ジャン・クリストフ 第3巻 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(一)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行されました。岩波文庫(四分冊)の初訳はなんと1921年です。
今回紹介する第三巻「青年」までが、岩波文庫の1冊目に収められています。
父メルキオルが死に、弟たちが家を出て、クリストフと母は小さな家に変えました。
家主のオイレル家の人々は、16歳で母を養うクリストフに同情を寄せていました。
オイレル家では、娘のローザとクリストフが、お似合いの夫婦になると考えました。
しかしクリストフは、同じ間借り人のシングルマザーのザビーネに興味を持ちました。
ザビーネは怠惰でだらしないくせに、美しいがために多くの人に愛されていました。
クリストフとザビーネの交流は、オイレル家の人々から顰蹙を買うようになりました。
あるときザビーネに招待されて、彼女の兄の家に行き、隣の部屋に泊まりました。
クリストフは、扉ひとつを開ける決心がつかず、何事もなく帰って来たのでした。
その後、クリストフの演奏旅行中に、ザビーネはあっけなく死んでしまいました。
クリストフなかなか現実を受け入れられず、いつまでも立ち直れませんでした。
ところが、たまたま知り合ったアーダという娘と、その夜のうちに関係を持ち・・・
クリストフはアーダに夢中になりますが、アーダからひどい裏切りにあって・・・
第三巻「青年」は、ティーンエイジャー時代のクリストフを描いています。
主にクリストフの恋がテーマとなっているため、読んでいてとても面白いです。
家主の娘ローザ、子持ちの未亡人ザビーネ、軽薄なアーダと、3人の女が登場します。
中でも印象に残るのはザビーネです。彼女の死の場面は、ドラマティックでした。
クリストフが旅行に出る前、ザビーネは珍しく「行かないでください」と言いました。
このときザビーネは、何か悪い予感がしていたのかもしれません。
数日後の夜中、クリストフは悪夢で目覚めると、悲しい楽想が頭につきまといました。
ちょうどそのとき、ザビーネはインフルエンザで死んでしまっていたのです。
クリストフは初めて愛する者の死を体験し、その悲しみから抜け出せませんでした。
そして、扉一枚だけを隔てて夜を過ごしたあの農家を眺め、悲しみに浸るのでした。
ザビーネの思いがけない死は、クリストフの人生における最初の大きな挫折です。
その直後、クリストフはもうひとつの大きな挫折を経験します。アーダの裏切りです。
アーダが意外な男と関係を持っていたことを知り、クリストフは酒におぼれて・・・
転落し始めたクリストフを救い上げるのが、またしても叔父のゴットフリートです。
この場面がすばらしい。ゴットフリートはたった一言でクリストフを目覚めさせます。
「今晩は、●●●●●さん。」・・・相変わらず彼の言葉は、クリストフの心に沁みます。
「できることをしなければいけない・・・我が成し得る程度を。」(P539)
「英雄というのは、自分にできることをする人だ。」(P538)
このようにゴットフリートは、神の救いか神の天啓のように、突然物語に登場します。
そういえば、気になる箇所がありました。クリストフがある夜、幻覚を見る場面です。
「電光の閃きに、彼は見てとった、闇夜の底に、彼は見てとった―—おのれこそその
神であった。その神は彼自身のうちにあった。神は室の天井を破り、家の壁を破って
いた。存在の制限を破壊していた。空を、宇宙を、虚無を、満たしていた。」(P385)
これは、いったい何なのでしょうか。神の天啓でしょうか。
クリストフは突然、宇宙との一体感を得たように思えます。
さて、「ジャン・クリストフ」の第一巻から第三巻までを読み終わりました。
ここまでが、岩波文庫版の(一)です。次回からようやく(二)に入ります。
さいごに。(影響されやすいヤツ!)
