復活の日1 [日本の現代文学]
「復活の日」 小松左京 (ハルキ文庫)
未知のウィルスによって滅亡に瀕した人類と、その復活の日を描いたSF小説です。
1980年上映の映画も名作。新型コロナ感染流行によって、ふたたび注目されました。
1969年2月。生物兵器として研究中のウィルスMM-88が、スパイの手に渡りました。
ところがスパイの飛行機はアルプス山中で墜落し、MM-88はばらまかれたのです。
同年春、世界のあちこちで疫病が発生し、大量の人々や家畜が死んでいきました。
ワクチンも抗生物質も効果がなく、人々はなすすべもなく次々倒れていきました。
人類は今、まったく新しいウィルスに襲われているのです。
MM-88は国家機密であったため、人々に知られることがなく・・・
「復活の日」は、新型コロナウィルスの登場によって、ふたたび注目されています。
私も今更ながら読み、新型ウィルス「MM-88」のアイディアに驚きました。
その原種は人工衛星が宇宙空間から採取したもので、地上では驚異的に増殖します。
ー10度で増殖し始め、ー3度で増殖率は100倍、零度では驚異的な増殖をします。
たちが悪いことに、それは核酸だけの存在で、他の宿主を隠れ蓑にしています。
だから、原因を探ろうにもなかなか見つけることができません。
しかもそれは、イギリスの研究所で秘密裏に研究されてきた、国家機密なのです。
半年後に人類はほとんど絶滅し、生き残ったのは南極大陸にいた1万人のみです。
作者小松左京は、社会の混乱する様子を、まるで見てきたように書いています。
感染の拡大、経済の混乱、医療の崩壊、緊急事態宣言、人々の混乱・・・
「医学は人命を救おうとする一方、呪わしい細菌兵器の研究にも利用されている」
(P120)このような人類の矛盾と愚かさを、作者は伝えたかったように思います。
しかし、作者がいちばん描きたかったのは、南極での人類の団結のように思います。
残されたわずか1万人の、すでに国を失った人々の団結する姿を。
「われわれは南極という共通の大陸にすむ、共通の運命にむすばれた単一の人間組
織に――いやおうなしになりつつあります。(中略)われわれは――乏しい力をよ
せあい、助けあって生きて行かねばなりません」(P277)
小松左京はSF御三家のひとりですが、今では「予言者」とも言われています。
現在、半分ほど読んだところです。後半も楽しみです。
さいごに。(日本一大きな書店)
先日の出張で、日本一大きな書店も見学しました。丸善ジュンク堂梅田店です。
ひとつのビルが丸ごと書店になっています。うちの地元にもほしい!
未知のウィルスによって滅亡に瀕した人類と、その復活の日を描いたSF小説です。
1980年上映の映画も名作。新型コロナ感染流行によって、ふたたび注目されました。
1969年2月。生物兵器として研究中のウィルスMM-88が、スパイの手に渡りました。
ところがスパイの飛行機はアルプス山中で墜落し、MM-88はばらまかれたのです。
同年春、世界のあちこちで疫病が発生し、大量の人々や家畜が死んでいきました。
ワクチンも抗生物質も効果がなく、人々はなすすべもなく次々倒れていきました。
人類は今、まったく新しいウィルスに襲われているのです。
MM-88は国家機密であったため、人々に知られることがなく・・・
「復活の日」は、新型コロナウィルスの登場によって、ふたたび注目されています。
私も今更ながら読み、新型ウィルス「MM-88」のアイディアに驚きました。
その原種は人工衛星が宇宙空間から採取したもので、地上では驚異的に増殖します。
ー10度で増殖し始め、ー3度で増殖率は100倍、零度では驚異的な増殖をします。
たちが悪いことに、それは核酸だけの存在で、他の宿主を隠れ蓑にしています。
だから、原因を探ろうにもなかなか見つけることができません。
しかもそれは、イギリスの研究所で秘密裏に研究されてきた、国家機密なのです。
半年後に人類はほとんど絶滅し、生き残ったのは南極大陸にいた1万人のみです。
作者小松左京は、社会の混乱する様子を、まるで見てきたように書いています。
感染の拡大、経済の混乱、医療の崩壊、緊急事態宣言、人々の混乱・・・
「医学は人命を救おうとする一方、呪わしい細菌兵器の研究にも利用されている」
(P120)このような人類の矛盾と愚かさを、作者は伝えたかったように思います。
しかし、作者がいちばん描きたかったのは、南極での人類の団結のように思います。
残されたわずか1万人の、すでに国を失った人々の団結する姿を。
「われわれは南極という共通の大陸にすむ、共通の運命にむすばれた単一の人間組
織に――いやおうなしになりつつあります。(中略)われわれは――乏しい力をよ
せあい、助けあって生きて行かねばなりません」(P277)
小松左京はSF御三家のひとりですが、今では「予言者」とも言われています。
現在、半分ほど読んだところです。後半も楽しみです。
さいごに。(日本一大きな書店)
先日の出張で、日本一大きな書店も見学しました。丸善ジュンク堂梅田店です。
ひとつのビルが丸ごと書店になっています。うちの地元にもほしい!
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