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幼年期の終り [20世紀イギリス文学]

 「幼年期の終り」 アーサー・C・クラーク作 福島正実訳 (ハヤカワ文庫)


 エイリアンの管理のもと、人類が幼年期を過ぎ、新たな存在となるまでの物語です。
 アーサー・C・クラークの最高傑作であり、SF史上の金字塔です。

 私が読んだハヤカワ文庫版は、長い間定番でした。訳は分かりやすかったです。
 2007年に、古典新訳文庫から新訳が出ました。読みやすいという評判です。


幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

  • 作者: アーサー・C・クラーク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1979/04
  • メディア: 文庫



幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: クラーク
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/11/08
  • メディア: 文庫



 宇宙時代の幕開けに、突然巨大な宇宙船の群れが、世界の都市の上空を覆いました。
 代表は地球総督カレルレン。地球人は彼らを「オーバーロード(上帝)」と呼びます。

 オーバーロードは姿を見せず、国連事務総長を通じて、平和的に地球を支配します。
 地球からは、戦争も貧困も差別も無くなり、人々の生活は格段に向上しました。

 一方で、オーバーロードによる支配に、不審の念を抱く者たちもいます。
 彼らはなぜ姿を隠しているのか? 彼らの目的はいったい何なのか?

 地球人を見守る存在がいて、なかなかその姿を見せない・・・
 その点が、「2001年宇宙の旅」と、少し似ています。

 さて、50年後にオーバーロードたちは、ようやく姿を現します。
 地球人を導いてきた彼らの姿はなんと・・・(!)

 しかし、本当に衝撃的なのは、最後の場面です。
 人類は変貌を遂げて・・・壮大というか、荒唐無稽というか・・・

 この作品は、深淵なテーマと哲学的な内容を持つため、賛否両論あるようです。
 若い頃の私は、オーバーロードのような存在に、反感を持ってしまいました。

 ところで、この種の作品で、断然オススメなのはホーガンの「星を継ぐもの」です。
 読み出したら止まりません。私にとって、ナンバー1のSF作品です。


星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1980/05/23
  • メディア: 文庫



 さいごに。(金時山)

 少し前に、家族3人で金時山に登りました。
 山頂からの富士山は、とてもきれいでした。
 しかし、すごい人混みで、座る場所を探すのさえ、ひと苦労でした。

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 追記(2020年5月14日)

 投稿から7年たった今、「幼年期の終わり」を古典新訳版で再読しました。
 ラストには改めて驚きました。これではSFというよりオカルトではないか!

 いったいオーバーマインドとは何か? 宇宙全体を包み込む集合精神なのか?
 それは神のような存在か? 第三世代は次元を超えて、神と一体化したのか?

 神と一体化したのだと解釈しても、読後、非常にむなしい気持ちになります。
 人類にとって、地球にとって、オーバーロードにとって、希望のない結末です。

 ところで訳者解説によると、本書は、欧米と日本では、読まれ方が違うのだそうです。
 欧米では人類超進化小説として、敗戦国日本では人類家畜化小説として読まれた・・・

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