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復活の日1 [日本の現代文学]

 「復活の日」 小松左京 (ハルキ文庫)


 未知のウィルスによって滅亡に瀕した人類と、その復活の日を描いたSF小説です。
 1980年上映の映画も名作。新型コロナ感染流行によって、ふたたび注目されました。


復活の日 (角川文庫 緑 308-9)

復活の日 (角川文庫 緑 308-9)

  • 作者: 小松 左京
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/10/21
  • メディア: 文庫



 1969年2月。生物兵器として研究中のウィルスMM-88が、スパイの手に渡りました。
 ところがスパイの飛行機はアルプス山中で墜落し、MM-88はばらまかれたのです。

 同年春、世界のあちこちで疫病が発生し、大量の人々や家畜が死んでいきました。
 ワクチンも抗生物質も効果がなく、人々はなすすべもなく次々倒れていきました。

 人類は今、まったく新しいウィルスに襲われているのです。
 MM-88は国家機密であったため、人々に知られることがなく・・・

 「復活の日」は、新型コロナウィルスの登場によって、ふたたび注目されています。
 私も今更ながら読み、新型ウィルス「MM-88」のアイディアに驚きました。

 その原種は人工衛星が宇宙空間から採取したもので、地上では驚異的に増殖します。
 ー10度で増殖し始め、ー3度で増殖率は100倍、零度では驚異的な増殖をします。

 たちが悪いことに、それは核酸だけの存在で、他の宿主を隠れ蓑にしています。
 だから、原因を探ろうにもなかなか見つけることができません。

 しかもそれは、イギリスの研究所で秘密裏に研究されてきた、国家機密なのです。
 半年後に人類はほとんど絶滅し、生き残ったのは南極大陸にいた1万人のみです。

 作者小松左京は、社会の混乱する様子を、まるで見てきたように書いています。
 感染の拡大、経済の混乱、医療の崩壊、緊急事態宣言、人々の混乱・・・

 「医学は人命を救おうとする一方、呪わしい細菌兵器の研究にも利用されている」
 (P120)このような人類の矛盾と愚かさを、作者は伝えたかったように思います。

 しかし、作者がいちばん描きたかったのは、南極での人類の団結のように思います。
 残されたわずか1万人の、すでに国を失った人々の団結する姿を。

 「われわれは南極という共通の大陸にすむ、共通の運命にむすばれた単一の人間組
 織に――いやおうなしになりつつあります。(中略)われわれは――乏しい力をよ
 せあい、助けあって生きて行かねばなりません」(P277)

 小松左京はSF御三家のひとりですが、今では「予言者」とも言われています。
 現在、半分ほど読んだところです。後半も楽しみです。

 さいごに。(日本一大きな書店)

 先日の出張で、日本一大きな書店も見学しました。丸善ジュンク堂梅田店です。
 ひとつのビルが丸ごと書店になっています。うちの地元にもほしい!

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