SSブログ

旧約聖書を知っていますか [古代文学]

 「旧約聖書を知っていますか」 阿刀田高 (新潮文庫)


 「旧約聖書」の主要なポイントを軽妙に読み解いた、肩の凝らない入門書です。
 このシリーズは「新約聖書」「コーラン」と合わせて三部作となっています。


旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/12/20
  • メディア: 文庫



 アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフ、モーセ、ヨシュア、ダビデ、ソロモン・・・
 「旧約聖書」の大筋を、興味深いエピソードを混ぜながら軽快にたどっていきます。

 「旧約聖書」をまだ一度も読んだことがないという、初心者におススメの一冊です。
 この本の魅力は、著者が蘊蓄を傾けて語った味わい深いエピソードの数々でしょう。

 たとえば「アダムと肋骨」の章は、サルトルの実存主義の話から始まるのです。
 人間について、「実存が本質に先立つ」と言ったのは、創世記への挑戦だと言う・・・

 さて、この「アダムと肋骨」の章は、第8章で語られています。ここが玉にキズです。
 阿刀田は、歴史的な内容であるアブラハムから語り始めたかったらしいのですが。

 しかし、ソロモンまでたどってきたところで、最初の神話的内容に戻ってしまいます。
 その後のヨナやユディットやヨブの話の前に、大きな障壁を作ってしまった感じです。

 私は、今まで順調に流れていたリズムが、一旦ここで滞ったように思いました。
 そして、心なしかその後に続く物語は、雑然としているように感じてしまいました。

 ところで、若いころこの本を読んだときは、その軽快な語り口が良いと思いました。
 ところが、今回久々に読み直してみたところ、その語り口に違和感を覚えたのです。

 特に終盤は、「無駄口体」とでも言いたくなるような文体でした。
 たとえば、「ダニエル書」のスザンナのエピソードは、こんな感じで始まります。

 「スザンナという名の美しい人妻がいた。
  ーー待ってましたーー
  やっぱり物語には美しいヒロインが必要だ。できれば色恋の気配が加わったほうが
 楽しい。
  さよう、話はお望み通りの方向へ進んで行く。
  こともあろうに、町の長老たちにして裁判官をも務めている二人が、この美しい人
 妻に心を奪われてしまった。
  『ウヒヒヒ、いい女じゃのう』
  『あんたも、そう思うかね』
  『あのバストのあたり・・・』・・・・・」(P332)

 10行にわたって引用しましたが、本当に必要なのは、1行目と6~7行目だけです。
 わずか3行で済むところを、7行水増しして10行にしています。これぞ、無駄口体!

 書くことが無くなったのか、書き続けることがしんどくなったのか・・・
 無駄口を挿入することで、文章を冗長にしてしまいました。

 とはいえ、入門者にはとてもとっつきやすい本で、おススメです。
 私は姉妹本の「新約聖書を知っていますか」も、再読する予定です。

 さいごに。(娘と学校見学に行きたい)

 娘が中学3年生なので、高校の学校見学会に保護者同伴で申し込みました。
 妻の方に、急に仕事が入ってしまったので、私が行くことになりそうです。

 ちょっと楽しみです。近くに有名などら焼き屋があるので。
 ただし、娘はあまり興味が無いようです。仕方ない、ひとりで食べるか・・・

nice!(3)  コメント(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。