ユリシーズ1 [20世紀イギリス文学]
「ユリシーズ Ⅰ」 ジェイムズ・ジョイス作 丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳
(集英社文庫 ヘリテージシリーズ)
1904年6月16日のダブリンでの一日を、さまざまな文体を駆使して描いた小説です。
プルーストの「失われた時を求めて」と並んで、20世紀を代表する文学作品です。
スティーヴン・ディーダラスは、友人バック・マリガンと共同生活をしています。
文学を志しながらも、現在は学校で教師として働いて、生活費を稼いでいます。
朝食のあとバックは水泳へ行き、スティーヴンは授業をしに学校に向かいました。
スティーヴンは校長に頼まれて新聞社に行く途中、さまざまな思いに囚われます。
同じ日の朝レオポルド・ブルームは、妻モリーのために朝食を用意していました。
レオポルドは、広告取りをしている38歳のユダヤ人の男で、物語の主人公です。
レオポルドはモリ―の浮気を心配しながらも、自分は他の女と文通しています。
彼は馬車で墓地へ行きますが、たまたまスティーヴンの父親と乗り合わせて・・・
といった具合に始まります。この物語は「オデュッセイア」が元になっています。
レオポルドはオデュッセウスに、スティーヴンは息子テレマコスに対応しています。
「オデュッセイア」では、父オデュッセウスと息子テレマコスが最後に再会します。
ということは、レオポルドとスティーヴンも、どこかで出会うはずだと思います。
しかし、ふたりが出会ったとしても、「だから何?」って感じです。
冴えない広告取りと、冴えない学校教師。何も起こりそうにありません。
正直に言って、何が面白いのかよく分からない小説です。
それどころか、章によっては何が書いてあるのかさえ分かりません。
巻末の150ページ分の訳注が、参考になるようですが・・・読めないって!
だいたい、訳注が無ければ成立しないような作品を、私は良いとは思えません。
こういう面倒くさい作品なので、「最も途中で放棄される本」の1位だと言います。
ところが、そう言われると逆に読んでみたくなるのが人情。私も罠にはまりました。
第一部の3「プロテウス」はひどかったです。
浜辺を歩くスティーヴンの、目まぐるしく変わる心の中を、そのまま写しています。
「彼の唇は空に浮ぶ肉のない唇に唇を重ね、口を合わせた。口を女のムームに。ウー
ム、子宮。あらゆるものをはらむ墓。彼の口は形を作って息を吐きだしたが、言葉に
はならなかった。ウゥイィィハー。巨大な滝となって落下する惑星群の響き。球とな
り、燃えあがり、響きわたりながら消えて行く、遠い、遠い、遠い、遠い、遠い向こ
うへ。」(P126)
なんだか変態的な妄想のあと、なぜか宇宙的に思いを馳せています。なぜか?
「ムーム」は子宮や墓のほか、月をも表すのだと訳注に書いてあります。なるほど。
こういう表現を、超絶的技巧と言うか、ただの遊びと言うかは、微妙なところです。
超絶技巧はやりすぎると、単なる遊びに堕するものだと、私は考えていますが。
さて、私は「ユリシーズ」を、どんなにつまらなくても最後まで読む覚悟でいます。
ある意味この作品は、つまらなさと分からなさが、独特の味わいとなっています。
さいごに。(誕生日プレゼント)
5月で55歳になりました。妻から誕生日プレゼントをもらいました。
「地球の歩き方」と「ムー」のコラボで出た「異世界の歩き方」です。
ピラミッドとか、巨石文明とか、UMA発見地とか、とても勉強になります。
55歳の男が読む本としてどうかはともかく。
(集英社文庫 ヘリテージシリーズ)
1904年6月16日のダブリンでの一日を、さまざまな文体を駆使して描いた小説です。
プルーストの「失われた時を求めて」と並んで、20世紀を代表する文学作品です。
スティーヴン・ディーダラスは、友人バック・マリガンと共同生活をしています。
文学を志しながらも、現在は学校で教師として働いて、生活費を稼いでいます。
朝食のあとバックは水泳へ行き、スティーヴンは授業をしに学校に向かいました。
スティーヴンは校長に頼まれて新聞社に行く途中、さまざまな思いに囚われます。
同じ日の朝レオポルド・ブルームは、妻モリーのために朝食を用意していました。
レオポルドは、広告取りをしている38歳のユダヤ人の男で、物語の主人公です。
レオポルドはモリ―の浮気を心配しながらも、自分は他の女と文通しています。
彼は馬車で墓地へ行きますが、たまたまスティーヴンの父親と乗り合わせて・・・
といった具合に始まります。この物語は「オデュッセイア」が元になっています。
レオポルドはオデュッセウスに、スティーヴンは息子テレマコスに対応しています。
「オデュッセイア」では、父オデュッセウスと息子テレマコスが最後に再会します。
ということは、レオポルドとスティーヴンも、どこかで出会うはずだと思います。
しかし、ふたりが出会ったとしても、「だから何?」って感じです。
冴えない広告取りと、冴えない学校教師。何も起こりそうにありません。
正直に言って、何が面白いのかよく分からない小説です。
それどころか、章によっては何が書いてあるのかさえ分かりません。
巻末の150ページ分の訳注が、参考になるようですが・・・読めないって!
だいたい、訳注が無ければ成立しないような作品を、私は良いとは思えません。
こういう面倒くさい作品なので、「最も途中で放棄される本」の1位だと言います。
ところが、そう言われると逆に読んでみたくなるのが人情。私も罠にはまりました。
第一部の3「プロテウス」はひどかったです。
浜辺を歩くスティーヴンの、目まぐるしく変わる心の中を、そのまま写しています。
「彼の唇は空に浮ぶ肉のない唇に唇を重ね、口を合わせた。口を女のムームに。ウー
ム、子宮。あらゆるものをはらむ墓。彼の口は形を作って息を吐きだしたが、言葉に
はならなかった。ウゥイィィハー。巨大な滝となって落下する惑星群の響き。球とな
り、燃えあがり、響きわたりながら消えて行く、遠い、遠い、遠い、遠い、遠い向こ
うへ。」(P126)
なんだか変態的な妄想のあと、なぜか宇宙的に思いを馳せています。なぜか?
「ムーム」は子宮や墓のほか、月をも表すのだと訳注に書いてあります。なるほど。
こういう表現を、超絶的技巧と言うか、ただの遊びと言うかは、微妙なところです。
超絶技巧はやりすぎると、単なる遊びに堕するものだと、私は考えていますが。
さて、私は「ユリシーズ」を、どんなにつまらなくても最後まで読む覚悟でいます。
ある意味この作品は、つまらなさと分からなさが、独特の味わいとなっています。
さいごに。(誕生日プレゼント)
5月で55歳になりました。妻から誕生日プレゼントをもらいました。
「地球の歩き方」と「ムー」のコラボで出た「異世界の歩き方」です。
ピラミッドとか、巨石文明とか、UMA発見地とか、とても勉強になります。
55歳の男が読む本としてどうかはともかく。
地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2022/02/10
- メディア: 単行本
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