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鷲は舞い降りた [20世紀イギリス文学]

 「鷲は舞い降りた」 ジャック・ヒギンズ作 菊池光訳 (ハヤカワ文庫)


 第二次大戦中に行われた、ドイツ落下傘部隊による、恐るべき作戦を描いた物語です。
 1975年に出てベストセラーとなり、冒険小説の大傑作と言われています。

 現在、ハヤカワ文庫から「完全版」が出ています。
 シンプルでとてもテンポの良い訳です。セリフがカッコイイです。


鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジャック ヒギンズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



 作者ヒギンズは、17世紀の人物の墓を探して、英国の小さな村の教会を訪ねました。
 目的の墓は無かったのですが、意外なものを見つけました。

 それは、1943年に戦死した、シュタイナ中佐らドイツ落下傘部隊の墓でした。
 こんな田舎になぜ? いったい、ここで何があったのか?
 1年の取材の後、闇に葬られていた一大作戦を、再構成したのがこの小説です。

 主人公は、落下傘部隊の勇士シュタイナと、アイルランド共和国軍の戦士デヴリン。
 二人は思いがけず、ある壮大な作戦に関わることになりますが…

 シュタイナとデヴリン。
 全く違う性格の二人ですが、最高のコンビでした。

 シュタイナは、歴戦の勇士で部下思い。理想的な上官です。
 「非常に頭がよくて、勇気があって、冷静で、卓越した軍人
 ―そして、ロマンティックな愚か者だ。」(P116)

 デヴリンは、怖いもの知らずで皮肉屋。実に面白い男です。
 「人生は不運な笑い草であったことを知り、それを笑う以外に
 なすすべがないと決めた男の顔であった。」(P138)

 また、第3の主役、軍情報局課長ラードルも、いい味を出しています。
 軍の幹部でありながら、上と下との板ばさみに苦しんでいます。

 ラードルの次の言葉が、この小説のテーマなのかもしれません。
 「この戦争では勝者はいないのだ。犠牲者しかいない。
 わたしたちみんなが犠牲者なのだよ」(P458)

 さて、物語は思いがけない展開をします。最後まで目が離せません。
 しかも、最後の最後に、大ドンデン返しが…

 読み終わった後も、いつまでも余韻に浸っていたくなります。
 幸い続編があります。その名も、「鷲は飛び立った」。(未読)


鷲は飛び立った (ハヤカワ文庫NV)

鷲は飛び立った (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジャック ヒギンズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



 「鷲は舞い降りた」は評判が良かったため、翌年には映画が上映されました。
 この映画もまた、傑作なのだそうです。レンタルされていたら、見てみたい。


鷲は舞いおりた [DVD]

鷲は舞いおりた [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • メディア: DVD



 さいごに。(100分de名著)

 Eテレ「100分de名著」で、トルストイの「戦争と平和」が取り上げられています。
 毎回楽しみに見ています。といっても、わずか4回。あと2回ですが。

 「戦争と平和」トルストイ
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-07-07 
    http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-07-28 
    http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-08-01

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