千の顔を持つ英雄 [哲学・歴史・芸術]
「千の顔を持つ英雄(新訳版) 上下」 ジョーゼフ・キャンベル著
倉田真木・斎藤静代・関根光宏訳 (ハヤカワ文庫)
著者が収集した膨大な神話を分析し、英雄物語に共通する構造をまとめた名著です。
ジョージ・ルーカスが「スターウォーズ」を創るときに参考にしたことで有名です。
「スターウォーズ フォースの覚醒」上映の2015年に、ハヤカワ文庫から出ました。
新訳ですが、読みにくかったです。神話や聖書などの予備知識がないと難しいです。
キャンベルは多くの神話や伝説や民話を提示して、その意味を解き明かしています。
そして、時代や場所によって千変万化する物語に、普遍性があることを指摘します。
内容はさまざまですが、すべて一人の英雄物語のバリエーションのように見えます。
あたかも、ひとりの「英雄」が「千の顔」を持っているかのようなのです。
「英雄の神話的冒険がたどる標準的な道は、通過儀礼が示す定型——分離、イニシエ
ーション、帰還——を拡大したものであり、モノミス(神話の原形)の核を成す単位
といってもいいだろう。」(P54)
「分離 → イニシエーション → 帰還」という道筋は、著者のもっとも有名な概念です。
そして、①分離 ②イニシエーション ③帰還 の内容を、さらに詳しく述べています。
①分離(出立)・・・日常の世界から、自然を超越した不思議の領域へ冒険に出る。
・冒険への招集(特別な存在から使命がもたらされる)
・招集拒否(使命を拒む場合もある)
・自然を超越した力の助け(特別な存在から思いがけない支援を受ける)
・最初の境界を越える(境界を守るものと対決し異界へ入る)
・クジラの腹の中(魔の領域に入り一度消滅したり死んだ状態となったりする)
②イニシエーション・・・途方もない力と出会い、決定的な勝利を得る。
・試練の道(いくつもの試練が降りかかる)
・女神との遭遇(ふいに女神に遭遇して力を回復する)
・誘惑する女(汚らわしい誘惑者に出会うこともある)
・父親との一体化(父親と完全に同じ力を得たことに気付く)
・神格化(自分自身の中に神が存在することに気付く)
・究極の恵み(すべてを回復させる力を得る)
③帰還・・・仲間に恵みをもたらす力を手に、冒険から戻って来る。
・帰還の拒絶(もとの世界に戻らずに隠遁してしまうこともある)
・魔術による逃走(もとの世界に戻るため魔術を使う)
・外からの救出(ふいに救いの手が差しのべられる)
・帰還の境界越え(境界を越えてもとの世界に戻る)
・二つの世界の導師(帰還したときにすべての化身の正体が分かる)
・生きる自由(もとの世界に活気が満ちる)
本書の特徴は、とても多くの神話・伝承・おとぎ話などが引用されていることです。
この引用の多さが、良い点でもあり悪い点でもあると、私は思いました。
良い点は、多くの物語を知ることができ、多くの解釈を味わうことができる点です。
一方悪い点は、引用が多くてごちゃごちゃし、著者の主張が分からなくなる点です。
正直に言って私は、次から次に引用される話に、時々ついていけませんでした。
この引用から何を証明したいのか? また、何を言いたかったのか? ん?・・・
さらに、聖書やギリシア神話について予備知識がないと、理解するのに苦しみます。
そういう意味で、本書はやや難解な著書であり、読む人を選ぶのかもしれません。
実は本書は二部構成で、下巻には第二部「宇宙創成の円環」も収録されています。
しかし私は、第一部だけで「ごちそうさま」状態なので、第二部を読んでいません。
さいごに。(どれを取るか)
娘の好きなジャニーズのグループが、新曲を出すのだそうです。CDで3種類も。
「初回限定盤1」「初回限定盤2」「通常盤」と、それぞれ内容が微妙に違います。
こういう場合、妻は迷わず3つ買いますが、娘のお小遣いでは、そうはいきません。
娘はどれを買うか、迷いに迷っています。もう、こういう売り方はやめてくれ!
