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二人の女王 [19世紀イギリス文学]

 「二人の女王」ヘンリー・ライダー・ハガード作 大久保康雄訳(創元推理文庫)


 アフリカの奥地にあるという白色人種の国を目指して、冒険する男たちの物語です。
 「ソロモン王の洞窟」の続編で、アラン・クォーターメンのシリーズの第2作です。


二人の女王 (創元推理文庫 518-3)

二人の女王 (創元推理文庫 518-3)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1975/02/14
  • メディア: 文庫



 アラン・クォーターメンは、ひとり息子に死なれて、悲しみのどん底にありました。
 彼は、この悲しみを癒してくれるのは、自然のエネルギーだけだと感じていました。

 「たしかに、悲しみにうちひしがれたときや、屈辱にまみれたときには、文明は、ま
 るで私たちの力になってくれない。そんなとき、私たちは、後へ後へとあとずさりし
 て、自然の大きな懐へとびこんで、子供のようにそこに身を横たえる。自然は私たち
 を慰め、痛みを忘れさせてくれるだろう。」(P14)

 そんな折突然、クォーターメンのもとへ、カーティス卿とグッド大佐が訪れました。
 この3人は、3年前に「ソロモン王の洞窟」を求めてアフリカを探検した仲間です。

 そして、「もう一度アフリカ探検に」という話になりました。あの大自然の中へ!
 3人は、ケニア山の奥にあるという、伝説の白色人種の国を目指して出発しました。

 途中、ズル人の老戦士ウンスロボガースを仲間に加え、一行はタナ河を遡ります。
 宣教師マッケンジーの伝導館においては、獰猛なマサイ族との殺戮戦がありました。

 一行のカヌーが洞穴に飲み込まれ、火柱が上がる水面を抜けて出た場所は・・・
 ズ・ペンディ国を統治するのは、ニレプタとソレイスという双子の美しい女王・・・

 この物語の魅力は、エキゾチックな雰囲気です。
 アフリカ奥地に謎の白人王国があり、ふたりの女王が治めている、という設定です。

 特に姉のニレプタは、情もあり知性もあり、たいへん魅力的に描かれています。
 そしてときどき、次のような気の利いたセリフを吐きます。

 「結婚とは、口をつけて飲むまではどんな味がするものか誰にもわからぬ酒杯のよう
 なものじゃ。」(P273)

 「幸福とは、めったに姿を見せぬ白い鳥のようなものじゃ。いま見かけたと思うと、
 あっという間に、はるか遠くへ飛び去り、いつしか雲のなかに姿を消してしまう。そ
 れゆえ、たとえ一瞬でも、その鳥がわたしたちの手にとまるようなことがあったら、
 しっかりつかまえておかなければならぬ。」(P313)

 双子姉妹の女王によって治められた王国は、微妙なバランスを保っていました。
 しかし、外部からの侵入者クォーターメンらによって、大きな内乱が勃発しました。

 その展開を、ロマンティックと言う人もいますが、私には少々愚かしく思えました。
 ふたりの女王は、内乱を避ける方法を、考えることができなかったのでしょうか?

 あっというまに国を割る内乱に突入してしまう展開は、いかがなものでしょうか?
 B級小説っぽい雰囲気にあふれています。そういうところは、嫌いでないのですが。

 ちなみに、B級っぽい感じをぎりぎりのところで救っているのが、作者の文章です。
 たとえば、読者は物語の中で、次のような素敵な文に不意に出会って驚くのです。

 「どんな真剣な事件にも、たいていユーモアという形の銀の縁がとり巻いていて、見
 る目さえあれば笑ってすまされるということを、私たちは心から感謝すべきであろう。
 ユーモアのセンスは、人生における貴重な財産の一つだ」(P277)

 ところで、結末はなかなか衝撃的でした。最も印象に残ったのは妹王ソレイスです。
 ひとりひとりに感謝の言葉を述べたあと、彼女はどのような行動に出たのか?!

 そして、ウンスロボガースの死! そして、クォーターメンの死!
 しかし、クォーターメンは、ファンに惜しまれて、のちに復活するのだそうです。

 さて、名作「洞窟の女王」にも続編があって、それが「女王復活」です。
 こちらも絶版です。もし手に入ったら、ぜひ読んでみたいです。


女王の復活 (創元推理文庫 518-4)

女王の復活 (創元推理文庫 518-4)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1977/03/18
  • メディア: 文庫



 さいごに。(奈良天理ラーメン)

 先日の奈良旅行の帰りに、「奈良天理ラーメン」というカップ麺を買いました。
 スーパーで250円ぐらいでしたが、これが、めちゃくちゃおいしかったです。


寿がきや 全国麺めぐり 奈良天理ラーメン 117g ×12個

寿がきや 全国麺めぐり 奈良天理ラーメン 117g ×12個

  • 出版社/メーカー: 寿がきや食品
  • 発売日: 2020/03/16
  • メディア: 食品&飲料



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