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どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか? ほか [哲学・歴史・芸術]

 「どうで死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?」中島義道(角川文庫)
 「カイン 自分の『弱さ』に悩むきみへ」中島義道(新潮文庫)


 自分の死と宇宙の終焉という絶対的不幸を前に、いかに生きるべきかを教えた本です。
 2004年刊の「どうせ死んでしまう・・・・私は哲学病」を、改題・文庫化したものです。


どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか? (角川文庫)

どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか? (角川文庫)

  • 作者: 中島 義道
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/11/22
  • メディア: 文庫



 「私が死んだ後、まもなく地球は膨張する太陽に吞み込まれ、やがて太陽系も無くな
 る。そして、巨大な宇宙はその数十億年後に熱死状態になる。私は10歳に満たないこ
 ろから、この残酷無比な未来像に縛りつけられたように囚われており、(中略)『ど
 うせ死んでしまう、どうせみんな無くなってしまうのだから、人生は何をしても虚し
 い』と思っていた。」(P34)

 自分の死と宇宙の終焉。
 この絶対的不幸のもと、中島少年はいつも「哲学的問い」を持ち続けていました。

 「なぜ、私はこの世に自分の意志ではなく生まれさせられ、苦しみあえいで生きねば
 ならず、そしてじきに死んでしまわねばならないのか、しかもほとんど何もわからな
 いままに。」(P18)

 彼は、この問いこそが、生涯をかけて真剣に問うべき問いであると確信しました。
 そして、そのような「真理を求めるもの」が自殺してはいけないのは明らかです。

 「真理を求めることを第一の生きる目標に定めた者は、それを実現する可能性をみず
 から放棄してはならない。」(P28)

 真理を求める哲学者は、決してそれを途中で投げ出してはならないのです。
 たとえ「どうせ死んでしまう」と分かっていても「いま死んではいけない」のです。

 では、この絶対的不幸のもとで、我々はいかに生きていけばいいのか。
 それは2章「幸福を求めない」と3章「半隠遁をめざそう」で語られます。

 「幸福を求めない」では、死ぬ前にぐれてみよう、という提案が面白かったです。
 「上手にぐれるための10冊」は、すべて読みたくなりました。

 「半隠遁をめざそう」では、必殺の中島節が聴かれます。
 「人生を〈半分〉降りる」でおなじみの、中島独特の人生論が語られます。

 さて、新潮文庫からは「カイン 自分の『弱さ』に悩むきみへ」が出ています。
 絶対的不幸のもとでの生きるヒントを、T君との悩み相談形式で書いています。


カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)

カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)

  • 作者: 義道, 中島
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/28
  • メディア: 文庫



 「カイン」は、中島義道の本では、割と人々に受け入れられているようです。
 それは、T君に宛てた中島の手紙に、優しさと誠実さが滲みでているからです。

 「親を捨てる」「なるべくひとの期待にそむく」「怒る技術を体得する」
 「ひとに『迷惑をかける』訓練をする」「自己中心主義を磨き上げる」・・・

 と書いていくと、例によって中島がへそ曲がりなこと言ってるように感じます。
 しかし、読んでみると・・・中島義道の新たな魅力を発見します。

 さいごに。(教科書3万円)

 娘の進学先は進学校で、教科書&参考書が多くて驚きました。代金総額3万円。
 特に数学と英語が多いですね。娘はこの学校で、勉強についていけるのか?

 さっそく春休みの課題に取り組み始めましたが・・・
 中学校と高校のレベルの差に驚いています。

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