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風と共に去りぬ2 [20世紀アメリカ文学]

 「風と共に去りぬ 第2巻」 M・ミッチェル作 鴻巣友季子訳 (新潮文庫)


 南北戦争時代の南部を背景に、大農園の娘スカーレットの半生を描いた長編小説です。
 出てすぐベストセラーとなり、映画も大ヒットしました。20世紀米文学の大傑作です。


風と共に去りぬ 第2巻 (新潮文庫)

風と共に去りぬ 第2巻 (新潮文庫)

  • 作者: マーガレット ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/28
  • メディア: 文庫



 南北戦争は長期化し、北軍による封鎖は厳しくなり、物資が不足していました。
 ダンスの晩以後、レットは度々スカーレットを訪ね、貴重な品を持ってきました。

 スカーレットはレットと交際しながらも、ずっとアシュリを愛し続けていました。
 戦争の3年目に4日間だけ帰還したとき、アシュリは意外なことを頼みました。

 「スカーレット、ぼくに代わってメラニーの面倒を見てくれないか?」
 この言葉はまるで遺言のように聞こえ、スカーレットに大きな影響を与えます。

 数か月後メラニーは妊娠したことが分かり、南軍が敗退したときに出産し・・・
 ヤンキーがアトランタに来ると聞いて、スカーレットはレットを頼り・・・ 

 第2巻はさらに面白いです。特に、スカーレットとレットのやり取りが面白い。
 また、この巻はレット・バトラーの魅力全開という感じです。

 「いくら罵倒されたって真実ですから、痛くもかゆくもありません。おおせのとお
 り私は下の下の人間です。いけませんか? ここは自由の国であり、人は自分の意
 志で下の下になることもできる。」(P38)

 ところが、自ら「下の下の人間」だと認めるレットが、最も真実を見通しています。
 たとえば、レットは戦争について、次のように公言しています。

 「しかしながら、戦う阿呆たちに演説屋がどんな掛け声をかけようと、戦争にどん
 な気高い目的を付与しようと、戦争をする理由はひとつしかありません。それは、
 金です。あらゆる戦争というのは実質、金の取り合いなのです。」(P55)

 レットは自分の欲望に忠実に生きています。ある意味、非常に分かりやすい。
 ところが、タラへ脱出する途中、現状を目の当たりにし、想定外の行動に出ます。

 「愛しているよ、スカーレット。わたしたちは似た者同士だからね。おたがい裏切
 り者だし、身勝手でどうしようもないやつだ。自分の身さえ安泰安楽であれば、全
 世界が滅びても屁とも思わない」(P398)

 この場面が、第2巻のクライマックスでしょう。
 レットはそれほど単純な男ではなかった。どこかミステリアスな面を持っています。

 さて、敵はアトランタを包囲し、味方は敗退し、アシュリは行方不明・・・
 多くの困難を乗り越えて、19歳の未亡人スカーレットはいっきに成長します。

 「〈タラ〉を捨てていくことなんてできない。此処がわたしのものだからというよ
 り、逆にわたしがこの赭土の土地のものだから。わたしは綿の木と同じく、血の色
 をしたこの土の奥深くに根を張り、養分を吸いあげてきた。〈タラ〉に留まって、
 ここを守っていく。」(P468)

 荒廃したタラで、スカーレットはいったいどんなふうに生きていくのでしょうか。
 第3巻も、とても楽しみです。

 さいごに。(長崎)

 平和公園に行ったら、平和祈念像を見なければ。核兵器のない世界になってほしい。

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 原爆資料館には、浦上天主堂の残骸がどかんと展示されていました。

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 現在の浦上天主堂には、被爆マリア像がいます。涙を流したことがあるとか・・・

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