オン・ザ・ロード2 [20世紀アメリカ文学]
「オン・ザ・ロード」 ジャック・ケルアック作 青山南訳 (河出文庫)
何かを求めて、あるいは何かから逃げて、アメリカ中を巡った若者たちの物語です。
1957年に出てビートジェネレーションの聖典と呼ばれました。半世紀ぶりの新訳。
前回「オン・ザ・ロード」の第二部以降は読まないと宣言しましたが、方針転換。
映画を見たら続きを読みたくなり、結局、第二部から第五部まで読み切りました。
物語の第二部以降、ディーン(=ニール・キャサディ)の登場がぐっと増えました。
これをディーンの物語として読んだとき、第一部はただのイントロダクションです。
物語を通して、ディーンの無鉄砲は相変わらずです。彼は、完全に狂っています。
ディーンを、ある種の聖者と見なすか、ただのクズと断じるかは、微妙なところです。
しかし、そういうよく分からないミステリアスな面こそ、ディーンの魅力でしょう。
実は私も、映画のディーンの悪魔的な魅力に惹かれて、先を読むことにしたのです。
第二部ではニューヨークからサンフランシスコへ、第三部では逆にニューヨークへ。
第三部は一転、南下してメキシコへ。この間ほとんどディーンと一緒に走っています。
「神はなにも気にしちゃいないんだよ。おれたちはいまこうして走ってるが、すべて
はなるようになるとおれにははっきりわかってる・・・」(P192)
皆がディーンに惹かれるところは、彼の即興的で神がかり的な熱狂なのだと思います。
皆はおそらくディーンの中に、自分では決してつかめない神秘的なものを見たのです。
170キロのスピードで、他人のキャデラックを、何時間も飛ばしていくディーン・・・
思うに、皆が少しずつディーンから離れていくのもまた、神がかり的な熱狂ゆえです。
ディーンの生きざまは、「ジャズ的」と言っても良いかもしれません。
ディーンもジャズミュージシャン同様、「アレ」をつかまえようとしたのではないか。
「聴いているほうはヤアヤア言いながらノッてくる、そしたらそこで運命に任せて昇
っていくんだ。運命に負けないように吹いていく。すると、いきなりコーラスの真ん
中で、アレが現れるんだ—みんなが見上げ、納得する。耳を傾ける。あとはそのアレ
をつかまえて離さない。時間は止まる。」(P331)
サックス同様彼らの物語も、クライマックスに向かってどんどん加速していきます。
メキシコでの熱狂、狂乱、エクスタシー! ディーンのような連れがほしい!
ディーンことニール・キャサディは、1968年に42歳で亡くなりました。
メキシコの線路上で、裸で死んでいたというが、なぜか殉教した聖者を思わせます。
「とつぜんぼくは気づいた、ディーンは山のように罪を重ねたがために、馬鹿者に、
愚者に、仲間たちの聖者になったのだ、と。」(P310)
キャサディの死の翌年、1969年にケルアックもまた亡くなりました。
飲みすぎが原因だったようだが、キャサディのあとを追ったように思えてならない。
さいごに。(耳年齢チェック)
夏の人間ドックで、耳の聞こえが悪くなったと言われたので、気を付けています。
私は10000ヘルツが聞こえるときと聞こえないときがあります。耳年齢は60歳。
何かを求めて、あるいは何かから逃げて、アメリカ中を巡った若者たちの物語です。
1957年に出てビートジェネレーションの聖典と呼ばれました。半世紀ぶりの新訳。
前回「オン・ザ・ロード」の第二部以降は読まないと宣言しましたが、方針転換。
映画を見たら続きを読みたくなり、結局、第二部から第五部まで読み切りました。
物語の第二部以降、ディーン(=ニール・キャサディ)の登場がぐっと増えました。
これをディーンの物語として読んだとき、第一部はただのイントロダクションです。
物語を通して、ディーンの無鉄砲は相変わらずです。彼は、完全に狂っています。
ディーンを、ある種の聖者と見なすか、ただのクズと断じるかは、微妙なところです。
しかし、そういうよく分からないミステリアスな面こそ、ディーンの魅力でしょう。
実は私も、映画のディーンの悪魔的な魅力に惹かれて、先を読むことにしたのです。
第二部ではニューヨークからサンフランシスコへ、第三部では逆にニューヨークへ。
第三部は一転、南下してメキシコへ。この間ほとんどディーンと一緒に走っています。
「神はなにも気にしちゃいないんだよ。おれたちはいまこうして走ってるが、すべて
はなるようになるとおれにははっきりわかってる・・・」(P192)
皆がディーンに惹かれるところは、彼の即興的で神がかり的な熱狂なのだと思います。
皆はおそらくディーンの中に、自分では決してつかめない神秘的なものを見たのです。
170キロのスピードで、他人のキャデラックを、何時間も飛ばしていくディーン・・・
思うに、皆が少しずつディーンから離れていくのもまた、神がかり的な熱狂ゆえです。
ディーンの生きざまは、「ジャズ的」と言っても良いかもしれません。
ディーンもジャズミュージシャン同様、「アレ」をつかまえようとしたのではないか。
「聴いているほうはヤアヤア言いながらノッてくる、そしたらそこで運命に任せて昇
っていくんだ。運命に負けないように吹いていく。すると、いきなりコーラスの真ん
中で、アレが現れるんだ—みんなが見上げ、納得する。耳を傾ける。あとはそのアレ
をつかまえて離さない。時間は止まる。」(P331)
サックス同様彼らの物語も、クライマックスに向かってどんどん加速していきます。
メキシコでの熱狂、狂乱、エクスタシー! ディーンのような連れがほしい!
ディーンことニール・キャサディは、1968年に42歳で亡くなりました。
メキシコの線路上で、裸で死んでいたというが、なぜか殉教した聖者を思わせます。
「とつぜんぼくは気づいた、ディーンは山のように罪を重ねたがために、馬鹿者に、
愚者に、仲間たちの聖者になったのだ、と。」(P310)
キャサディの死の翌年、1969年にケルアックもまた亡くなりました。
飲みすぎが原因だったようだが、キャサディのあとを追ったように思えてならない。
さいごに。(耳年齢チェック)
夏の人間ドックで、耳の聞こえが悪くなったと言われたので、気を付けています。
私は10000ヘルツが聞こえるときと聞こえないときがあります。耳年齢は60歳。
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