SSブログ

どん底 [19世紀ロシア文学]

 「どん底」 ゴーリキイ作 中村白葉訳 (岩波文庫)


 安宿の地下室で、人生のどん底生活を送る人々を描いた戯曲です。
 ゴーリキイの代表作で、チェーホフの戯曲に並ぶ傑作です。

 現在岩波文庫から出ている中村訳は、1936年のもの。
 訳は、わりと分かりやすかったのですが…
 いくらなんでも、古すぎでしょう。活字は小さくて読みにくかったです。


どん底 (岩波文庫)

どん底 (岩波文庫)

  • 作者: ゴーリキイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1961/01
  • メディア: 文庫



 舞台は安宿、ほら穴のような地下室。
 ここに集う人々は…

 ドロボウ、売春婦、受刑者、巡査、暴力男と死にかけたその妻、
 落ちぶれた男爵、アル中の役者、安宿の老いた亭主とその悪妻…

 各人各様、人生のどん底を味わっています。
 それは、ある意味、人間以下の生活です。

 クレーシテ 「じゃあなにをすりゃいいんだい?」
 ペーペル  「なんにもしねえのよ…」
 クレーシテ 「じゃ、どうして食っていくんだい?」
 ペーペル  「だって人間は、みんな生きてるじゃねえか…」
 クレーシテ 「ここのやつらかい? あいつらが人間といえるかね?」

 そんな彼らのもとに、巡礼者のルカが紛れ込みます。
 ルカの言葉は彼らに、いっときの安らぎを与えますが…

 主人公らしい人はいません。
 強いて言えば、どん底の住人全員が、主人公でしょうか。

 その中で、巡礼者ルカは、何かを悟っているようで、少し異質です。
 彼が語る「真実の国を信じている人」の話は、なかなか傑作です。
 真実の国がどこにもないと知った、その男は…(P105)

 さて、作者はゴーリキーです。岩波文庫の表示は、ゴーリキイ。
 よく、ゴーゴリと、混同されます。私も混同していました。

 ゴーリキーは、社会活動家でもありました。
 のちにレーニンと知り合い、革命のために巨額の援助をしました。 

 そういう意味で、ロシアの歴史に、大きな影響を与えた人です。
 しかし、ロシア文学の歴史に、今でも輝いているのは「どん底」一編か。

 さいごに。(ランドセル)

 お店で取り置いてもらっていたランドセルを、とうとう購入しました。
 娘は大喜びです。さっそく背負って、家の中を歩き回っていました。
 ランドセルばかりが目立って、まるでランドセルが歩いているみたいです。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。