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事件の核心 [20世紀イギリス文学]

 「事件の核心」 グレアム・グリーン作 小田島雄志訳 (ハヤカワepi文庫)


 恋愛と神への忠誠心の間でもがき苦しむ、ある警察副署長の悲劇的な物語です。
 グリーンの代表作のひとつとして知られている小説です。

 ハヤカワepi文庫の「グレアム・グリーン・セレクション」の一冊です。
 2005年に出たときに読みました。訳は1982年のもので、分かりやすいです。


事件の核心 (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)

事件の核心 (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)

  • 作者: グレアム グリーン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫



 舞台は、西アフリカのイギリス植民地。主人公は警察副署長スコービー。
 彼は熱心なカトリックで、神の前で恥じることのない生活を送っています。

 スコービーには、気まぐれな妻ルイーズがいますが、すでに愛情はありません。
 ルイーズが南アフリカ 行きを希望した時、彼は費用を捻出し妻を送り出します。

 実はこの時スコービーは、悪党のシリア商人から金を借りたのでした。
 このことがきっかけで、スコービーの生活が、少しずつ崩壊していきます。

 ルイーズ不在の間に、スコービーは若い未亡人ヘレンと知り合って・・・
 お互いに惹かれるようになった二人は・・・

 グリーンの「情事の終り」を、2014年ナイス文庫賞に、私は勝手に選びました。
 この「事件の核心」も、それに劣らず、切なくて感動的な小説です。

 この作品もまた、不倫にまつわる恋愛小説です。
 そしてそれ以上に、神をめぐる哲学的な小説であります。

 事件の核心にいるのは、妻ルイーズでもなく、愛人ヘレンで もありません。
 事件の核心にいるのは、神です。

 神に対して忠誠でありたいために、神を裏切らなければならない・・・
 神を愛するゆえに、神から遠ざからなくてはならない・・・

 苦しい決断をせまられたスコービー。
 彼は救われるのでしょうか。とても考えさせられる内容です。

 さて、グリーンにはほかにも、「権力と栄光」という傑作があります。
 また、「負けた者がみな貰う」という面白そうな作品もあります。


権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫

権力と栄光 グレアムグリーンセレクション ハヤカワepi文庫

  • 作者: グレアム・グリーン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/09/08
  • メディア: 文庫



負けた者がみな貰う―グレアム・グリーン・セレクション (ハヤカワepi文庫)

負けた者がみな貰う―グレアム・グリーン・セレクション (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: グレアム グリーン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(インフル流行)

 娘のクラスで、インフルエンザが大流行しています。
 横の席の子も、後ろの席の子も、インフルエンザで休んでいます。

 心配です。娘は今シーズン、予防接種をしていません。
 昨年、予防接種をしていながら、A型にもB方にもかかったので。


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