SSブログ

クリスマスのフロスト1 [20世紀アメリカ文学]

 「クリスマスのフロスト」R・D・ウィングフィールド作 芹澤恵訳(創元推理文庫)


 仕事はできるが下品極まりないフロスト警部が、数々の事件を解決する警察小説です。
 現在、第六集まで出ている人気シリーズです。本書は、1984年に出た第一弾です。


クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1994/09/21
  • メディア: 文庫



 日曜日に、田舎町のデントンで、少女の失踪事件が起きました。
 娼婦アップヒル夫人の8歳の娘トレイシーが、日曜学校から帰らなかったのです。

 翌月曜日、フロスト警部はトレイシー失踪事件の捜査に乗り出しました。
 相棒は、昨日着任したばかりのクライヴ。警察長の甥っ子で新進気鋭の青年です。

 アップヒル夫人宅の捜査、その常連客の特定、トレイシーの友達への聞き込み、
 トレイシーのマフラー発見、と大忙し。おまけに銀行の扉破壊事件も起こり・・・

 わずか一日の内に、フロストは次から次へと行動します。展開がとても速いです。
 私は先が気になって気になって・・・物語の世界にぐいぐい引き込まれました。

 その一方で、主人公フロストに対しては、けっこう厳しい意見があるようです。
 文庫のカバーを見てください。このイラストで拒否反応をおこす人も多いのだとか。

 フロストは、遅刻をするし、仕事を忘れるし、会議をすっぽかすし、部屋を片付けな
 いし、署長の車にぶつけて、しかもそれを隠蔽するし、どうしようもない問題児です。

 そしてフロストの本領を発揮するのは、なんと言っても、お下品な会話や行動です。
 彼は下品な逸話の宝庫であり、場面に応じ最も趣味の悪い逸話を披露できるのが特技。

 ただし、「浣腸は好きかい」と言って、男にも女にも浣腸をするのはいかがなものか。
 私は好きですけどね。でも、このシーンを読んで、引いてしまう女性は多いのでは?

 そういう意味で、フロスト・シリーズは、読む人を選ぶ作品かもしれません。
 その点がもったいないと思います。作品自体はとてもよくできていて面白いのだから。

 だらしなくていいかげんで問題児のフロストですが、不思議と皆から好かれています。
 基本的に悪意やずるさが無く、純粋で人間味があるので、時々ほろりとさせられます。

 「おれがなぜ、銃を持った男に飛びかかっていったと思う? 殺してほしかったから
 だ。だから、飛びかかったのさ。生きていたくなかったんだ。」(P311)

 現在、火曜日の途中まで読みました。浮浪者の死体を発見したり、教会を捜査したり、
 銀行で大金をおろすアップヒル夫人を目撃したり、とうとう霊媒師を訪問したり・・・

 出来事は盛りだくさんですが、事件の解決の糸口はいっこうに現れません。
 トレイシーはどうなった? 誘拐犯は誰? 冒頭で撃たれていたフロストは大丈夫か?

 さいごに。(濃厚接触者の特定作業)

 オミクロンの感染力がハンパなくて、わが町の保健所はとうとう限界です。
 お客様に陽性者が出た場合、濃厚接触者の特定を、職場で行わなければなりません。

 そこで、私たちが聞き取りにかり出されるので、仕事がちっとも終わりません。
 「オミクロンはただのカゼ。気にするのはやめよう。」と、誰か言ってくれないか。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。