火の路1 [日本の現代文学]
「火の路 上」 松本清張 (文春文庫)
若き古代史学者の女性が、古代飛鳥の石造物とペルシア文明との関係を探る物語です。
作者の古代史ミステリーの代表作であり、朝日新聞連載時から話題となりました。
T大学の助手で若き古代史学者の高須通子は、飛鳥で石造物の調査をしていました。
酒船石を調べているとき、史学雑誌の取材で来ていたカメラマンの坂根を知りました。
夕方奈良市内を散策中、刺されて倒れている男を助けました。男は海津と言いました。
翌日、通子は海津のいる病院に向かう途中で坂根と再会し、二人一緒に供血しました。
坂根はその後歴史学者の佐田から、海津が優れた歴史学者であったことを聞きました。
しかしかなり以前に学会を追放されていたのです。その理由は女関係のようなのです。
一方、通子が雑誌に飛鳥の石造物の論考を載せたところ、海津から手紙が来ました。
海津から示唆され、ペルシア文明との関係を調べるため、イランへ行くことに・・・
酒船石、亀石、猿石、二面石、須弥山、益田岩船、二上山、多武峰、斉明天皇・・・
古代史ファンにとっては、たまらない作品です。ゾロアスター教との関連とは・・・
「ぼくは古事記の天照大御神、書記の天照大神の名もアフラ・マズダと同じような光
明の神にしていると思いますね。そう思ってみると、スサノオノミコトは根の国、底
津国、黄泉の国、つまり暗黒の世界の支配神ですから、邪悪な神です。ぼくはもしか
すると古事記もゾロアスター教的、祆教(けんきょう)的な構成で書かれているのでは
ないかとさえ思います。光明のヤマト、暗黒のイヅモと善悪二元論で書かれています
からね。・・・」(P330)
「古事記」にゾロアスター教の影響とは! すごい話です。読んでいて痺れました。
この作品の最大の魅力は、作者清張の仮説が随所で開陳されていることでしょう。
そして、この作品のもうひとつの魅力は、当時の学会の暴露話が聴けるところです。
次のような個所から、清張自身のぼやきが聞こえるような気がします。
「そういう正論が通らないのが学会だ。派閥がある。ご承知の通りにね。で、どんな
権威のある学者の説でも、反対派の学者に引用されることは、まず、ないといってい
いね。引用した学者が総スカンを喰うからね。」(P156)
さて、上巻の最後で、主人公高須通子の過去の意外な出来事が明かされました。
海津新六には、昔どんなことがあったのでしょうか。下巻もとても気になります。
さいごに。(今から調べています)
もうかれこれ30年以上前、大学生の頃、ひとりで奈良へ行って歩き回ったものです。
8年後に定年退職したら、もう一度奈良に滞在して、方々を歩いてみたいです。
そのため、山川出版社の「奈良県の歴史散歩」を買い、今から下調べをしています。
まずは飛鳥から。飛鳥大仏に早く再開したいです。
若き古代史学者の女性が、古代飛鳥の石造物とペルシア文明との関係を探る物語です。
作者の古代史ミステリーの代表作であり、朝日新聞連載時から話題となりました。
T大学の助手で若き古代史学者の高須通子は、飛鳥で石造物の調査をしていました。
酒船石を調べているとき、史学雑誌の取材で来ていたカメラマンの坂根を知りました。
夕方奈良市内を散策中、刺されて倒れている男を助けました。男は海津と言いました。
翌日、通子は海津のいる病院に向かう途中で坂根と再会し、二人一緒に供血しました。
坂根はその後歴史学者の佐田から、海津が優れた歴史学者であったことを聞きました。
しかしかなり以前に学会を追放されていたのです。その理由は女関係のようなのです。
一方、通子が雑誌に飛鳥の石造物の論考を載せたところ、海津から手紙が来ました。
海津から示唆され、ペルシア文明との関係を調べるため、イランへ行くことに・・・
酒船石、亀石、猿石、二面石、須弥山、益田岩船、二上山、多武峰、斉明天皇・・・
古代史ファンにとっては、たまらない作品です。ゾロアスター教との関連とは・・・
「ぼくは古事記の天照大御神、書記の天照大神の名もアフラ・マズダと同じような光
明の神にしていると思いますね。そう思ってみると、スサノオノミコトは根の国、底
津国、黄泉の国、つまり暗黒の世界の支配神ですから、邪悪な神です。ぼくはもしか
すると古事記もゾロアスター教的、祆教(けんきょう)的な構成で書かれているのでは
ないかとさえ思います。光明のヤマト、暗黒のイヅモと善悪二元論で書かれています
からね。・・・」(P330)
「古事記」にゾロアスター教の影響とは! すごい話です。読んでいて痺れました。
この作品の最大の魅力は、作者清張の仮説が随所で開陳されていることでしょう。
そして、この作品のもうひとつの魅力は、当時の学会の暴露話が聴けるところです。
次のような個所から、清張自身のぼやきが聞こえるような気がします。
「そういう正論が通らないのが学会だ。派閥がある。ご承知の通りにね。で、どんな
権威のある学者の説でも、反対派の学者に引用されることは、まず、ないといってい
いね。引用した学者が総スカンを喰うからね。」(P156)
さて、上巻の最後で、主人公高須通子の過去の意外な出来事が明かされました。
海津新六には、昔どんなことがあったのでしょうか。下巻もとても気になります。
さいごに。(今から調べています)
もうかれこれ30年以上前、大学生の頃、ひとりで奈良へ行って歩き回ったものです。
8年後に定年退職したら、もう一度奈良に滞在して、方々を歩いてみたいです。
そのため、山川出版社の「奈良県の歴史散歩」を買い、今から下調べをしています。
まずは飛鳥から。飛鳥大仏に早く再開したいです。
コメント 0