太郎物語 大学編 [日本の現代文学]
「太郎物語 大学編」 曽野綾子 (新潮文庫)
昭和を生きる高校二年の山本太郎の、悩み多き日々を描いた青春小説の傑作です。
「高校編」の続編です。1980年のNHKテレビドラマ「太郎の青春」の原作です。
高校3年生の山本太郎は、名門の明倫大学と、名古屋の北川大学に合格しました。
迷った末に明倫を蹴り、文化人類学を学べる北川大学に進学することに決めました。
「それがどんな小さなポジションであろうと、人間は、自分の居場所と存在意義がは
っきりわかる時に、なっとくするのだ。」(P52)
すでに明倫大学に入学金を支払っていた両親も、太郎の決定を尊重します。
「入学金を捨てても、北川へ行こうと思うくらいじゃなきゃ、本物じゃないからね。」
太郎は名古屋のアパートを購入してもらい(!)、ひとり暮らしが始まって・・・
大西、笹塚、桜岡、紅一点の三吉など、ともに文化人類学を学ぶ仲間ができて・・・
私がこの小説を読んだのは、高校三年の夏でした。受験生でした。
時々気晴らしに読んで、自分を待ち受ける大学生活を、あれこれと想像したものです。
だからもちろん、太郎の大学生活を読みたかったのですが、肩すかしをくらいました。
というのも、500ページもあるのに、大学生活についてはあまり書いてないからです。
入学手続きや下宿探しの場面が続いて、太郎の大学入学は150ページを過ぎてからです。
新歓コンパ、北陸旅行、同級生と海水浴、お妾と知り合う、不登校の子を預かる・・・
いろいろと面白いネタが続きますが、北川大学を舞台にした場面はあまりありません。
人類学をやりたくて入学したのに、その勉強をしている場面がほとんど無いなんて!
また、〇〇はスタイルが悪い、〇〇は顔が悪い、〇〇は化粧が下手と言っていた直後に、
「お互いに本気で学問をやろうとしている連中だ」とか書いてあるのには笑えました。
とはいえ、一人暮らしの楽しさなど、キャンパスを離れたところに刺激がありました。
女子と食事をしたり、バーに行ったり、パチンコをしたり、高価な本を買ったり・・・
極めつけは、良子という妾と仲良くなる場面です。これぞ、ひとり暮らしの醍醐味です。
ただし、私自身は自宅生だったので、大学時代のひとり暮らしは憧れで終わりました。
ついでながら、太郎がマンションに壁一面の本棚を購入したということにも憧れました。
現在その憧れは、自分の部屋の壁一面に、本棚を手作りしたことで、満たされています。
余談ですが、太郎と、父山本正二郎との次の会話が、印象に残っています。
よく分かりませんが微笑ましい。三浦朱門も同じようなことを言っているのでしょうか。
太郎「あの人はね、人生をいつも希望ないようなことを言ってるのよ」
父 「そういうのが、いい教師なんだ」(P235)
さらに余談ですが、名古屋のモーニング・サービス文化が描かれているところが面白い。
朝の喫茶店で、太郎が200円のコーヒーを注文し、トーストと卵まで食べていたのです。
今ではわが町でも、モーニング・サービスは常識となっています。
たまにその時間帯に行く機会があると、とても混んでいてびっくりしてしまいます。
さいごに。(天体観測)
娘の冬休みの宿題に、天体観測があったので、正月の夜、何度か夜空を眺めました。
オリオン座はすぐ見つかりましたが、カシオペア座はなかなか見つかりませんでした。
それだけに、カシオペア座と北極星が見つかったときの喜びは大きかったです。
冬の天体観測はとても寒かったけど、いい思い出となりました。
昭和を生きる高校二年の山本太郎の、悩み多き日々を描いた青春小説の傑作です。
「高校編」の続編です。1980年のNHKテレビドラマ「太郎の青春」の原作です。
高校3年生の山本太郎は、名門の明倫大学と、名古屋の北川大学に合格しました。
迷った末に明倫を蹴り、文化人類学を学べる北川大学に進学することに決めました。
「それがどんな小さなポジションであろうと、人間は、自分の居場所と存在意義がは
っきりわかる時に、なっとくするのだ。」(P52)
すでに明倫大学に入学金を支払っていた両親も、太郎の決定を尊重します。
「入学金を捨てても、北川へ行こうと思うくらいじゃなきゃ、本物じゃないからね。」
太郎は名古屋のアパートを購入してもらい(!)、ひとり暮らしが始まって・・・
大西、笹塚、桜岡、紅一点の三吉など、ともに文化人類学を学ぶ仲間ができて・・・
私がこの小説を読んだのは、高校三年の夏でした。受験生でした。
時々気晴らしに読んで、自分を待ち受ける大学生活を、あれこれと想像したものです。
だからもちろん、太郎の大学生活を読みたかったのですが、肩すかしをくらいました。
というのも、500ページもあるのに、大学生活についてはあまり書いてないからです。
入学手続きや下宿探しの場面が続いて、太郎の大学入学は150ページを過ぎてからです。
新歓コンパ、北陸旅行、同級生と海水浴、お妾と知り合う、不登校の子を預かる・・・
いろいろと面白いネタが続きますが、北川大学を舞台にした場面はあまりありません。
人類学をやりたくて入学したのに、その勉強をしている場面がほとんど無いなんて!
また、〇〇はスタイルが悪い、〇〇は顔が悪い、〇〇は化粧が下手と言っていた直後に、
「お互いに本気で学問をやろうとしている連中だ」とか書いてあるのには笑えました。
とはいえ、一人暮らしの楽しさなど、キャンパスを離れたところに刺激がありました。
女子と食事をしたり、バーに行ったり、パチンコをしたり、高価な本を買ったり・・・
極めつけは、良子という妾と仲良くなる場面です。これぞ、ひとり暮らしの醍醐味です。
ただし、私自身は自宅生だったので、大学時代のひとり暮らしは憧れで終わりました。
ついでながら、太郎がマンションに壁一面の本棚を購入したということにも憧れました。
現在その憧れは、自分の部屋の壁一面に、本棚を手作りしたことで、満たされています。
余談ですが、太郎と、父山本正二郎との次の会話が、印象に残っています。
よく分かりませんが微笑ましい。三浦朱門も同じようなことを言っているのでしょうか。
太郎「あの人はね、人生をいつも希望ないようなことを言ってるのよ」
父 「そういうのが、いい教師なんだ」(P235)
さらに余談ですが、名古屋のモーニング・サービス文化が描かれているところが面白い。
朝の喫茶店で、太郎が200円のコーヒーを注文し、トーストと卵まで食べていたのです。
今ではわが町でも、モーニング・サービスは常識となっています。
たまにその時間帯に行く機会があると、とても混んでいてびっくりしてしまいます。
さいごに。(天体観測)
娘の冬休みの宿題に、天体観測があったので、正月の夜、何度か夜空を眺めました。
オリオン座はすぐ見つかりましたが、カシオペア座はなかなか見つかりませんでした。
それだけに、カシオペア座と北極星が見つかったときの喜びは大きかったです。
冬の天体観測はとても寒かったけど、いい思い出となりました。
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