メソポタミアの神話 [古代文学]
「メソポタミアの神話」 矢島文夫 (ちくま学芸文庫)
メソポタミアの神話の中で、特に重要なものを、分かりやすく紹介した入門書です。
1982年に「世界神話」シリーズの一冊として出た本が、2020年に文庫化されました。
メソポタミアの神話の中で、まっ先に思い浮かべるのは「ギルガメシュ」でしょう。
全Ⅳ章中、第Ⅲ章が「ギルガメシュ神話」に充てられ、本書の中心となっています。
森の怪物フンババの征討に向かうとき、親友であるエンキドゥはそれを止めました。
そのときギルガメシュはエンキドゥに対して、まるで悟ったようなことを言います。
「太陽のもとで永遠に生きるものは神々だけであって、人間が生きる日数というもの
は限られているのだ。」と。
しかしエンキドゥが死んだとき、ギルガメシュは初めて死の恐ろしさを感じました。
不死を探して旅に出て、その途上、酒屋の女将から、こんなふうに教えられました。
「神々が人間を創られたとき、生命は自分たちの手のうちにとどめておき、人間には
死を割りふられたのです。」と。
ギルガメシュは、不死の人ウトナビシュティムから、どのような話を聴いたのか?
ギルガメシュは、不死の秘密を手に入れることができたのか?・・・
「ギルガメシュ叙事詩」は、「不死の探求」をテーマにした神話です。
いや、聖典と言ってもいいかもしれません。内容は実に深遠です。
これまで、さまざまな「ギルガメシュ叙事詩」を読んできました。
本書「メソポタミアの神話」で、「ようやく決定版に出会った」という感じです。
同じ矢島文夫の「ギルガメシュ叙事詩」は、原文に非常に忠実に訳してあります。
しかし、忠実すぎてよく分かりません。粘土板の欠損部分も多くて話が飛びます。
「ギルガメシュ叙事詩」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2010-08-27
「シュメール神話集成」も、原文に非常に忠実で、分かりにくくなっています。
「シュメール神話集成」も「ギルガメシュ叙事詩」も、学術面を重視しています。
「シュメール神話集成」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-01-21
逆に、ガスターの「世界最古の物語」は、意訳のしすぎという感じがします。
「ほとんど別の作品ともいえるほどにリライトされて」いるそうです。(P195)
その点、本書「メソポタミアの神話」は、ほどよくまとまっていると言えます。
部分的に補筆したそうですが、とても分かりやすくて、ストレスなく読めました。
さて、この本にはほかにも、興味深い物語がいくつか収められています。
たとえば、マルドゥーク神話や、イナンナ(イシュタル)の冥界下り・・・
ちなみに、「イナンナの冥界下り」では、「肛門をかきむしって」という部分が、
見当たりませんでした。(「肛門を」については「シュメール神話集成」を参照)
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-01-21
しかし、私的にもっとも印象に残ったのは、「怪鳥ズー」です。
エンリル神の神殿を守る怪鳥ズーは、エンリル神に対する反逆を企みました。
エンリル神が水浴しているとき、神宝の「天命の書板」を奪って飛び去り・・・
「天命の書板」を持つ者こそが、神々と万物を支配すると言われていて・・・
「天命の書板」が気になります。何かのゲームか、ファンタジーに出てきました。
ここで言う書板とは、粘土板のことか。神による命令が記されるのでしょうか。
ちくま文庫には、ほかにも「エジプトの神話」や「ケルトの神話」もあります。
ちくま学芸文庫には「インド神話」や「北欧の神話」もあります。読んでおきたい。
さいごに。(コロナ後の過労)
今、コロナの休業分を取り戻そう(?)と、様々な仕事が重層的に進んでいます。
毎日3~4時間、そして土日にも、(手当のつかない)仕事が入ります。
私を含めて多くの仲間が、6月1週目の残業時間は、20時間を余裕で超えました。
今は「コロナよりも過労が心配」という状況。(平日の読書量は0ページだし。)
メソポタミアの神話の中で、特に重要なものを、分かりやすく紹介した入門書です。
1982年に「世界神話」シリーズの一冊として出た本が、2020年に文庫化されました。
メソポタミアの神話の中で、まっ先に思い浮かべるのは「ギルガメシュ」でしょう。
全Ⅳ章中、第Ⅲ章が「ギルガメシュ神話」に充てられ、本書の中心となっています。
森の怪物フンババの征討に向かうとき、親友であるエンキドゥはそれを止めました。
そのときギルガメシュはエンキドゥに対して、まるで悟ったようなことを言います。
「太陽のもとで永遠に生きるものは神々だけであって、人間が生きる日数というもの
は限られているのだ。」と。
しかしエンキドゥが死んだとき、ギルガメシュは初めて死の恐ろしさを感じました。
不死を探して旅に出て、その途上、酒屋の女将から、こんなふうに教えられました。
「神々が人間を創られたとき、生命は自分たちの手のうちにとどめておき、人間には
死を割りふられたのです。」と。
ギルガメシュは、不死の人ウトナビシュティムから、どのような話を聴いたのか?
