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聖書物語 [心理・宗教・オカルト]

 「聖書物語」 山室静 (現代教養文庫)


 旧約聖書と新約聖書の物語の流れを、分かりやすくまとめて紹介した著書です。
 初版が1968年。今はなき社会思想社の現代教養文庫から出ていました。


聖書物語 (現代教養文庫)

聖書物語 (現代教養文庫)

  • 作者: 山室 静
  • 出版社/メーカー: 社会思想社
  • 発売日: 1996/09/30
  • メディア: 文庫



 詩人の山室静による親しみやすい聖書入門です。前半は「旧約聖書」の物語です。
 天地創造、エデンの園、カインとアベル、ノアの箱舟、バベルの塔、アブラハム・・・

 この本の初版は1968年です。しかし、内容はまったく古びていないと私は思います。
 1985年に再版されて、その数年後に私は読みました。まだ大学生だった頃の話です。

 この本の魅力は、詩人山室静の、優しく語りかけてくるような親しみやすい文章です。
 私は一読してファンになり、山室静「ギリシャ神話」も購入し、愛読書となりました。

 ところが、この思い出の「聖書物語」を、引っ越しの時に紛失してしまったのです。
 今回、懐かしくなって探したところ、アマゾンで手に入りました。(さすがアマゾン)

 さて、この本のもう一つの魅力は、物語の流れの中で自然に述べられる補足説明です。
 たとえば、冒頭の天地創造の場面では、他の神話との違いを三点説明しています。

 1、世界を造ったのがただ一人の神エホバである。2、その神によって、人間は初めか
 ら全生物を支配するよう定められている。3、人間は神の国を実現させるべく努める。

 このような説明は、初めて聖書を読んだ大学生の私にとって、とても役に立ちました。
 解説しながら優しく語りかけるこのスタイルは、阿刀田高に受け継がれたのでは?

 ところで、50歳を過ぎて読み返してみると、聖書の内容は突っ込みどころ満載でした。
 また、純情だった当時と違って、いろいろと言いたくなる場面もありました。

 特に、アブラハムに息子を生贄にせよという神は、いくらなんでもやりすぎですよ。
 「最も感動的な場面の一つだ」というけど、私は神に腹が立って腹が立って・・・

 ヨブに対して行ったしうちもひどいです。神は悪魔の賭けに乗る必要があったのか。
 破滅させられながらも神を信じ続ける、お人よしのヨブに腹が立って・・・

 というように、すぐ違和感を覚える私は、聖書の良い読み手では決してありません。
 しかし、だからこそ、聖書は実に興味深く、さまざまな本を手にしてきました。

 岩波ジュニア新書からは、宗教人類学者の山形孝夫による「聖書物語」が出ています。
 これら二冊は聖書入門としておススメですが、中級者には物足りないかもしれません。


聖書物語 (岩波ジュニア新書 56)

聖書物語 (岩波ジュニア新書 56)

  • 作者: 山形 孝夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/12/17
  • メディア: 新書



 逆に、作家の木嶋さと子による「聖書物語」(角川ソフィア文庫)は中級者向けです。
 聖書の話の流れだけを追いたかった私には、少し分かりにくかったです。


聖書物語 (角川ソフィア文庫)

聖書物語 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 木崎 さと子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: 文庫



 以上三冊には挿絵がたくさん入っていますが、文庫や新書なので、やや見にくいです。
 その点「図説聖書物語」旧約篇・新訳篇(ふくろうの本)は、挿絵を充分楽しめます。


図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)

図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 単行本



図説 聖書物語 新約篇 (ふくろうの本)

図説 聖書物語 新約篇 (ふくろうの本)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 単行本



 【参考】
 「ふしぎなキリスト教」→https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-09-10
 「聖書物語一日一話」→https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2010-09-23
 「イエスの生涯」遠藤周作→https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2014-09-11
 「キリストの誕生」遠藤周作→https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2014-09-18
 「死海のほとり」遠藤周作→https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2014-10-12

 さいごに。(充分優しい?)

 娘が私を「おじい」と呼んで、何かと憎まれ口をたたきます。
 「パパに対する尊敬の念が足りない」と言って叱ったのですが、効果がありません。 

 娘は「自分は充分優しい。父親としゃべりもしない子もいるのだから」と言います。
 なるほど。まったくしゃべらないよりも、おじいと言われていた方がマシか・・・

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