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エデンの東 第一部 [20世紀アメリカ文学]

 「エデンの東 1」 ジョン・スタインベック作 土屋雅雄訳 (ハヤカワepi文庫)


 トラスク家とハミルトン家の人びとの、三代にわたる愛憎を描いた長編小説です。
 人間がこの世に生きる意味を問う、という構想で書かれた、集大成的な作品です。


エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫)

エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/01/24
  • メディア: 文庫



 「第一部」は、父サイラス・トラスクと、主人公アダム・トラスクの物語です。
 父サイラスは、南北戦争で一兵卒として戦い、右足の膝から下を失いました。

 帰郷したとき、アダムはまだ0歳。妻を失ったので、第二の妻をめとりました。
 すぐにチャールズが生まれて、アダムと異母弟チャールズは一緒に育ちました。

 青年となったアダムは優しい性格でしたが、父の命令によって軍隊に入りました。
 アダムは昔から父が好きではありません。しかし父はアダムを愛していたのです。

 チャールズは父に似て腕力がありましたが、家に残って農場経営に携わりました。
 チャールズは父が好きでしたが、父に愛されていないことをよく知っていました。

 だからこの異母兄弟は親密でありながらも、どこかぎくしゃくしています。
 特にチャールズは、兄アダムを慕いながらも、時に嫉妬を爆発させます。

 アダムは結局10年にわたって軍務に就き、その後3年間各地を放浪し続けました。
 その間チャールズは、農場経営に邁進して、農場をとても立派なものとしました。

 一方父サイラスは、いつのまにか北軍の陸海軍人会の重要人物となっていました。
 そして父が死んだとき、アダムとチャールズには、莫大な財産が残されたのです。

 アダムが37歳のとき、家の前で重傷の美女が倒れていました。キャシーです。
 チャールズの反対を押し切り、アダムはキャシーと結婚して、家を出て・・・

 第一部で最も興味深かったのは、父サイラスの後半生です。
 アクの強いこの男は、一歩まちがえばただのホラ吹きにすぎません。

 ところが、そのオタク的知識とずうずうしさゆえに、重要な地位を確保しました。
 しかもちゃんと、息子に財産を残しました。出所の分からない大金で・・・

 P54以降、サイラスがアダムと散歩しながら語り合う場面は、味わいがありました。
 サイラスはサイラスなりに、アダムに対して愛情を持っていたことが分かります。

 それから、なんといってもキャシーですよ。こういう毒婦が物語を面白くします。
 チャールズを懐柔するために、彼女はどのような手段をとったか?!・・・

 しかし、第一部では、まだまだキャシーは本領を発揮していません。
 第二部はいかに? とても楽しみです。

 さて、解説によるとこの小説は、聖書の「カインとアベル」をもとにしています。
 「カイン」が、神に愛されている「アベル」を殺して、追放される物語です。

 タイトルの「エデンの東」とは、「カイン」が追放された土地のことだそうです。
 そしてこの小説は、「カイン」の物語の新しい解釈となっていると言います。

 そして「カインとアベル」の父は「アダム」です。「アダムとイヴ」の「アダム」。
 だから小説のアダムも、「カインとアベル」の父として描かれているはずです。

 それならば当然、アダムの妻キャシーは、聖書の「イヴ」にあたることになります。
 そしてふたりが向かったカリフォルニアは、楽園を連想させますが・・・

 ところがアダムは、異母弟のチャールズから、半殺しの目にあわされます。
 ここは、「アベル」が「カイン」に殺される場面を連想させますが・・・

 そういえば、チャールズの額には痣ができました。
 キャシーの額にも傷痕がありました。これは、罪びとの印なのか・・・

 というように、象徴的意味を考えていくと、次から次に解釈が現れてきます。
 そういう意味で、研究対象としても面白い作品なのだそうです。

 さいごに。(使えないものは契約できない仕組みにしてほしい)

 私は、IIJmioのオプションで、ウィルスバスター・モバイル版に入っていました。
 私のSurface3は、月額250円でウィルスから守られていると、思い込んでいました。

 ところが、タブレットにモバイル版は入らず、今まで利用できていなかったのです。
 もったいない! 2年間払い続けていたお金は、まったくの無駄だったのです。

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