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蜘蛛女のキス [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「蜘蛛女のキス」 マヌエル・プイグ作 野谷文昭訳 (集英社文庫)


 同じ監房にいるゲイの男と社会主義活動家の、信頼関係と悲劇を描いた小説です。
 ほとんどが2人の対話で書かれています。映画やミュージカルにもなりました。


蜘蛛女のキス (集英社文庫)

蜘蛛女のキス (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/05/20
  • メディア: 文庫



 冒頭、男女の会話で始まります。女が話しているのは、映画のストーリーです。
 2人は、恋人同士なのだろうか? 場所は男の部屋だろうか?

 しかし、どこか違和感がある、と考えていると、いきなり不意を打たれました。
 女だと思っていたが、ゲイだった・・・そして、場所は監房の中だった・・・

 未成年者への性的誘惑で懲役を食らったモリーナは、オネエ言葉で話し続けます。
 やがて彼の思いやりは、社会主義活動家のヴァレンティンに通じていきます。

 ところが、モリーナがヴァレンティンの気を引くのには、ある目的があって・・・
 しかし、モリーナのヴァレンティンへの思いは、純粋なものになっていて・・・

 この小説の感動は、なんといってもモリーナの切ない思いにあります。
 そして、あの悲劇的な結末! 涙なしには読めません。

 この小説は、「ラテンアメリカ十大小説」で、9番目に取り上げられています。
 そして木村榮一は、次のように述べています。

 モリーナを警察は手先に使い、活動家は連絡係として利用し、死なせてしまった。
 ただモリーナだけが、純粋にヴァレンティンへの愛のためだけに生きた、と。

 ところがそれを台無しにしてしまうシーンがあります。監房の中の男同士の・・・
 このシーンのおかげで、所長の次の言葉が、私の頭に焼き付いてしまいました。

 「モリーナのような人間がどういう行動に出るかを予想するのは困難です、
 結局のところは変態ですから。」(P378)

 一方、ヴァレンティンはかっこいいです。彼もまた切ない。
 モリーナに、「男らしさとは何か」と聞かれて、こう答えています。

 「妥協しないこと、人にも、体制にも、金にも。まだ足りない、それは・・・
 自分のそばにいる人間に劣等感を持たせないこと、自分と一緒にいる人間に居
 心地の悪さを感じさせないことだ」(P103)

 この小説はベストセラーとなりましたが、映画もまた話題になりました。
 1985年にアメリカとブラジルで合作され映画は、数々の賞を受賞しました。


蜘蛛女のキス <HDニューマスター・スペシャルエディション> Blu-ray(特典なし)

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: Blu-ray



 さいごに。(半沢直樹、明日最終回)

 「半沢直樹」が、明日最終回となります。政府との戦いは、いったいどうなる?
 特に「3人まとめて1000倍返し」をどのように達成するか、とても気になります。

 余談ですが、箕部幹事長のモデルは、一般に小沢一郎氏だと言われています。
 しかし私には、箕部幹事長の顔が、二階幹事長と重なって見えちゃうのですが・・・

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