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19世紀イギリス文学のベスト20についてのコメント [19世紀イギリス文学]

 19世紀イギリス文学ベスト20についてのコメント


 前回、「文学全集 第Ⅱ集 19世紀イギリス編」と題して、20作品を選びました。
 http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
 今回は、その作品について、若干のコメントを書きます。

  1 「高慢と偏見」オースティン(1813年)ちくま2冊1996円
  2 「エマ」オースティン(1815年)ちくま2冊2100円

 オースティンが残した作品は、ほかに4作あります。
 「分別と多感」「ノーサンガー・アビー」「マンスフィールド・パーク」「説得」。
 そして、彼女の作品は、全て読む価値があると言われています。

 幸い、ちくま文庫から、全6作が中野氏の分かりやすい訳で出ています。
 その中から、二作だけを選びました。
 「高慢と偏見」「エマ」の二作は、必読書と言ってもいいかもしれません。

  3 「虚栄の市」サッカレー(1847年)岩波(第2巻のみ)840円

 サッカリーは、ディケンズと肩を並べていた存在ですから、外せません。
 代表作の「虚栄の市」を選びました。

 というか、「虚栄の市」以外、サッカリーは、文庫本化されていません。
 しかも、岩波文庫のこの本が、現在手に入りにくい状況です。
 なんとかしてほしいです。

  4 「ジェイン・エア」C・ブロンテ(1847年)新潮2冊1320円
  5 「嵐が丘」E・ブロンテ(1847年)岩波2冊1491円

 ブロンテ姉妹のこの二作は、絶対に外せないでしょう。
 「ジェイン・エア」「嵐が丘」とも、イギリス文学史にさん然と輝く名作です。

  6 「デヴィッド・コパーフィールド」ディケンズ(1849年)岩波5冊3675円
  7 「荒涼館」ディケンズ(1852年)ちくま4冊5040円
  8 「二都物語」ディケンズ(1859年)新潮2冊1080円

 さて、いよいよディケンズです。迷いました!
 「オリバー・ツイスト」も「大いなる遺産」も「クリスマス・カロル」も入れたい。

 しかし心を鬼にして、三作に絞りました。
 「デヴィッド・コパーフィールド」と「二都物語」は、優劣つけがたい名作です。
 世界的には最も読まれていると言う「荒涼館」も、外せないでしょう。

  9 「白衣の女」ウィルキー・コリンズ(1859年)岩波3冊2604円
 10 「月長石」ウィルキー・コリンズ(1868年)創元推理1260円

 一世を風靡したコリンズの作品です。
 「白衣の女」も「月長石」も、ともに読み始めたら止まりません。
 文学史的にも、最初期のミステリーとして、もっと評価してほしいです。

 11 「宝島」スティーブンソン(1883年)新潮540円
 13 「ジキル博士とハイド氏」スティーブンソン(1886年)新潮300円

 スティーブンソンも、決して忘れてはいけない作家です。
 「宝島」は冒険小説の古典、「ジキルとハイド」はサイコ・ミステリーの古典。
 もちろん、二作とも選びました。

 12 「ソロモン王の洞窟」ハガード(1885年)創元推理840円

 ハガードも迷いました。完成度で言えば、「洞窟の女王」が上です。
 しかし、映画化されて有名な「ソロモン王の洞窟」を選びました。
 本当は、二作セットで入れたいのですが。

 14 「ドリアン・グレイの肖像」オスカー・ワイルド(1890年)新潮620円
 17 「サロメ」ワイルド(1894年)岩波378円

 ワイルドは、19世紀末の世の中を、大いに沸かせた作家です。
 「ドリアン・グレイ」の退廃的な美は、世紀末文学を代表しています。
 「サロメ」の美は、ピアズリーの挿し絵とともに、永遠に残るでしょう。

 15 「テス」ハーディ(1891年)岩波2冊1554円
 18 「日陰者ジュード」ハーディ(1895年)中公2冊2600円

 文豪ハーディからは、代表作である「テス」と「ジュード」を選びました。
 どちらも、独特な宿命論を提示し、世の中に多くの影響を与えました。
 けなげに生きる女テスと、優柔不断な男ジュードは、好対照です。

