ロング・グッドバイ [20世紀アメリカ文学]
「ロング・グッドバイ」レイモンド・チャンドラー作 村上春樹訳(ハヤカワ文庫)
妻殺しの容疑者として自殺した親友と探偵マーロウとの、友情と陰謀の物語です。
マーロウ・シリーズの第6弾で、チャンドラーの代表作として知られた作品です。
マーロウは、髪が白く片面に傷を持つ青年、テリー・レノックスと知り合いました。
彼はひどく酔いながらも礼儀正しく、心の琴線に触れるようなところがありました。
ある朝、突然レノックスが訪ねてきて、メキシコまで送ってほしいと言いました。
「ひどい面倒に巻き込まれた」と言う彼を車に乗せ、ティファナ空港に送りました。
深夜に家に戻ると警官が待っていて、マーロウはそのまま留置場に入れられました。
レノックスは妻殺しの容疑者となっていましたが、マーロウは彼を信じていました。
やがてレノックスはメキシコで、罪を認める一文を書き残し、拳銃で自殺しました。
釈然としないマーロウですが、この件から手を引くよう、方々から釘を刺されます。
その後、人気作家ロジャー・ウェイドの妻から、夫を探してほしいと依頼され・・・
今度はウェイドが死体で発見されますが、そこにはいくつか妙な点があって・・・
レノックスは本当に妻を殺したのか? 殺していないのなら、なぜ自殺したのか?
ウェイドは本当に自殺したのか? 自殺でないのなら、誰が彼を殺したのか?
さすが、チャンドラーの最高傑作です。物語の展開がすばらしい。
しかし、それ以上に魅力的なのは、作品全体を覆う感傷的な味わいです。
時流に流されることなく、信念を貫くマーロウは、明らかに時代遅れの人物です。
彼は、自分自身に納得するためなら、たとえ金にならなくても全力を尽くします。
しかし、そういう気骨や誠実さは周囲からは浮いて、時に滑稽で、時に悲しい。
それでもとことん我が道を進むマーロウ。その姿に感傷的な味わいがあるのです。
私は特に1章~4章の、マーロウとレノックスの二人が知り合う場面が好きです。
この場面は文章も良い。まるでフィッツジェラルドの小説を読んでいるようです。
と思ったら、実際に「グレート・ギャツビー」を下敷きに書いたようなのです。
訳者あとがきに書いてありました。レノックスとギャツビーの境遇も似ています。
さて、最後の53章は名場面です。
最初に読んだときも印象に残りましたが、村上春樹訳では鳥肌が立ちました。
「さよならは言いたくない。さよならは、まだ心が通い合っていたときにすでに
口にした。それは哀しく、孤独で、さきのないさよならだった」(P592)
そして最後まで読み終わったとき、もう一度最初の部分を読み返したくなります。
結末まで読んだ後の1~4章は、涙なしには読めません。何度でも読み返したい。
さて、この作品は1973年に映画化される際、大きなアレンジが加えられました。
そこではマーロウを、時代遅れの人物として強調していると言う。気になります。
さいごに。(コメダではだめだった)
マイナポイントをAUペイでもらったので、なるべくAUペイで買い物してます。
コンビニや杏林堂やユニクロ、また、書店では丸善ジュンク堂が使えるようです。
コメダでも使えることになっていたので行ったのですが、スマホのQR決済のみ。
ガラケーにこだわる私は、使えませんでした。私もまた、時代遅れの人間です。
妻殺しの容疑者として自殺した親友と探偵マーロウとの、友情と陰謀の物語です。
マーロウ・シリーズの第6弾で、チャンドラーの代表作として知られた作品です。
ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/09/09
- メディア: 文庫
マーロウは、髪が白く片面に傷を持つ青年、テリー・レノックスと知り合いました。
彼はひどく酔いながらも礼儀正しく、心の琴線に触れるようなところがありました。
ある朝、突然レノックスが訪ねてきて、メキシコまで送ってほしいと言いました。
「ひどい面倒に巻き込まれた」と言う彼を車に乗せ、ティファナ空港に送りました。
深夜に家に戻ると警官が待っていて、マーロウはそのまま留置場に入れられました。
レノックスは妻殺しの容疑者となっていましたが、マーロウは彼を信じていました。
やがてレノックスはメキシコで、罪を認める一文を書き残し、拳銃で自殺しました。
釈然としないマーロウですが、この件から手を引くよう、方々から釘を刺されます。
その後、人気作家ロジャー・ウェイドの妻から、夫を探してほしいと依頼され・・・
今度はウェイドが死体で発見されますが、そこにはいくつか妙な点があって・・・
レノックスは本当に妻を殺したのか? 殺していないのなら、なぜ自殺したのか?
ウェイドは本当に自殺したのか? 自殺でないのなら、誰が彼を殺したのか?
さすが、チャンドラーの最高傑作です。物語の展開がすばらしい。
しかし、それ以上に魅力的なのは、作品全体を覆う感傷的な味わいです。
時流に流されることなく、信念を貫くマーロウは、明らかに時代遅れの人物です。
彼は、自分自身に納得するためなら、たとえ金にならなくても全力を尽くします。
しかし、そういう気骨や誠実さは周囲からは浮いて、時に滑稽で、時に悲しい。
それでもとことん我が道を進むマーロウ。その姿に感傷的な味わいがあるのです。
私は特に1章~4章の、マーロウとレノックスの二人が知り合う場面が好きです。
この場面は文章も良い。まるでフィッツジェラルドの小説を読んでいるようです。
と思ったら、実際に「グレート・ギャツビー」を下敷きに書いたようなのです。
訳者あとがきに書いてありました。レノックスとギャツビーの境遇も似ています。
さて、最後の53章は名場面です。
最初に読んだときも印象に残りましたが、村上春樹訳では鳥肌が立ちました。
「さよならは言いたくない。さよならは、まだ心が通い合っていたときにすでに
口にした。それは哀しく、孤独で、さきのないさよならだった」(P592)
そして最後まで読み終わったとき、もう一度最初の部分を読み返したくなります。
結末まで読んだ後の1~4章は、涙なしには読めません。何度でも読み返したい。
さて、この作品は1973年に映画化される際、大きなアレンジが加えられました。
そこではマーロウを、時代遅れの人物として強調していると言う。気になります。
さいごに。(コメダではだめだった)
マイナポイントをAUペイでもらったので、なるべくAUペイで買い物してます。
コンビニや杏林堂やユニクロ、また、書店では丸善ジュンク堂が使えるようです。
コメダでも使えることになっていたので行ったのですが、スマホのQR決済のみ。
ガラケーにこだわる私は、使えませんでした。私もまた、時代遅れの人間です。
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