倉田真木・斎藤静代・関根光宏訳 (ハヤカワ文庫)
著者が収集した膨大な神話を分析し、英雄物語に共通する構造をまとめた名著です。
ジョージ・ルーカスが「スターウォーズ」を創るときに参考にしたことで有名です。
「スターウォーズ フォースの覚醒」上映の2015年に、ハヤカワ文庫から出ました。
新訳ですが、読みにくかったです。神話や聖書などの予備知識がないと難しいです。
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 文庫
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: ペーパーバック
キャンベルは多くの神話や伝説や民話を提示して、その意味を解き明かしています。
そして、時代や場所によって千変万化する物語に、普遍性があることを指摘します。
内容はさまざまですが、すべて一人の英雄物語のバリエーションのように見えます。
あたかも、ひとりの「英雄」が「千の顔」を持っているかのようなのです。
「英雄の神話的冒険がたどる標準的な道は、通過儀礼が示す定型——分離、イニシエ
ーション、帰還——を拡大したものであり、モノミス(神話の原形)の核を成す単位
といってもいいだろう。」(P54)
「分離 → イニシエーション → 帰還」という道筋は、著者のもっとも有名な概念です。
そして、①分離 ②イニシエーション ③帰還 の内容を、さらに詳しく述べています。
①分離(出立)・・・日常の世界から、自然を超越した不思議の領域へ冒険に出る。
・冒険への招集(特別な存在から使命がもたらされる)
・招集拒否(使命を拒む場合もある)
・自然を超越した力の助け(特別な存在から思いがけない支援を受ける)
・最初の境界を越える(境界を守るものと対決し異界へ入る)
・クジラの腹の中(魔の領域に入り一度消滅したり死んだ状態となったりする)
②イニシエーション・・・途方もない力と出会い、決定的な勝利を得る。
・試練の道(いくつもの試練が降りかかる)
・女神との遭遇(ふいに女神に遭遇して力を回復する)
・誘惑する女(汚らわしい誘惑者に出会うこともある)
・父親との一体化(父親と完全に同じ力を得たことに気付く)
・神格化(自分自身の中に神が存在することに気付く)
・究極の恵み(すべてを回復させる力を得る)
③帰還・・・仲間に恵みをもたらす力を手に、冒険から戻って来る。
・帰還の拒絶(もとの世界に戻らずに隠遁してしまうこともある)
・魔術による逃走(もとの世界に戻るため魔術を使う)
・外からの救出(ふいに救いの手が差しのべられる)
・帰還の境界越え(境界を越えてもとの世界に戻る)
・二つの世界の導師(帰還したときにすべての化身の正体が分かる)
・生きる自由(もとの世界に活気が満ちる)
本書の特徴は、とても多くの神話・伝承・おとぎ話などが引用されていることです。
この引用の多さが、良い点でもあり悪い点でもあると、私は思いました。
良い点は、多くの物語を知ることができ、多くの解釈を味わうことができる点です。
一方悪い点は、引用が多くてごちゃごちゃし、著者の主張が分からなくなる点です。
正直に言って私は、次から次に引用される話に、時々ついていけませんでした。
この引用から何を証明したいのか? また、何を言いたかったのか? ん?・・・
さらに、聖書やギリシア神話について予備知識がないと、理解するのに苦しみます。
そういう意味で、本書はやや難解な著書であり、読む人を選ぶのかもしれません。
実は本書は二部構成で、下巻には第二部「宇宙創成の円環」も収録されています。
しかし私は、第一部だけで「ごちそうさま」状態なので、第二部を読んでいません。
さいごに。(どれを取るか)
娘の好きなジャニーズのグループが、新曲を出すのだそうです。CDで3種類も。
「初回限定盤1」「初回限定盤2」「通常盤」と、それぞれ内容が微妙に違います。
こういう場合、妻は迷わず3つ買いますが、娘のお小遣いでは、そうはいきません。
娘はどれを買うか、迷いに迷っています。もう、こういう売り方はやめてくれ!
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