なかなか登山に行けないうちに、私の登山シューズは経年劣化してしまいました。
しかし、とよさんの映像を見て、今年こそは登山に行くぞ、と今から思っています。
夏に必ず4連休をとって、池之平と仙人池を巡りたいです。
とよさんが使っているのと同じ360度カメラを買って、映像を持って帰りたいです。
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行されました。岩波文庫(四分冊)の初訳はなんと1921年です。
今回紹介する第三巻「青年」までが、岩波文庫の1冊目に収められています。
父メルキオルが死に、弟たちが家を出て、クリストフと母は小さな家に変えました。
家主のオイレル家の人々は、16歳で母を養うクリストフに同情を寄せていました。
オイレル家では、娘のローザとクリストフが、お似合いの夫婦になると考えました。
しかしクリストフは、同じ間借り人のシングルマザーのザビーネに興味を持ちました。
ザビーネは怠惰でだらしないくせに、美しいがために多くの人に愛されていました。
クリストフとザビーネの交流は、オイレル家の人々から顰蹙を買うようになりました。
あるときザビーネに招待されて、彼女の兄の家に行き、隣の部屋に泊まりました。
クリストフは、扉ひとつを開ける決心がつかず、何事もなく帰って来たのでした。
その後、クリストフの演奏旅行中に、ザビーネはあっけなく死んでしまいました。
クリストフなかなか現実を受け入れられず、いつまでも立ち直れませんでした。
ところが、たまたま知り合ったアーダという娘と、その夜のうちに関係を持ち・・・
クリストフはアーダに夢中になりますが、アーダからひどい裏切りにあって・・・
第三巻「青年」は、ティーンエイジャー時代のクリストフを描いています。
主にクリストフの恋がテーマとなっているため、読んでいてとても面白いです。
家主の娘ローザ、子持ちの未亡人ザビーネ、軽薄なアーダと、3人の女が登場します。
中でも印象に残るのはザビーネです。彼女の死の場面は、ドラマティックでした。
クリストフが旅行に出る前、ザビーネは珍しく「行かないでください」と言いました。
このときザビーネは、何か悪い予感がしていたのかもしれません。
数日後の夜中、クリストフは悪夢で目覚めると、悲しい楽想が頭につきまといました。
ちょうどそのとき、ザビーネはインフルエンザで死んでしまっていたのです。
クリストフは初めて愛する者の死を体験し、その悲しみから抜け出せませんでした。
そして、扉一枚だけを隔てて夜を過ごしたあの農家を眺め、悲しみに浸るのでした。
ザビーネの思いがけない死は、クリストフの人生における最初の大きな挫折です。
その直後、クリストフはもうひとつの大きな挫折を経験します。アーダの裏切りです。
アーダが意外な男と関係を持っていたことを知り、クリストフは酒におぼれて・・・
転落し始めたクリストフを救い上げるのが、またしても叔父のゴットフリートです。
この場面がすばらしい。ゴットフリートはたった一言でクリストフを目覚めさせます。
「今晩は、●●●●●さん。」・・・相変わらず彼の言葉は、クリストフの心に沁みます。
「できることをしなければいけない・・・我が成し得る程度を。」(P539)
「英雄というのは、自分にできることをする人だ。」(P538)
このようにゴットフリートは、神の救いか神の天啓のように、突然物語に登場します。
そういえば、気になる箇所がありました。クリストフがある夜、幻覚を見る場面です。
「電光の閃きに、彼は見てとった、闇夜の底に、彼は見てとった―—おのれこそその
神であった。その神は彼自身のうちにあった。神は室の天井を破り、家の壁を破って
いた。存在の制限を破壊していた。空を、宇宙を、虚無を、満たしていた。」(P385)
これは、いったい何なのでしょうか。神の天啓でしょうか。
クリストフは突然、宇宙との一体感を得たように思えます。
さて、「ジャン・クリストフ」の第一巻から第三巻までを読み終わりました。
ここまでが、岩波文庫版の(一)です。次回からようやく(二)に入ります。
さいごに。(影響されやすいヤツ!)
なかなか登山に行けないうちに、私の登山シューズは経年劣化してしまいました。
しかし、とよさんの映像を見て、今年こそは登山に行くぞ、と今から思っています。
夏に必ず4連休をとって、池之平と仙人池を巡りたいです。
とよさんが使っているのと同じ360度カメラを買って、映像を持って帰りたいです。
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