オン・ザ・ロード [20世紀アメリカ文学]
「オン・ザ・ロード」 ジャック・ケルアック作 青山南訳 (河出文庫)
何かを求めて、あるいは何かから逃げて、アメリカ中を巡った若者たちの物語です。
1957年に出てビートジェネレーションの聖典と呼ばれました。半世紀ぶりの新訳。
若い作家のサル・パラダイスは、1947年、友人のディーンに会うため出発しました。
ヒッチハイクやバスで、サルは西へ進みます。いろんな仲間と出会い、別れながら。
ようやくデンヴァ―に着き、ディーンや仲間のカーロに再会してみると・・・
ディーンは最初の妻メリールウと新しい女カミールの二人と付き合っていて・・・
第一部は、ニューヨークからデンヴァー、サンフランシスコ、ロサンジェルスを通り、
横長の楕円形のコースをたどりながら、再びニューヨークに帰るまでを描いています。
特に前半は、ディーンを筆頭にろくでもない連中が、ろくでもないことをしています。
家族を見捨て、女を泣かせ、友人を裏切り・・・いったい、何が自由だ?!
全く共感できません。体だけ大人になったガキどもです。ただの現実逃避ではないか!
しかし、メキシコ娘のテリーと出会ってからは、急に物語が面白くなってきました。
テリーは夫から逃げてきた身ですが、主要な人物の中では、唯一まともな人間でした。
恵まれない境遇の中でも、なんとか状況を打開し、前に向かって進もうとしています。
テリーと娘とサルの3人、綿摘みを一日やって、わずか1ドル50セント受け取る日々。
サルが3人のことを神に祈る場面は感動的で、最後に別れる場面は本当に悲しかった。
「葡萄の列のあいだを歩いていった。おたがい十二歩進んでから振り返った、愛は決闘
だから。これが最後とばかりに見つめあった。」(P163)
ここは名場面でしょう。ビリー・ホリデイの「ラヴァー・マン」を聴きたくなります。
テリーはかけがえのない女。一緒にどこまでも逃れてゆくという選択肢はなかったか?
さて、「オン・ザ・ロード」は、第二部、第三部、第四部と続きます。
しかし、私は第一部だけでお腹いっぱいでした。その後の物語を読む気になれません。
第二部以降は、映画で見て良しとしました。アマゾンプライム動画は306円でした。
映画は紆余曲折の末、2012年に公開された作品。これが、意外と良かったのです。
映画の展開はとても速いです。テリーに会った直後には、もう綿摘みをしているし。
次の場面では別れているし。原作を読んでいないと、理解できないかもしれません。
しかし、サル役とディーン役はとってもかっこいいです。メリールウもかわいいです。
それから、カーロ・マルクスやブル・リーも、なかなか良い味を出していました。
ところで、カーロ・マルクスのモデルは、詩人のアレン・ギンズバーグだと言う!
さらに、ブル・リーのモデルは、問題作「裸のランチ」のウィリアム・バロウズ!
そしてディーンのモデルは、ヒッピーに大きな影響を与えた男、ニール・キャサディ。
彼は何も書かなかったが、多くの文学作品の中に登場し、伝説となったのだそうです。
これは、ケルアックの自伝映画である以上に、ニール・キャサディの映画でした。
多くの人が、伝説のニール・キャサディに逢いたくて、この映画を見たのではないか?
さいごに。(2月発売の気になる文庫本3冊)
「聊斎志異」蒲松齢著 廣野由美子訳(光文社古典新訳文庫)
→ いくつの作品が収録されているか、どの作品を選出しているのか、気になる。
「清張地獄八景」みうらじゅん(文春文庫)
→ 松本清張の大ファンのみうらによる案内本。読めば清張地獄に落ちる。買い。
「麦と兵隊・土と兵隊」火野葦平(角川文庫)
→ 火野葦平の代表作二つ。これらの名作が、今まで文庫で読めなかった。買い。
何かを求めて、あるいは何かから逃げて、アメリカ中を巡った若者たちの物語です。
1957年に出てビートジェネレーションの聖典と呼ばれました。半世紀ぶりの新訳。
若い作家のサル・パラダイスは、1947年、友人のディーンに会うため出発しました。
ヒッチハイクやバスで、サルは西へ進みます。いろんな仲間と出会い、別れながら。
ようやくデンヴァ―に着き、ディーンや仲間のカーロに再会してみると・・・
ディーンは最初の妻メリールウと新しい女カミールの二人と付き合っていて・・・
第一部は、ニューヨークからデンヴァー、サンフランシスコ、ロサンジェルスを通り、
横長の楕円形のコースをたどりながら、再びニューヨークに帰るまでを描いています。
特に前半は、ディーンを筆頭にろくでもない連中が、ろくでもないことをしています。
家族を見捨て、女を泣かせ、友人を裏切り・・・いったい、何が自由だ?!
全く共感できません。体だけ大人になったガキどもです。ただの現実逃避ではないか!
しかし、メキシコ娘のテリーと出会ってからは、急に物語が面白くなってきました。
テリーは夫から逃げてきた身ですが、主要な人物の中では、唯一まともな人間でした。
恵まれない境遇の中でも、なんとか状況を打開し、前に向かって進もうとしています。
テリーと娘とサルの3人、綿摘みを一日やって、わずか1ドル50セント受け取る日々。
サルが3人のことを神に祈る場面は感動的で、最後に別れる場面は本当に悲しかった。
「葡萄の列のあいだを歩いていった。おたがい十二歩進んでから振り返った、愛は決闘
だから。これが最後とばかりに見つめあった。」(P163)
ここは名場面でしょう。ビリー・ホリデイの「ラヴァー・マン」を聴きたくなります。
テリーはかけがえのない女。一緒にどこまでも逃れてゆくという選択肢はなかったか?
さて、「オン・ザ・ロード」は、第二部、第三部、第四部と続きます。
しかし、私は第一部だけでお腹いっぱいでした。その後の物語を読む気になれません。
第二部以降は、映画で見て良しとしました。アマゾンプライム動画は306円でした。
映画は紆余曲折の末、2012年に公開された作品。これが、意外と良かったのです。
映画の展開はとても速いです。テリーに会った直後には、もう綿摘みをしているし。
次の場面では別れているし。原作を読んでいないと、理解できないかもしれません。
しかし、サル役とディーン役はとってもかっこいいです。メリールウもかわいいです。
それから、カーロ・マルクスやブル・リーも、なかなか良い味を出していました。
ところで、カーロ・マルクスのモデルは、詩人のアレン・ギンズバーグだと言う!
さらに、ブル・リーのモデルは、問題作「裸のランチ」のウィリアム・バロウズ!
そしてディーンのモデルは、ヒッピーに大きな影響を与えた男、ニール・キャサディ。
彼は何も書かなかったが、多くの文学作品の中に登場し、伝説となったのだそうです。
これは、ケルアックの自伝映画である以上に、ニール・キャサディの映画でした。
多くの人が、伝説のニール・キャサディに逢いたくて、この映画を見たのではないか?
さいごに。(2月発売の気になる文庫本3冊)
「聊斎志異」蒲松齢著 廣野由美子訳(光文社古典新訳文庫)
→ いくつの作品が収録されているか、どの作品を選出しているのか、気になる。
「清張地獄八景」みうらじゅん(文春文庫)
→ 松本清張の大ファンのみうらによる案内本。読めば清張地獄に落ちる。買い。
「麦と兵隊・土と兵隊」火野葦平(角川文庫)
→ 火野葦平の代表作二つ。これらの名作が、今まで文庫で読めなかった。買い。
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