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森の生活2 [19世紀アメリカ文学]

 「森の生活(ウォールデン)下」 ヘンリー・D・ソロー著 飯田実訳 (岩波文庫)


 ウォールデン湖の畔に自分で建てた小屋に住んで、自給自足した2年間の回想録です。
 1854年刊行。ノンフィクション文学の傑作です。写真入りの岩波文庫版がオススメ。


森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/09/18
  • メディア: 文庫



 19世紀アメリカ社会の物質主義に反抗したソローは、ウォールデンに移住しました。
 自然の中でひとり自給自足の生活を営みながら、人はいかに生きるか思索しました。

 ベイカー農場を訪れたとき、ソローはアイルランド人の主人と話をしました。
 そのときの言葉の中に、彼の考え方と、彼の偏屈さが、よく表われています。

 「ぼくは茶もコーヒーもミルクも飲まず、バターも新鮮な肉も食べないので、そうい
 うものを買うために働く必要はない。また、あまり働かないからあまり食べる必要も
 なく、したがって食費はいくらもかからない。ところがあなたは、はじめから茶、コ
 ーヒー、バター、ミルク、牛肉などを飲み食いしているから、それを買うためには必
 死で働くほかはなく、必死で働けば、体力の消耗を補うために必死で食べなくてはな
 らない――といったぐあいで、結局、事態は少しも好転しないだけでなく、かえって
 わるくなるばかりではないか。満足することがないうえに、いのちをすり減らしてい
 るわけだから。」(P66)

 この言葉を、「なるほど」と思うか、「お節介だ」と思うかは、微妙なところです。
 書いてある言葉に共感はしますが、実際に言われたら、頭にきてしまうと思います。

 さて、ソローの行動で興味深いのは、人頭税問題です。
 人頭税の支払いを拒否し、1846年に保安官に逮捕され、投獄されてしまいました。

 しかし、ソローには信念がありました。「国家と個人の良心との間に相克が生じたら、
 市民は納税の拒否という平和的手段で、不正に抗議する権利がある」というのです。

 このことは、「市民の反抗」というエッセーで述べられているのだそうです。
 そして、ガンジーなど市民運動家に愛読され、大きな影響を与えたのだそうです。

 ところで面白いのは、おばが独断で税金を支払ったあとも、出獄を拒んだ点です。
 そういう仕方で抗議を続けたものの、彼はしまいには心ならずも追い出されました。

 さすが、ソロー。彼はちょっとした変人ですね。
 愛読書は古代インド叙事詩の「バガヴァッド・ギーター」。さすが、ソロー!

 「『自然』はどんな問いもつきつけはしないし、われわれ人間が発するどんな問いか
 けにも答えはしない。」(P203)

 自然はただそこにあって、黙ってその偉大さを感じさせるだけということでしょう。
 分かります、私も変人なので。ああ、また山に登って自然を感じたい!

 余談ですが、私も昔、ソローのような生き方に憧れました。山小屋に住みたいとか。
 しかし、結局まっとうな生き方を選びました。ソローのマネはなかなかできません。

 さいごに。(会場まで行ってみる)

 娘の初めての受験なので、とても慎重になってしまいます。
 当日遅刻しないように、休日に受験会場の高校まで娘と一緒に行ってみました。

 娘はひとりで電車に乗ったことがないので、ひとりで電車に乗る練習もしました。
 逆方向の電車に乗らないように教えたりと、けっこう楽しかったです。

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