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デューン 砂の惑星2 [20世紀アメリカ文学]

 「デューン 砂の惑星(中)」フランク・ハーバート作 酒井昭伸訳(ハヤカワ文庫)


 砂の惑星アラキスに移ったアトレイデス家と、ハルコンネン家との闘いの物語です。
 1965年刊。ハヤカワ文庫で全三巻。今回は中巻「第二部 ムアッディブ」の紹介です。


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (中) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (中) (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫



 アトレイデス公爵が死んで、再びハルコンネン男爵家が、砂の惑星を支配しました。
 ポールと母ジェシカのソプターは砂嵐に入ったので、二人は死んだと思われました。

 ところがふたりは、危ういところを逃れて、砂漠の深奥部を彷徨っていたのです。
 ふたりは砂漠の民フレメンの部隊に発見され、その庇護を受けることとなりました。

 昔からフレメンには、次のような伝承があったのです。
 「ベネ・ゲセリットがきたりて、その息子がわれわれを楽園に導く」と。

 フレメンはジェシカこそ伝承のベネ・ゲセリットであり、巫女であると考えました。
 ただし伝承は、ジェシカが代理闘士を連れていて、決闘で勝つと伝えているのです。

 代理闘士は、弱冠16歳のポールでしかありえません。
 屈強なフレメンの男が、ポールに決闘を申し込み、ポールは受けるしかなく・・・

 中巻に入って、舞台はフレメンの世界である、アラキスの砂漠となりました。
 雰囲気ががらりと変わりましたが、ますます面白くなってきました。

 特に興味深いのは、なぜか急にポールが未来を予知できなくなったことです。
 予知の空白期が訪れ、ふたりは未来に通じる道筋から外れてしまいました。

 「今夜のいずれかの時点において、ポールは意思決定のひとつを通りすぎ、深い未
 知の領域に踏みこんでしまっていたのだ。自分を包みこむ時空域把握している。し
 かし、『ここ』と『いま』の連続体は、神秘的な『場』として存在していた。まる
 で、はるか遠くから谷底を覗きこんだとたん、自分自身の姿を見失ってしまったか
 のようだった。」(P65)

 予知できないということは、今彼らが未来の分岐点に立っているということです。
 それは、ポールとジェシカの行動次第で、未来が大きく変わるということです。

 「ここにはさまざまな可能性が沸きたち、集中している。ここでは、ほんのちょっ
 とした行動でも――片目をまばたきしたり、不用意な発言をしたり、砂を不適切な
 位置に動かしたり、といった程度のことでも――巨大な梃子に力を加えて、既知の
 宇宙を動かすこととなる。」(P220)

 現在、非常に重要な場面に入っています。
 ポールは、かつて何度も予知夢で見てきたフレメンの娘チェイニーと出会い・・・

 クライマックスの決闘でも、ポールは予知能力なしで、つまり自力で戦いました。
 闘いのあと、ポールはあえて予知のヴィジョンとは違うことをして・・・

 終盤、砂漠の中に隠された池が出てきて、フレメンの遠大な計画が垣間見えます。
 そして、ワームとメランジとの意外な関係も、少しずつ見えてきます。

 次は下巻に入ります。さまざまな謎がどのように明かされていくのか楽しみです。
 ポールはいかにして砂の惑星を救うのか? 本当に救うことができるのか?

 さいごに。(許しがたい愚行)

 7/2のストックホルムのダイヤモンドリーグで、信じられない事件がありました。
 400mH のゴールに、環境保護団体(本当に?)のメンバーが乱入したのです。

 彼らは数人で横断幕を広げて、ゴールする選手らを妨害したのです。
 世界最高峰の選手らを愚弄するような行為に、私は腹が立って腹が立って・・・

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