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すばらしい新世界 [20世紀イギリス文学]

 「すばらしい新世界」 ハックスリー作 松村達雄訳 (講談社文庫)


 機械文明の発達によって機械的に統制された国家を描いた、アンチユートピア小説です。
 この作品とザミャーチンの「われら」は、2冊で1セットでしょう。

 現在、講談社文庫で読むことができます。
 訳は分かりやすいです。カバーもなかなか味があります。


すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)

すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)

  • 作者: ハックスリー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1974/11/27
  • メディア: 文庫



 「すばらしい新世界」は、「われら」英訳の、8年後に出ました。
 統率された全体主義的な社会、性に対する規制、価値観の押し付け、高度に発達した文明…

 このように、「われら」のパロディーかと思われる箇所が、たくさんあります。
 作品全体にみなぎる皮肉なユーモアも、ザミャーチンを思わせます。

 さて、冒頭からすごいです。人々はビンの中で人工孵化され、人為的に階級が決められます。
 そして、睡眠時教育によって、それぞれの階級にふさわしく洗脳されるのです。

 清潔なビンの中で人工的に創造された人々にとって、親というのは、過去の野蛮な遺物です。
 母という言葉は、冗談を通り越して、ワイセツな表現。
 父という言葉は、ワイセツを通り越して、糞尿に近い表現(!)だと言います。

 一番笑えたのは、「フォード様」です。
 機械化によって安く大量生産されたT型フォードは、人々に豊かさと快適さをもたらし、
 機会至上主義のこの社会では、神格化されています。

 T型フォード誕生の年を、フォード紀元元年とし、人々は十字架ならぬT字架を身につけ、
 胸に十字ならぬT字を切り、「安自動車なるフォード様!」と口ずさみます。
 このバカバカしさ、サイコー。

 さて、人工孵化所で働くバーナードは、ある時恋人と二人で、野蛮人保存地区に行きました。
 そこで、野蛮人母子と出会い、この母子を連れ帰ることで、人生は一変し…
 そして、野蛮人母子の人生もまた…

 読後、虚無感に襲われるところも、ザミャーチンの「われら」と同様です。
 ところで、「われら」「すばらしい新世界」ときたら、次は「1984」を読むのが王道。
 でも、ちょっと、ひるんでしまう。

 さいごに。(絵本の内容を覚えていない)

 寒くて、眠い日が続きます。
 夜、娘に絵本を読み聞かせているうちに、眠気に襲われて、頭が朦朧となってしまいます。

 翌朝、娘は本の内容を覚えているのに、私の方が、全く覚えていなかったりします。
 このあいだ1ページとばして読んでしまったことを、娘の方が気付いて教えてくれました。

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