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背徳者 [20世紀フランス文学]

 「背徳者」 ジッド作 石川淳訳 (新潮文庫)


 病気療養中に肉体に目覚めた男が、回復後に快楽を追求する、背徳の物語です。
 ジッド自身が若い頃に、北アフリカ旅行で体験したことが描かれています。

 新潮文庫、岩波文庫、ちくま文庫などから出ていましたが、いずれも品切れ。
 新潮文庫版の訳は石川淳ですが、活字が小さくて読みにくかったです。

 
背徳者 (新潮文庫)

背徳者 (新潮文庫)

  • 作者: ジッド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/12
  • メディア: 文庫



 もし手に入るのなら、ちくま文庫版が、最も読みやすそうです。


背徳の人 (ちくま文庫)

背徳の人 (ちくま文庫)

  • 作者: アンドレ ジッド
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/04/09
  • メディア: 文庫



 古典学者のミシェルは、24歳で結婚しました。
 相手はマルスリイヌという20歳の美人ですが、愛情を感じていません。

 新婚旅行中、北アフリカで、ミシェルは吐血し、養生します。
 病気になって、ミシェルは初めて、自分の肉体が目覚めるのを感じました。

 マルスリイヌの献身的な看護によって、ミシェルは回復してゆきました。
 故郷に帰ったミシェルは、マルスリイヌを愛し、仕事に打ち込みます・・・

 ここまでが第一部。私はがっかりしました。
 「背徳者」どころではありません。これでは、模範的人間ですよ。

 第二部に入って、悪友のメナルクの影響により、彼は背徳の道へ進みます。
 良妻マルスリイヌにとっては、実に皮肉な展開になります。

 ところで、ジッドがオスカー・ワイルドらと交流を持っていたことは有名。
 この小説のモクティル青年とも、そういう関係だったのではないか?

 この作品は、背徳的な行為に至る過程に、多くの紙面を費やしています。
 私的には、背徳的な行為にふける場面を、もっと描写してほしかったです。

 さて、ジッドは、この作品の7年後に名作「狭き門」を書きました。
 ジッドの作品中、現在文庫で読むことができる、貴重な一冊です。

 さいごに。(ハンバーグとレモンジュース)

 うちの娘はプリンセスごっこをするときだけ、お上品な言葉を使っています。
 う〇こはハンバーグ、お〇っこはレモンジュースと言い換えています。


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