ギルガメシュは、不死の秘密を手に入れることができたのか?・・・
「ギルガメシュ叙事詩」は、「不死の探求」をテーマにした神話です。
いや、聖典と言ってもいいかもしれません。内容は実に深遠です。
これまで、さまざまな「ギルガメシュ叙事詩」を読んできました。
本書「メソポタミアの神話」で、「ようやく決定版に出会った」という感じです。
同じ矢島文夫の「ギルガメシュ叙事詩」は、原文に非常に忠実に訳してあります。
しかし、忠実すぎてよく分かりません。粘土板の欠損部分も多くて話が飛びます。
「ギルガメシュ叙事詩」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2010-08-27
「シュメール神話集成」も、原文に非常に忠実で、分かりにくくなっています。
「シュメール神話集成」も「ギルガメシュ叙事詩」も、学術面を重視しています。
「シュメール神話集成」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-01-21
逆に、ガスターの「世界最古の物語」は、意訳のしすぎという感じがします。
「ほとんど別の作品ともいえるほどにリライトされて」いるそうです。(P195)
その点、本書「メソポタミアの神話」は、ほどよくまとまっていると言えます。
部分的に補筆したそうですが、とても分かりやすくて、ストレスなく読めました。
さて、この本にはほかにも、興味深い物語がいくつか収められています。
たとえば、マルドゥーク神話や、イナンナ(イシュタル)の冥界下り・・・
ちなみに、「イナンナの冥界下り」では、「肛門をかきむしって」という部分が、
見当たりませんでした。(「肛門を」については「シュメール神話集成」を参照)
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-01-21
しかし、私的にもっとも印象に残ったのは、「怪鳥ズー」です。
エンリル神の神殿を守る怪鳥ズーは、エンリル神に対する反逆を企みました。
エンリル神が水浴しているとき、神宝の「天命の書板」を奪って飛び去り・・・
「天命の書板」を持つ者こそが、神々と万物を支配すると言われていて・・・
「天命の書板」が気になります。何かのゲームか、ファンタジーに出てきました。
ここで言う書板とは、粘土板のことか。神による命令が記されるのでしょうか。
ちくま文庫には、ほかにも「エジプトの神話」や「ケルトの神話」もあります。
ちくま学芸文庫には「インド神話」や「北欧の神話」もあります。読んでおきたい。
エジプトの神話―兄弟神のあらそい (ちくま文庫―世界の神話)
- 作者: 矢島 文夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2020/05/17
- メディア: 文庫
さいごに。(コロナ後の過労)
今、コロナの休業分を取り戻そう(?)と、様々な仕事が重層的に進んでいます。
毎日3~4時間、そして土日にも、(手当のつかない)仕事が入ります。
私を含めて多くの仲間が、6月1週目の残業時間は、20時間を余裕で超えました。
今は「コロナよりも過労が心配」という状況。(平日の読書量は0ページだし。)
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