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二重人格 [19世紀ロシア文学]

 「二重人格」 ドストエフスキー作 小沼文彦訳 (岩波文庫)

 ある小役人が自分の分身に翻弄され、狂気に陥っていく過程を描いた物語です。
 「貧しき人々」に次いで発表された、ドストエフスキーの長編の第二作です。

 岩波文庫から出ています。初版は1954年。2014年現在72刷。
 訳は古く、活字は小さく、改行も少なくて、少し読みにくかったです。


二重人格 (岩波文庫)

二重人格 (岩波文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1981/08/16
  • メディア: 文庫



 9等官のゴリャートキンは、小心のくせにプライドは高い、小役人の典型です。
 自分がうまく立ち回れないのは、周囲の「敵」たちのしわざだと考えています。

 ある日、晩餐会を追い出された後、彼はもうひとりの自分を見かけました。
 翌日、職場に行くと、自分 とそっくりで同姓同名の男がいて・・・

 その男は何者か? その男はなぜ出現したのか?
 様々な謎を残したまま、物語はずんずん進んでいきます。

 とても面白くて、ワクワクしながら、いっきに読み終えました。
 当時は不評で、半ば忘れられていた作品だとは、とうてい思えません。

 タイトルは「二重人格」ですが、正確には「ドッペルゲンガー」です。
 雰囲気は、ホフマンの怪奇小説に似ていると思いました。

 どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。
 知らず知らず、非日常の世界に引きずり込まれていきます。

 この作品は、管理社会の重圧に押しつぶされる人間が、描かれているそうです。
 どこか現代にも通じる狂気を感じました。

 さて、ドッペルゲンガーといえば、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」が有名。
 「黒猫」に収録→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08

 ナボコフの「絶望」も、ある意味で、分身が登場する作品です。
 近日中に読んでみたいです。


絶望 (光文社古典新訳文庫)

絶望 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ウラジーミル ナボコフ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: 文庫



 ドストエフスキーの「貧しき人々」を、まだ読んでいませんでした。
 古典新訳文庫から、新訳が出ているので、読みたいです。


貧しき人々 (光文社古典新訳文庫)

貧しき人々 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ユニクロで当て逃げされました)

 土曜日の午後、ユニクロに行きました。店内にいたのはわずか15分。
 出てきたら、ミラジーノの前照灯横の部分が、大きくへこんでいました。

 駐車場に防犯カメラは無く、目撃者も見つからず、どうにもなりません。
 せめて、当て逃げした人が、今は後悔してくれているといいのですが。

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