駆けつけたとき、すでに父の意識はありませんでした。
救急隊の方が、心臓マッサージをやってくれましたが、結局だめでした。
突然だった分、痛がる様子もなく、安らかな表情で亡くなりました。
苦しまず人に迷惑もかけず、幸せな死を迎えたことで、少し慰められています。
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