アンチクリストの誕生 [20世紀ドイツ文学]
「アンチクリストの誕生」 レオ・ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)
20世紀初頭に人気を博したペルッツを代表する、8編の幻想的な中短編小説集です。
ペルッツは、オーストリアで活躍したユダヤ系作家で、カフカと親交がありました。
冒頭の「主よ、われを憐れみたまえ」は、暗号解読にまつわる短編小説です。
物語は二転三転し、結末における言葉は、とてもイミシンで、興味深い作品です。
人生に絶望していたヴォローシンは、秘密警察に協力するよりも死を選びました。
しかし死ぬ前に妻に会いに行くことを願い出て、ロストフへの旅を許されました。
わずか5日間。そのわずか5日間で、ヴォローシンの考えが変わり・・・
わずか4時間。そのわずか4時間で、ヴォローシンの人生は変わり・・・
訳者あとがきにおけるこの短編の解説が、とても素晴らしかったです。
改めて読み直したとき、ヴォローシンの物語が反転して・・・
本書のタイトル「アンチクリストの誕生」は、作者の代表作ともなった中編です。
結末で明かされる真実。アンチクリストとは、いったい誰だったのか?
18世紀の中頃、クリスマス・イブに、靴直し職人の夫婦が男の子を授かりました。
その夜、靴直しの男は不思議な夢を見ました。3人が赤ん坊の前でひれ伏し・・・
聖書学に詳しい農夫は、男の夢を解いて言いました。「よくお聞き、靴屋さん。
あんたが見た三人は、地獄の王たちだ。あんたはアンチクリストの夢を見たんだ」
男は、アンチクリストである我が子から、世界を救済するために行動を起こし・・・
しかし妻は、我が子を守るために、ある方法に訴えて・・・
「月は笑う」も印象的な短編小説です。代々月に祟られてきた一族の物語です。
その末裔のサラザン男爵は、月への恐怖を克服するため、望遠鏡を使ったが・・・
「あれは何だ。月が空に現れて、笑っている。灯りのともる窓の奥を覘(のぞ)いて、
狂ったように笑っている。どういうことだ。月が笑っている。」・・・
この中短編集で、最も味わい深いのが、「霰弾亭」という中編です。
最後まで曹長に何があったのか分からないところが、何とも言えない余韻を残します。
フワステク曹長は、毎夜「霰弾亭」に通い、飲んでは喧嘩をして過ごしていました。
ところが曹長は、ある美しい女性との過去の思い出から、逃れられないようなのです。
「人は人と親しくはならない。覚えておけ、いいか。最上の友でさえ隣に立つにすぎな
い。同じ景色の前でだ。それを友情と呼ぼうが愛とか結婚とか呼ぼうが、同じ額縁にむ
りやり押し込むことでしかない。」(P183)
曹長の前に不意に現れたのは、中尉とそして、曹長の写真に写っていた女で・・・
「いいかお前、だしぬけに己の過去に出くわすほど恐ろしい災難はない。」・・・
ほか、死ぬ直前に、自分の研究をやり遂げた男の話「夜のない日」や、降霊術を扱った
「ボタンを押すだけで」など、この本には、不思議な話がいっぱい詰まっています。
私はペルッツを、ボルヘスに影響を与えた作家だと聞いて、興味を持ちました。
ちくま文庫からは、長編小説「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」も出ています。
さいごに。(タル鶏天)
久々に家族で丸亀製麺へ行きました。タル鶏天が2年ぶりに復活したためです。
タル鶏天ぶっかけは、20周年うどん総選挙で、12万票を獲得して圧倒的に1位!
現在、期間限定で復活しています。相変わらず、めっちゃおいしかったです。
ぜひ、定番メニューに加えてほしいです。次は赤辛タル鶏天ぶっかけを食べたい。
20世紀初頭に人気を博したペルッツを代表する、8編の幻想的な中短編小説集です。
ペルッツは、オーストリアで活躍したユダヤ系作家で、カフカと親交がありました。
冒頭の「主よ、われを憐れみたまえ」は、暗号解読にまつわる短編小説です。
物語は二転三転し、結末における言葉は、とてもイミシンで、興味深い作品です。
人生に絶望していたヴォローシンは、秘密警察に協力するよりも死を選びました。
しかし死ぬ前に妻に会いに行くことを願い出て、ロストフへの旅を許されました。
わずか5日間。そのわずか5日間で、ヴォローシンの考えが変わり・・・
わずか4時間。そのわずか4時間で、ヴォローシンの人生は変わり・・・
訳者あとがきにおけるこの短編の解説が、とても素晴らしかったです。
改めて読み直したとき、ヴォローシンの物語が反転して・・・
本書のタイトル「アンチクリストの誕生」は、作者の代表作ともなった中編です。
結末で明かされる真実。アンチクリストとは、いったい誰だったのか?
18世紀の中頃、クリスマス・イブに、靴直し職人の夫婦が男の子を授かりました。
その夜、靴直しの男は不思議な夢を見ました。3人が赤ん坊の前でひれ伏し・・・
聖書学に詳しい農夫は、男の夢を解いて言いました。「よくお聞き、靴屋さん。
あんたが見た三人は、地獄の王たちだ。あんたはアンチクリストの夢を見たんだ」
男は、アンチクリストである我が子から、世界を救済するために行動を起こし・・・
しかし妻は、我が子を守るために、ある方法に訴えて・・・
「月は笑う」も印象的な短編小説です。代々月に祟られてきた一族の物語です。
その末裔のサラザン男爵は、月への恐怖を克服するため、望遠鏡を使ったが・・・
「あれは何だ。月が空に現れて、笑っている。灯りのともる窓の奥を覘(のぞ)いて、
狂ったように笑っている。どういうことだ。月が笑っている。」・・・
この中短編集で、最も味わい深いのが、「霰弾亭」という中編です。
最後まで曹長に何があったのか分からないところが、何とも言えない余韻を残します。
フワステク曹長は、毎夜「霰弾亭」に通い、飲んでは喧嘩をして過ごしていました。
ところが曹長は、ある美しい女性との過去の思い出から、逃れられないようなのです。
「人は人と親しくはならない。覚えておけ、いいか。最上の友でさえ隣に立つにすぎな
い。同じ景色の前でだ。それを友情と呼ぼうが愛とか結婚とか呼ぼうが、同じ額縁にむ
りやり押し込むことでしかない。」(P183)
曹長の前に不意に現れたのは、中尉とそして、曹長の写真に写っていた女で・・・
「いいかお前、だしぬけに己の過去に出くわすほど恐ろしい災難はない。」・・・
ほか、死ぬ直前に、自分の研究をやり遂げた男の話「夜のない日」や、降霊術を扱った
「ボタンを押すだけで」など、この本には、不思議な話がいっぱい詰まっています。
私はペルッツを、ボルヘスに影響を与えた作家だと聞いて、興味を持ちました。
ちくま文庫からは、長編小説「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」も出ています。
さいごに。(タル鶏天)
久々に家族で丸亀製麺へ行きました。タル鶏天が2年ぶりに復活したためです。
タル鶏天ぶっかけは、20周年うどん総選挙で、12万票を獲得して圧倒的に1位!
現在、期間限定で復活しています。相変わらず、めっちゃおいしかったです。
ぜひ、定番メニューに加えてほしいです。次は赤辛タル鶏天ぶっかけを食べたい。
コメント 0