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怒りの葡萄2 [20世紀アメリカ文学]

 「怒りの葡萄(下)」 スタインベック作 黒原敏行訳 (ハヤカワepi文庫)


 農地を追われた一家が、カリフォルニアでたくましく生活する物語です。
 ノーベル賞受賞の、理由となった作品です。

 昨年2014年の暮れに、ハヤカワepi文庫から新訳が出ました。上下二分冊。
 前回、上巻を紹介しました。今回は、主に下巻の紹介です。


怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: ジョン スタインベック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: ジョン スタインベック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 新書



 総勢13人の大集団で、夢のカリフォルニアを目指したジョード一家。
 しかし、政府のテント村にたどりついたときには、8人に減っていました。

 家族は、少しずつちりじりになっていきます。
 一家の中心は、いつのまにか父から母に移っていました。

 様々な変化の中でも、変わらずふんばり続けるのはトムです。
 しかし、大規模な桃農園で、トムはある事件に巻き込まれてしまい・・・

 カリフォルニアにたどりつくまでが、とてもたいへんだったのに、
 たどりついてから、さらにいっそうの困難が待ち受けていました。

 大土地所有者が、賃金を下げるために、いかに狡猾な手を使ってきたか!
 警官たちが、流民を抑え込むために、いかに乱暴な手段を取ってきたか!

 この小説を最後まで読んで、私は「そりゃないだろう!」と思いました。
 問題は解決されず、解決する見込みもなく、何の希望もありません。

 ここに書かれていることは、現代にも通じることばかり。たとえばハケン。
 企業が、人々の賃金を下げるために、いかに狡猾な手を使ってきたか!

 さて、この小説は、トムが一家を離脱するところで終わっても良かった。
 それ以降は、後日譚的な物語のような気がしました。

 余談ですが、この作品は、スピルバーグによって映画化されるようです。
 映画の主人公はトムか、それとも母か。ちょっと気になります。

 スタインベックには、ほかにも「エデンの東」という傑作があります。
 ジェームス・ディーン主演映画としても、知られています。


エデンの東 新訳版 (1)  (ハヤカワepi文庫)

エデンの東 新訳版 (1) (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: ジョン・スタインベック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/01/24
  • メディア: 文庫



 さいごに。(初登山)

 日曜日に、今年初めての登山をしました。焼津の満観峰です。
 470mの低山なので、休憩を入れて4時間ほどでした。

 眺望の素晴らしさゆえ、全国から人がやってきます。
 この日も、富士山と駿河湾のすばらしい景色が見られました。

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