ジャン・クリストフ 第2巻 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(一)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全10巻で刊行されました。岩波文庫(四分冊)の初訳はなんと1921年です。
前回は全10巻中の第1巻「曙」を紹介しました。今回は第二巻「朝」を紹介します。
大公の御前の演奏会から三年ほどが経ち、クリストフは11歳になりました。
正式に宮廷音楽団のヴァイオリニストに任命され、自活する糧を得ました。
やがて一家を援助していた祖父が亡くなり、続いて父が音楽団から追われました。
クリストフは14歳にして家長となり、両親と弟2人を支えるため懸命に働きました。
あるときクリストフは船中で、豪商の子オットー・ディーネルと友達になりました。
クリストフは、初めてできた友達に夢中になり、ほとんど恋をしているようでした。
しかし、愛情のこもった手紙を弟から揶揄されて、二人にわだかまりが生じました。
文通は終わり、オットーは大学に進み、ふたりの友情(愛情?)は終わりました。
数か月後、枢密顧問官ケリッヒの未亡人が、娘ミンナとともに町に移り住みました。
夫人の同情を得た彼は温かく迎えられ、ミンナにピアノを教えることになりました。
クリストフが衝動的にミンナの手にキスしてから、お互いに愛を自覚し始めました。
やがてその気持ちは熱烈なものになり、ケリッヒ夫人の知るところとなって・・・
復活祭でワイマールへ旅出つ前、ミンナはクリストフに永遠の愛を誓ったが・・・
なぜミンナは変わってしまったのか? 旅の間にいったい何があったのか?
というように第二巻「朝」は、少年時代の男の友情と、男女の愛情を描いています。
不器用で意地っ張りなクリストフ少年がかわいいです。初恋を応援したくなります。
ミンナは少し薄情なようですが、お互いまだ子供なので、仕方がないことでしょう。
ふたりとも恋というものを知ったばかりです。まだ人生これからですし・・・
さて、クリストフがこの失恋を乗り越えるのは、意外にも父の死によってでした。
溺死した父の遺体を見て、クリストフは悟りました。ここがとても印象的でした。
「ミンナも、彼のほこりも、彼の恋愛も、ああ、いかにくだらないものであったか!
この現実、唯一の現実、死、それに比べては、すべてはいかにつまらないものであっ
たか! ついにはかなくなり果てるのならば、あんなに苦しみ、あんなに欲求し、あ
んなにいらだったのも、なんの甲斐があったのだろう。」(P325)
そしてこの直後、第二巻の末尾には、非常に興味深い場面があります。
それは「おのれの神の声」を聞く場面で、上記の思いに対する答えとなっています。
「死すべき汝は死へ行け! 苦しむべき汝は苦しみへ行け! 人は幸福ならんために
生きてはいない。予が掟を履行せんがために生きているのだ。苦しめ。死ね。しかし
汝のなるべきものになれ — 一個の人間に。」(P327)
どうせ死ぬのなら苦しむのはばからしい、というクリストフに、神は言っています。
それでも苦しめ、苦しんでから死ね、と。そして自分らしい人生を生きよ、と。
第一巻は幼年期を、第二巻は少年期を描いていました。
次の第三巻「青年」では、いよいよ青年期に入ります。楽しみです。
さいごに。(推しのユーチューバー)
最近、「とよの山遊び」というユーチューブのチャンネルにはまっています。
登山の様子を紹介していますが、映像がとても美しく、見ていて癒されます。
私は最近、仕事でまとまった休みが取れず、もう10年ほど登山に行っていません。
代わりに「とよさん」の山登りを見て、登山の爽快感を味わっています。
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全10巻で刊行されました。岩波文庫(四分冊)の初訳はなんと1921年です。
前回は全10巻中の第1巻「曙」を紹介しました。今回は第二巻「朝」を紹介します。
大公の御前の演奏会から三年ほどが経ち、クリストフは11歳になりました。
正式に宮廷音楽団のヴァイオリニストに任命され、自活する糧を得ました。
やがて一家を援助していた祖父が亡くなり、続いて父が音楽団から追われました。
クリストフは14歳にして家長となり、両親と弟2人を支えるため懸命に働きました。
あるときクリストフは船中で、豪商の子オットー・ディーネルと友達になりました。
クリストフは、初めてできた友達に夢中になり、ほとんど恋をしているようでした。
しかし、愛情のこもった手紙を弟から揶揄されて、二人にわだかまりが生じました。
文通は終わり、オットーは大学に進み、ふたりの友情(愛情?)は終わりました。
数か月後、枢密顧問官ケリッヒの未亡人が、娘ミンナとともに町に移り住みました。
夫人の同情を得た彼は温かく迎えられ、ミンナにピアノを教えることになりました。
クリストフが衝動的にミンナの手にキスしてから、お互いに愛を自覚し始めました。
やがてその気持ちは熱烈なものになり、ケリッヒ夫人の知るところとなって・・・
復活祭でワイマールへ旅出つ前、ミンナはクリストフに永遠の愛を誓ったが・・・
なぜミンナは変わってしまったのか? 旅の間にいったい何があったのか?
というように第二巻「朝」は、少年時代の男の友情と、男女の愛情を描いています。
不器用で意地っ張りなクリストフ少年がかわいいです。初恋を応援したくなります。
ミンナは少し薄情なようですが、お互いまだ子供なので、仕方がないことでしょう。
ふたりとも恋というものを知ったばかりです。まだ人生これからですし・・・
さて、クリストフがこの失恋を乗り越えるのは、意外にも父の死によってでした。
溺死した父の遺体を見て、クリストフは悟りました。ここがとても印象的でした。
「ミンナも、彼のほこりも、彼の恋愛も、ああ、いかにくだらないものであったか!
この現実、唯一の現実、死、それに比べては、すべてはいかにつまらないものであっ
たか! ついにはかなくなり果てるのならば、あんなに苦しみ、あんなに欲求し、あ
んなにいらだったのも、なんの甲斐があったのだろう。」(P325)
そしてこの直後、第二巻の末尾には、非常に興味深い場面があります。
それは「おのれの神の声」を聞く場面で、上記の思いに対する答えとなっています。
「死すべき汝は死へ行け! 苦しむべき汝は苦しみへ行け! 人は幸福ならんために
生きてはいない。予が掟を履行せんがために生きているのだ。苦しめ。死ね。しかし
汝のなるべきものになれ — 一個の人間に。」(P327)
どうせ死ぬのなら苦しむのはばからしい、というクリストフに、神は言っています。
それでも苦しめ、苦しんでから死ね、と。そして自分らしい人生を生きよ、と。
第一巻は幼年期を、第二巻は少年期を描いていました。
次の第三巻「青年」では、いよいよ青年期に入ります。楽しみです。
さいごに。(推しのユーチューバー)
最近、「とよの山遊び」というユーチューブのチャンネルにはまっています。
登山の様子を紹介していますが、映像がとても美しく、見ていて癒されます。
私は最近、仕事でまとまった休みが取れず、もう10年ほど登山に行っていません。
代わりに「とよさん」の山登りを見て、登山の爽快感を味わっています。
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