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ロシア文学案内 [19世紀ロシア文学]

 「ロシア文学案内」 金子幸彦 (岩波文庫)


 文学史を通して、ロシア文学の作品とその特徴を、解説した本です。
 少し前まで、岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れ中。


新版 ロシア文学案内 (岩波文庫)

新版 ロシア文学案内 (岩波文庫)

  • 作者: 藤沼 貴
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/04/14
  • メディア: 文庫



 うちには、1991年版がありました。旧版です。
 「ロシア」ではなく、「ロシヤ」となっていました。時代を感じます。
 今回、19世紀文学史をおさらいしたくて、約20年ぶりに再読しました。

 ロシアの19世紀は、祖国戦争の華々しい勝利で、始まりました。
 ナポレオン軍を追い払い、パリ入場を果たし、ロシア皇帝は凱旋しました。

 そして一方、戦いで血を流した農民や兵士たちは…
 戦争が終わると、再びもとの隷属状態に戻ったのです。

 パリで自由の空気に触れてきた士官たちは、そこに矛盾を感じました。
 なぜ或る人間が、同じ人間を、支配することができるのだろうか、と。

 そして、農奴制に対する批判が起こりました。
 同時に、農奴解放運動が始まりました。

 彼らは、文学の社会的役割を積極的に利用し、自らの考えを広めました。
 これ以後、ロシア文学は、社会運動に積極的に関わって行きます。

 社会では、デカブリスト、ナロードニキ、マルクス主義と、移りゆきます。
 こうした変遷の間中、文学は常に、社会的に重要な役割を果たしました。

 そのため、この本の記述も、社会思想に多くのページを割いています。
 例えば、社会主義者のゲルツェンやチェルヌィシェフスキーらの思想、
 批評家ベリンスキーやマルクス主義者プレハーノフの文学理論など。

 この本を読み終わったあと、むしょうに、ゲルツェンの「だれの罪か」と、
 チェルヌィシェフスキーの「なにをなすべきか?」を、読みたくなりました。

 しかし、現在は残念ながら出ていません。まあ、当然でしょうが。
 かつては、岩波文庫にあったようです。

 ところで、この「文学案内シリーズ」はフランス編もドイツ編もあります。
 ギリシア・ローマ古典編まであります。2月にはスペイン編も出ます。

 それなのに、それなのに、メジャーな英米文学編がない! なぜ?
 今後、全てをセットにして、最新版を出してほしいです。

 さいごに。(風邪) 

 最初に娘が風邪をもらってきて、それが妻に感染しました。
 そして、とうとう私の番です。
 現在、一家三人で、ゴホンゴホンとやっています。

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