幕間(まくあい) [20世紀イギリス文学]
「幕間」 ヴァージニア・ウルフ作 片山亜紀訳 (平凡社ライブラリー文庫)
野外劇が上演される日の、オリヴァー家の様子を、スケッチ風に描いた物語です。
ヴァージニア・ウルフの遺作で、ウルフはこの作品の出版を待たずに自殺しました。
1939年のある日、オリヴァー家では野外劇の上演の準備をしていました。
オリヴァー家の人々や客人や使用人たちの様子が、スケッチ風に描かれています。
やがて、劇作家ミス・ラトロープによる野外劇が始まりました。
それは、エリザベス朝時代からのイギリスの歴史を、順にたどっていくもので・・・
とにかく最初は場面がコロコロ変わるため、流れに付いていくのがたいへんでした。
私は、登場人物の名前がなかなか覚えられなくて、内容が頭に入ってきませんでした。
「バート」というのは「バーソロミュー」の愛称で、オリヴァー家の長老のこと。
「アイサ」というのは「イザベラ」の愛称で、バートの息子「ジャイルズ」の妻。
「ルーシー」というのは「ミセス・スウィズン」のことで、バートの妹の老婦人・・・
あるときは「バート」、あるときは「バーソロミュー」、あるときはただの「老人」。
呼び名がいちいち変わるので、主語が分からなくて、理解するのがたいへんでした。
しかも、途中で劇中劇が始まって、実在の人物と劇中の人物がごっちゃになりました。
さらに、劇の途中から、なんだかわけが分からなくなるし。
さて、「ある夏の夜、庭に面した窓をすべて開け放った大きな部屋で、彼らは屎尿溜
めについて話していた。」(P9)、という印象的な一文で、この物語は始まります。
屎尿溜め(しにょうだめ)、つまり肥だめの話から始まるのです。
一瞬「ユーモア小説か」と思ってしまいますが、読んでみると実に暗い内容でした。
その暗さはどこから来るかというと、なんとなく聞こえる戦争の足音からです。
物語の1939年というのは、第二次世界大戦が始まる年なのです。
「ヨーロッパ全土が—すぐ向こう側が—満身創痍で、(中略)『ハリネズミ』というパ
ッとしない言葉が、ヨーロッパについての彼のイメージ、つまり無数の銃を突き立て
られ、無数の飛行機が舞い飛んでいるというイメージを如実に表していた。」(P67)
そして、我々はそのような状況に対して、何もできません。
「ぼくたちはじっと座っているしかない」「ぼくたちは観客」(P74)・・・
ウルフは、のどかな一日を描くことで、かえって我々の無力感を表したいようです。
近づく戦争に対して何もできない無力感を。しかし、私が分かったのはそれだけ。
ウルフがこの作品に託した思いは?
タイトル「幕間」に込められた意味は?
そういうことが私には、まったく分かりませんでした。
ところが、ユーチューブのスケザネさんの解説で、ようやくそれが分かりました。
スケザネさんの解説は目からうろこです。本当にすばらしいので、おススメです。
このブログで伝えられなかった作品の核心を、ぜひこの動画で理解してください。
さいごに。(結婚20周年)
先日20回目の結婚記念日を迎え、結婚式のアルバムを見ながらケーキを食べました。
お互いに「よく我慢してきたよね」と、いたわり合いながら食べました。(笑)
野外劇が上演される日の、オリヴァー家の様子を、スケッチ風に描いた物語です。
ヴァージニア・ウルフの遺作で、ウルフはこの作品の出版を待たずに自殺しました。
1939年のある日、オリヴァー家では野外劇の上演の準備をしていました。
オリヴァー家の人々や客人や使用人たちの様子が、スケッチ風に描かれています。
やがて、劇作家ミス・ラトロープによる野外劇が始まりました。
それは、エリザベス朝時代からのイギリスの歴史を、順にたどっていくもので・・・
とにかく最初は場面がコロコロ変わるため、流れに付いていくのがたいへんでした。
私は、登場人物の名前がなかなか覚えられなくて、内容が頭に入ってきませんでした。
「バート」というのは「バーソロミュー」の愛称で、オリヴァー家の長老のこと。
「アイサ」というのは「イザベラ」の愛称で、バートの息子「ジャイルズ」の妻。
「ルーシー」というのは「ミセス・スウィズン」のことで、バートの妹の老婦人・・・
あるときは「バート」、あるときは「バーソロミュー」、あるときはただの「老人」。
呼び名がいちいち変わるので、主語が分からなくて、理解するのがたいへんでした。
しかも、途中で劇中劇が始まって、実在の人物と劇中の人物がごっちゃになりました。
さらに、劇の途中から、なんだかわけが分からなくなるし。
さて、「ある夏の夜、庭に面した窓をすべて開け放った大きな部屋で、彼らは屎尿溜
めについて話していた。」(P9)、という印象的な一文で、この物語は始まります。
屎尿溜め(しにょうだめ)、つまり肥だめの話から始まるのです。
一瞬「ユーモア小説か」と思ってしまいますが、読んでみると実に暗い内容でした。
その暗さはどこから来るかというと、なんとなく聞こえる戦争の足音からです。
物語の1939年というのは、第二次世界大戦が始まる年なのです。
「ヨーロッパ全土が—すぐ向こう側が—満身創痍で、(中略)『ハリネズミ』というパ
ッとしない言葉が、ヨーロッパについての彼のイメージ、つまり無数の銃を突き立て
られ、無数の飛行機が舞い飛んでいるというイメージを如実に表していた。」(P67)
そして、我々はそのような状況に対して、何もできません。
「ぼくたちはじっと座っているしかない」「ぼくたちは観客」(P74)・・・
ウルフは、のどかな一日を描くことで、かえって我々の無力感を表したいようです。
近づく戦争に対して何もできない無力感を。しかし、私が分かったのはそれだけ。
ウルフがこの作品に託した思いは?
タイトル「幕間」に込められた意味は?
そういうことが私には、まったく分かりませんでした。
ところが、ユーチューブのスケザネさんの解説で、ようやくそれが分かりました。
スケザネさんの解説は目からうろこです。本当にすばらしいので、おススメです。
このブログで伝えられなかった作品の核心を、ぜひこの動画で理解してください。
さいごに。(結婚20周年)
先日20回目の結婚記念日を迎え、結婚式のアルバムを見ながらケーキを食べました。
お互いに「よく我慢してきたよね」と、いたわり合いながら食べました。(笑)
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