大地(一) [20世紀アメリカ文学]
「大地1」 パール・バック作 小野寺健訳 (岩波文庫)
大地に根ざして真面目に生き、大地主にのし上がっていく夫婦を描いた物語です。
1931年の作品です。第4巻まで続編が出ました。作者はノーベル文学賞作家です。
主人公の王龍(ワン・ルン)は、貧農の息子で、父親と二人で暮らしていました。
嫁に来てくれる女がいないため、富豪から女奴隷をもらい受けることにしました。
新妻の名前は阿蘭(オラン)です。美しくはないが正直な顔で、無口な女でした。
阿蘭は体が丈夫で、台所でも畑でもよく働きました。やがて息子が生まれました。
労働と倹約で蓄えた銀貨で、かつて妻が仕えていた富豪から、土地を買いました。
土地も銀貨も子供も増えていき、王龍の家は興隆に向かっていきました。
ところが飢饉が来ると食うものが無く、土を水でといて食うようになり・・・
一家は南の町へ渡って一から出直し、妻子は乞食をして小銭を稼ぎ・・・
王龍一家は、いかにして再び土地に帰ってくるのか?
彼はいかにして地主にのし上がり、いかにして堕落しいくのか?
まじめで働き者だが気弱なところのある王龍。大人しいが芯のしっかりした阿蘭。
頑固で単純な老父。怠け者で悪党の叔父。苦労を知らない子供たち・・・
それぞれの人物がはっきり描かれています。善人も悪人もとても魅力があります。
中でもこの小説を輝かせているのは、妻の阿蘭でしょう。彼女こそ陰の主役です。
10歳で奴隷として売られ、人一倍苦労をしてきた阿蘭は、どんな仕事もこなします。
王龍に運が向いてきたのは、阿蘭のおかげです。しかも彼女はここ一番に強い。
暴漢たちを追い出したのは阿蘭でした。土地を売らない決断をしたのも阿蘭でした。
南へ行く決断を促したのも阿蘭でした。土地の代金に充てたのは阿蘭の宝石でした。
王龍は阿蘭を優れた妻と思いながらも、その価値に気付いていなかったようです。
妻のありがたみを本当に理解したのは、阿蘭が死んでしまったときでした。
「あの土地には幸せだったおれの前半生が、いやそれ以上のものが葬られたのだ。
おれの半分はあそこに葬られたようなものだ。これからはおれの家でも、いままで
とはちがう生活がはじまる」(P349)
思い返すと、王龍が阿蘭を大事にしていたときは、不運が襲っても立ち直れました。
王龍が阿蘭をないがしろにしたとき、彼の堕落は始まり、悪い方向に進みました。
阿蘭を「あげまん」と呼ぶには軽々しい。私には、「地母神」のように思えます。
女流作家パール・バックは、阿蘭を「大地」の象徴として描いたのではないか?
さて、この作品が好評だったため、のちに続編が出ました。
第二巻「息子たち」では、その息子たちの代を扱っています。気になります!
さいごに。(日本選手権10000メートル)
日本選手権の10000メートルを見に行きました。ライブはやはり迫力があります。
400mトラックを25周! それが、あっという間でした。
女子は広中と安藤の一騎打ちで、1位の広中も2位の安藤も五輪標準突破!
男子は伊藤が優勝して代表内定。すばらしいレースで、感動しました。
大地に根ざして真面目に生き、大地主にのし上がっていく夫婦を描いた物語です。
1931年の作品です。第4巻まで続編が出ました。作者はノーベル文学賞作家です。
主人公の王龍(ワン・ルン)は、貧農の息子で、父親と二人で暮らしていました。
嫁に来てくれる女がいないため、富豪から女奴隷をもらい受けることにしました。
新妻の名前は阿蘭(オラン)です。美しくはないが正直な顔で、無口な女でした。
阿蘭は体が丈夫で、台所でも畑でもよく働きました。やがて息子が生まれました。
労働と倹約で蓄えた銀貨で、かつて妻が仕えていた富豪から、土地を買いました。
土地も銀貨も子供も増えていき、王龍の家は興隆に向かっていきました。
ところが飢饉が来ると食うものが無く、土を水でといて食うようになり・・・
一家は南の町へ渡って一から出直し、妻子は乞食をして小銭を稼ぎ・・・
王龍一家は、いかにして再び土地に帰ってくるのか?
彼はいかにして地主にのし上がり、いかにして堕落しいくのか?
まじめで働き者だが気弱なところのある王龍。大人しいが芯のしっかりした阿蘭。
頑固で単純な老父。怠け者で悪党の叔父。苦労を知らない子供たち・・・
それぞれの人物がはっきり描かれています。善人も悪人もとても魅力があります。
中でもこの小説を輝かせているのは、妻の阿蘭でしょう。彼女こそ陰の主役です。
10歳で奴隷として売られ、人一倍苦労をしてきた阿蘭は、どんな仕事もこなします。
王龍に運が向いてきたのは、阿蘭のおかげです。しかも彼女はここ一番に強い。
暴漢たちを追い出したのは阿蘭でした。土地を売らない決断をしたのも阿蘭でした。
南へ行く決断を促したのも阿蘭でした。土地の代金に充てたのは阿蘭の宝石でした。
王龍は阿蘭を優れた妻と思いながらも、その価値に気付いていなかったようです。
妻のありがたみを本当に理解したのは、阿蘭が死んでしまったときでした。
「あの土地には幸せだったおれの前半生が、いやそれ以上のものが葬られたのだ。
おれの半分はあそこに葬られたようなものだ。これからはおれの家でも、いままで
とはちがう生活がはじまる」(P349)
思い返すと、王龍が阿蘭を大事にしていたときは、不運が襲っても立ち直れました。
王龍が阿蘭をないがしろにしたとき、彼の堕落は始まり、悪い方向に進みました。
阿蘭を「あげまん」と呼ぶには軽々しい。私には、「地母神」のように思えます。
女流作家パール・バックは、阿蘭を「大地」の象徴として描いたのではないか?
さて、この作品が好評だったため、のちに続編が出ました。
第二巻「息子たち」では、その息子たちの代を扱っています。気になります!
さいごに。(日本選手権10000メートル)
日本選手権の10000メートルを見に行きました。ライブはやはり迫力があります。
400mトラックを25周! それが、あっという間でした。
女子は広中と安藤の一騎打ちで、1位の広中も2位の安藤も五輪標準突破!
男子は伊藤が優勝して代表内定。すばらしいレースで、感動しました。
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