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ユリシーズ1 [20世紀イギリス文学]

 「ユリシーズ Ⅰ」 ジェイムズ・ジョイス作 丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳
 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)


 1904年6月16日のダブリンでの一日を、さまざまな文体を駆使して描いた小説です。
 プルーストの「失われた時を求めて」と並んで、20世紀を代表する文学作品です。


ユリシーズ 1 (集英社文庫)

ユリシーズ 1 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/09/19
  • メディア: 文庫



 スティーヴン・ディーダラスは、友人バック・マリガンと共同生活をしています。
 文学を志しながらも、現在は学校で教師として働いて、生活費を稼いでいます。

 朝食のあとバックは水泳へ行き、スティーヴンは授業をしに学校に向かいました。
 スティーヴンは校長に頼まれて新聞社に行く途中、さまざまな思いに囚われます。

 同じ日の朝レオポルド・ブルームは、妻モリーのために朝食を用意していました。
 レオポルドは、広告取りをしている38歳のユダヤ人の男で、物語の主人公です。

 レオポルドはモリ―の浮気を心配しながらも、自分は他の女と文通しています。
 彼は馬車で墓地へ行きますが、たまたまスティーヴンの父親と乗り合わせて・・・

 といった具合に始まります。この物語は「オデュッセイア」が元になっています。
 レオポルドはオデュッセウスに、スティーヴンは息子テレマコスに対応しています。

 「オデュッセイア」では、父オデュッセウスと息子テレマコスが最後に再会します。
 ということは、レオポルドとスティーヴンも、どこかで出会うはずだと思います。

 しかし、ふたりが出会ったとしても、「だから何?」って感じです。
 冴えない広告取りと、冴えない学校教師。何も起こりそうにありません。

 正直に言って、何が面白いのかよく分からない小説です。
 それどころか、章によっては何が書いてあるのかさえ分かりません。

 巻末の150ページ分の訳注が、参考になるようですが・・・読めないって!
 だいたい、訳注が無ければ成立しないような作品を、私は良いとは思えません。

 こういう面倒くさい作品なので、「最も途中で放棄される本」の1位だと言います。
 ところが、そう言われると逆に読んでみたくなるのが人情。私も罠にはまりました。

 第一部の3「プロテウス」はひどかったです。
 浜辺を歩くスティーヴンの、目まぐるしく変わる心の中を、そのまま写しています。

 「彼の唇は空に浮ぶ肉のない唇に唇を重ね、口を合わせた。口を女のムームに。ウー
 ム、子宮。あらゆるものをはらむ墓。彼の口は形を作って息を吐きだしたが、言葉に
 はならなかった。ウゥイィィハー。巨大な滝となって落下する惑星群の響き。球とな
 り、燃えあがり、響きわたりながら消えて行く、遠い、遠い、遠い、遠い、遠い向こ
 うへ。」(P126)

 なんだか変態的な妄想のあと、なぜか宇宙的に思いを馳せています。なぜか?
 「ムーム」は子宮や墓のほか、月をも表すのだと訳注に書いてあります。なるほど。

 こういう表現を、超絶的技巧と言うか、ただの遊びと言うかは、微妙なところです。
 超絶技巧はやりすぎると、単なる遊びに堕するものだと、私は考えていますが。

 さて、私は「ユリシーズ」を、どんなにつまらなくても最後まで読む覚悟でいます。
 ある意味この作品は、つまらなさと分からなさが、独特の味わいとなっています。

 さいごに。(誕生日プレゼント)

 5月で55歳になりました。妻から誕生日プレゼントをもらいました。
 「地球の歩き方」と「ムー」のコラボで出た「異世界の歩き方」です。

 ピラミッドとか、巨石文明とか、UMA発見地とか、とても勉強になります。
 55歳の男が読む本としてどうかはともかく。


地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA

地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA

  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2022/02/10
  • メディア: 単行本



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