 16 「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル(1891年)新潮580円

 ああ! もっとも悩ましかったのは、これです。
 本当は、「ホームズ・シリーズ」として、ホームズの短編をすべて入れたい。
 でも、それはズルかな、と思ったので、第1作の「冒険」だけを選びました。

 ドイルの作品が、一作だけなんて、実は不本意です。
 しかし、「パスカヴィル家の犬」が、20世紀編で選べるから、我慢しておこう。

 19 「タイム・マシン」ウェルズ(1895年)角川500円

 ウェルズも外せない。「宇宙戦争」と、どちらを選ぶか迷いました。
 「タイム・マシン」を考案したことは、画期的だと思うので、こちらを選択。
 本当は二作セットで入れたいのだけど。

 20 「闇の奥」コンラッド(1899年)古典新訳620円

 コンラッドの、「マーロウ」が語る海洋小説も、必ず選ばなければいけません。
 「闇の奥」は、その代表作。
 「ロード・ジム」の新訳が出たら、候補になるでしょう。


 ほかにも、文庫化されていないために、選ばれなかった作品があります。

 ・「ミドロージアンの心臓」(1818年)と「アイヴァンホー」(1819年)。
  ともに、スコットの歴史小説です。
  時々、岩波文庫で復刊されますが、読む気が起こらないような訳。

 それにしても、どうしてスコットは、日本でこれほどないがしろにされているのか。
 スコットのロマンあふれる作品を、私は文庫本で読みたいのだが。
 せめて、上記の二作は新訳で出してほしいです。

 ・「サイラス・マーナー」(1861年)と「ミドルマーチ」(1871年)。
  ともに、G・エリオット名作です。
  数年前までは、岩波文庫から出ていました。新版を出してほしい。

 G・エリオットのこの名作が、二つとも読めないなんて。
 新訳を出してくれたら、その出版社宛に、感謝の手紙を書きますよ。

 ・「オードリー卿夫人の秘密」ブラッドン(1862年)。
  最初期のミステリー小説のひとつ。
  文庫本はおろか、図書館で探しても、なかなか見当たりません。


 さいごに。

 金曜日に有給を取り、金土の二日間、親戚とキャンプに行きました。
 昨年は海に行き、暑すぎて失敗したので、今年は山へ行きました。
 これが我が家の、夏休み最大のイベントです。

 夜、温泉に入って、気分爽快になった後、突然の豪雨に襲われました。
 傘をさし娘をおんぶして、テントへ戻ったので、足がびしょびしょになりました。
 まあ、これも、思い返せば、楽しい思い出か。

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hayashi kiyotoshi

こんにちは。
翻訳をしているものですが、このたびアマゾンから「オードリー夫人の秘密」を出しました。宣伝がてらお知らせまで。
by hayashi kiyotoshi (2013-10-10 08:09) 

ike-pyon

ご訪問、ありがとうございます。
「オードリー夫人の秘密」は、ずっと読みたかった作品です。
チェックします。ありがとうございました。
by ike-pyon (2013-10-20 05:11) 

応報

こんにちは。
現在大学2年で、来年度1年間イギリスに留学できることになったので、英語学習を兼ねて英国文学を読みたいのですが、上記のもの以外におすすめのものがありましたら教えて頂きたいです。
by 応報 (2015-10-10 21:29) 

ike-pyon

 応報さん、ご訪問ありがとうございます。
 イギリス留学をするような、前途有望な若い方に、このブログを読んでもらえて、本当にうれしいです。
 私は研究者ではなく、仕事のかたわらで文学を楽しむだけの、単なる趣味人なので、いいアドバイスができるか分かりませんが、18世紀のフィールディングの「トム・ジョウンズ」や、20世紀のモームの「月と六ペンス」や「人間の絆」などはオススメです。
どちらもこのブログで取り上げていますので、よかったらご覧ください。
「トム・ジョウンズ」→http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-04-07
「月と六ペンス」→http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-05
「人間の絆」→http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-03
by ike-pyon (2015-10-11 20:06) 

応報

 ご丁寧にお返事ありがとうございます。
 いえいえ、今は有望などとんでもないことです。しかし、ぜひ1年後、そのように言われるに足る存在になれればと、そう言う気持ちで頑張ってこようと思います。
 ご紹介頂いた三作、必ず読破します。
 ありがとうございました。
by 応報 (2015-10-12 23:46) 

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