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オンブレ [20世紀アメリカ文学]

 「オンブレ」 エルモア・レナード作 村上春樹訳 (新潮文庫)


 「オンブレ(男)」と呼ばれた男が、強盗団たちと対決する姿を描いた物語です。
 「太陽の中の決闘」の題で映画化されました。新潮文庫版は、村上春樹の新訳です。


オンブレ (新潮文庫)

オンブレ (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/27
  • メディア: 文庫



 「私」はボスのメンデスから、「ラッセルをよく見ておくんだぞ」と言われました。
 「この先の人生で、あんな男にはまずお目にかかれないからな」と。

 ジョン・ラッセルは、アパッチ族と長い間一緒に暮らしてきた白人です。
 彼は時々「オンブレ」と呼ばれました。それはスペイン語で「男」という意味です。

 8月のある日、臨時の駅馬車が運行されました。馭者はボスのメンデスです。
 乗員は「私」ほか、ラッセル、フェーヴァー夫妻、マクラレン嬢、ブレイデンの5人。

 そして、駅馬車がしばらく進んだところで、突然強盗団に襲われました。
 驚くことに、同乗していたブライデンも、強盗団の一味だったのです。

 彼らの狙いは、フェ―ヴァ―が持っていた12000ドルもの大金でした。
 それは、インディアンに支給される肉を、横流しすることで作ったカネだったのです。

 ラッセルが機敏に反応したためカネも水も取られず、彼らは逃げる時間を稼ぎました。
 しかしフェ―ヴァー夫人は人質に取られ、強盗団に執拗に追いかけられて・・・

 タイトル「オンブレ」には、「男の中の男」という意味があるようです。
 そして、作者が本当に書きたかったのは、あくまでラッセルという男の生きざまです。

 「そして彼は、なされるべきだと思ったことをそのまま実行した。たとえそれが自ら
 の死を意味するとしてもだ。彼という人間を理解する必要など、あるいはないのかも
 しれない。彼という人間は、ただそのままを受け入れるしかないのだ。」(P261)

 ホンモノの男はいかに行動するか? という問いに答えてくれる作品です。
 かっこいいです。ポール・ニューマン主演の映画も見てみたくなりました。 
 
 さて、この本には短編「三時十分発ユマ行き」も収録されています。
 こちらも2007年に映画化されたようです。短いながら印象的な作品でした。

 この二昨は西部劇小説でしたが、レナードには犯罪小説の傑作が多いです。
 かつては文庫でたくさん出ていましたが、現在読める作品はほとんど無いようです。

 さいごに。(ワクチン、2回目接種)

 先日、仕事の合間を縫って、2回目のワクチンを接種しました。
 翌日は、熱が出たら休もうかと思って、少し楽しみにしていましたが・・・

 まったく大丈夫でした。ちょっと残念。若い人ほど熱が出やすいと聞いていたので。
 私より一つ上の同僚は、昨夜熱が38度以上に上がったと、自慢げに言っていました。

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