恋愛中毒 [日本の現代文学]
「恋愛中毒」 山本文緒 (角川文庫)
二度と恋しないと誓った「訳あり」女の、異常なまでに激しい恋を描いた物語です。
1998年刊行。吉川英治文学新人賞受賞。薬師丸ひろ子主演でドラマ化されました。
主人公で32歳の冴えない独身女の水無月(みなづき)は、弁当屋で働いています。
日常に埋没した平穏な生活は、作家の創路(いつじ)の来店から狂い始めました。
創路のファンであった水無月は、職場からほど近い創路の屋敷に立ち寄りました。
たまたまそれに気づいた創路は、水無月を寿司に誘い、ホテルに連れ込みました。
創路の事務所で働き始めた水無月は、少しずつ創路の女関係を知ることとなります。
創路は一度離婚し、娘はチュニジアにいて、現在は新しい妻と共に暮らしています。
「先生は何でもアリよ。自分さえよければ人のことはどうでもいいの。(中略)先生
と付き合っていきたいなら、早く他に男をつくることね。」(P127)
創路に振り回されながらも、しだいに彼にとって欠かせない存在となっていきます。
とうとう創路とふたりだけでバリに行き、楽しい時間を過ごすことができました。
ところで、水無月はかつて、藤谷という男と結婚し、そして離婚していたのです。
水無月は思い出します。もう二度と人を好きにならないと誓った日のことを・・・
「どうか、どうか、私。
これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
愛しすぎて、相手も自分もがんじがらめにしないように。
私は好きな人の手を強く握りすぎる。相手が痛がっていることすら気が付かない。
だからもう二度と誰の手も握らないように。
諦めると決めたことを、ちゃんときれいに諦めるように。二度と会わないと決め
た人とは、本当に二度と会わないでいるように。」(P37)
水無月はなぜ、藤谷と離婚したのか? なぜ、このような誓いをしたのか?
誓いを破り、覚悟を決めてのめり込んだ創路との恋愛は、うまくいくのか?
さて、私は最初この小説を、他人を愛しすぎてしまう女子の物語だと思いました。
不器用ゆえに、相手に尽くしすぎて、損ばかりしてしまう女子の物語だと・・・
ところが、なんと、ス〇ー〇ーの話だったとは!
水無月に同情しながら読んでいたので、終盤の展開にはぶったまげました。
「水無月さん、頭がおかしいんじゃないの?」
「やっと分かったのね」(P387)
この結末を、面白いと思うか、ヘンだと思うかは、非常に微妙なところです。
私自身は、少し後味の悪さを感じました。やっぱり、ちょっとヘンですよ。
しかし、林真理子が褒めているので、これは傑作なのでしょう。(なんじゃそれ?)
文章から、作者のセンスの良さを感じます。随所に名文がちりばめられています。
「その時はそれが恋だと思った。今は違うと分かる。他に出口がないので、私の中に
溜まっていた膿のようなものが、彼めがけて噴き出してしまっただけのことだと思う。
」(P290)
山本文緒の作品では、「恋愛中毒」の人気が、3年ほど前までは不動の第一位でした。
ところが、2020年に出た「自転しながら公転する」の人気は、それを上回るほどです。
「自転しながら公転する」は、文庫本にもなっているので、ぜひ読んでみたいです。
「ブルーもしくはブルー」や、「眠れるランプツェル」も面白そうです。
さいごに。(会員制高級リゾートホテル)
今日から1泊旅行に行きます。泊まるのは、なんと、会員制の高級リゾートホテル!
実は、友人の会社で会員になっているので、便乗させてもらうのです。楽しみです。
二度と恋しないと誓った「訳あり」女の、異常なまでに激しい恋を描いた物語です。
1998年刊行。吉川英治文学新人賞受賞。薬師丸ひろ子主演でドラマ化されました。
主人公で32歳の冴えない独身女の水無月(みなづき)は、弁当屋で働いています。
日常に埋没した平穏な生活は、作家の創路(いつじ)の来店から狂い始めました。
創路のファンであった水無月は、職場からほど近い創路の屋敷に立ち寄りました。
たまたまそれに気づいた創路は、水無月を寿司に誘い、ホテルに連れ込みました。
創路の事務所で働き始めた水無月は、少しずつ創路の女関係を知ることとなります。
創路は一度離婚し、娘はチュニジアにいて、現在は新しい妻と共に暮らしています。
「先生は何でもアリよ。自分さえよければ人のことはどうでもいいの。(中略)先生
と付き合っていきたいなら、早く他に男をつくることね。」(P127)
創路に振り回されながらも、しだいに彼にとって欠かせない存在となっていきます。
とうとう創路とふたりだけでバリに行き、楽しい時間を過ごすことができました。
ところで、水無月はかつて、藤谷という男と結婚し、そして離婚していたのです。
水無月は思い出します。もう二度と人を好きにならないと誓った日のことを・・・
「どうか、どうか、私。
これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
愛しすぎて、相手も自分もがんじがらめにしないように。
私は好きな人の手を強く握りすぎる。相手が痛がっていることすら気が付かない。
だからもう二度と誰の手も握らないように。
諦めると決めたことを、ちゃんときれいに諦めるように。二度と会わないと決め
た人とは、本当に二度と会わないでいるように。」(P37)
水無月はなぜ、藤谷と離婚したのか? なぜ、このような誓いをしたのか?
誓いを破り、覚悟を決めてのめり込んだ創路との恋愛は、うまくいくのか?
さて、私は最初この小説を、他人を愛しすぎてしまう女子の物語だと思いました。
不器用ゆえに、相手に尽くしすぎて、損ばかりしてしまう女子の物語だと・・・
ところが、なんと、ス〇ー〇ーの話だったとは!
水無月に同情しながら読んでいたので、終盤の展開にはぶったまげました。
「水無月さん、頭がおかしいんじゃないの?」
「やっと分かったのね」(P387)
この結末を、面白いと思うか、ヘンだと思うかは、非常に微妙なところです。
私自身は、少し後味の悪さを感じました。やっぱり、ちょっとヘンですよ。
しかし、林真理子が褒めているので、これは傑作なのでしょう。(なんじゃそれ?)
文章から、作者のセンスの良さを感じます。随所に名文がちりばめられています。
「その時はそれが恋だと思った。今は違うと分かる。他に出口がないので、私の中に
溜まっていた膿のようなものが、彼めがけて噴き出してしまっただけのことだと思う。
」(P290)
山本文緒の作品では、「恋愛中毒」の人気が、3年ほど前までは不動の第一位でした。
ところが、2020年に出た「自転しながら公転する」の人気は、それを上回るほどです。
「自転しながら公転する」は、文庫本にもなっているので、ぜひ読んでみたいです。
「ブルーもしくはブルー」や、「眠れるランプツェル」も面白そうです。
さいごに。(会員制高級リゾートホテル)
今日から1泊旅行に行きます。泊まるのは、なんと、会員制の高級リゾートホテル!
実は、友人の会社で会員になっているので、便乗させてもらうのです。楽しみです。
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