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怒りの葡萄1 [20世紀アメリカ文学]

 「怒りの葡萄(上)」 スタインベック作 黒原敏行訳 (ハヤカワepi文庫)


 農地を追われた一家が、新天地カリフォルニアを目指して旅立つ物語です。
 ノーベル賞作家スタインベックの、代表作として知られています。

 昨年2014年の暮れに、ハヤカワepi文庫から新訳が出ました。上下二分冊。
 とても分かりやすくて親しみやすい訳です。カバー絵も味わいがあります。


怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: ジョン スタインベック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: ジョン スタインベック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



 epi文庫版が出るまでは、この作品の定番は新潮文庫版でした。
 訳が古いため、トムの言葉がいなかっぺなので、少し幻滅します。


怒りの葡萄 (上巻) (新潮文庫)

怒りの葡萄 (上巻) (新潮文庫)

  • 作者: スタインベック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/05/15
  • メディア: ペーパーバック



 トム・ジョードは30歳前の青年です。4年ぶりに故郷を目指しています。
 しかし、たどり着いた自宅には 誰もいなくて、農地は変わり果てていました。

 その年、厳しい日照りが地方一帯を襲い、大きな被害をもたらしたのです。
 銀行に土地を奪われた小作人たちは、故郷を追われて各地へ散っていました。

 トムは、伯父の家で、ようやく家族と再会しました。
 祖父母、両親、伯父、兄弟姉妹、妹の夫、元説教師。総勢13人です。

 数日後、家財道具を全て売り払い、全員が改造トラックに乗り込みました。 
 13人の思いを載せ、カリフォルニアを目指し、ルート66を行きますが・・・

 この作品の内容は、1930年代の大規模農業の進展を背景にしています。
 当時、農民たちの流出が、社会問題化されていました。

 大土地所有者が、土地を奪うために、いかにあくどいことをやってきたか!
 地元の警察が、移住民を追い払うために、いかに汚い手を使ってきたか!

 農地を追われた小作人たちが、いかに虐げられてきたか!
 ジョード家の人々が、いかに困難に耐えてきたか!

 読んでいて、作者の怒りが伝わってきます。これは、告発の書でもあります。
 出版直後から論争を呼び、州によっては、発禁処分にもなったようです。

 しかし、それにしても、ジョード家の男たち女たちはたくましいです。
 彼らは、どんな困難にぶつかっても、決してへこたれたりしません。

 中でも、最もたくましいのは、母親と、長兄のトムです。
 他人より苦労をしてきた分だけ、強くなったのでしょう。

 ああ、ユニクロで当て逃げされただけで、へこんでいた自分が恥ずかしい。
 (とはいっても、犯人はいまだに許せないのだが。)

 さて、現在上巻を読み終えたところです。
 様々な困難の末、ようやくカリフォルニアに到着しました。下巻も楽しみ。

 さいごに。(指輪が外れない)

 結婚指輪をちょっと外そうとしたのですが、指からまったく抜けません。
 指がパンパンに膨らんでいるためです。

 今年はなぜか、しもやけがひどいです。
 指輪が指に食い込んで、少し痛いです。

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