ジャン・クリストフ9 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(四)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(四)には、第九巻と第十巻が収められています。
今回は、第九巻「燃ゆる荊」です。物語の舞台がパリからスイスに移ります。
オリヴィエはある日、顔見知りの一家が、貧困のあまり心中したことを知りました。
オリヴィエは社会問題に関心を抱き始め、労働者階級と付き合うようになりました。
4月に、オリヴィエは流行性感冒で寝込み、クリストフに弱気な言葉を吐きました。
「僕は、君のこれから送る生涯を、少しも見ないで終わってしまうだろう」と。
5月1日のメーデーの日、クリストフはオリヴィエと一緒に街を散歩しました。
熱情のはけ口を探す群衆と、警官や兵士たちの間に、不穏な空気が流れていました。
騒動の中、子供を助けようとしたオリヴィエに、どこからか剣先が向かって・・・
クリストフもまた巻き込まれ、警官と争ううちに相手を刺してしまい・・・
という具合に、またもクリストフの運命は、意図せずして大きく転換していきます。
クリストフはスイスへ・・・その宿でオリヴィエの到着を待つシーンは名場面です。
「突然、扉を開ける音が聞こえた。なんとも言えぬある感情のために、彼は初め振り
向かなかった。一つの手が肩にのせられるのを感じた。そこで振り向いてみると、オ
リヴィエが微笑んで立っていた。彼は別に驚かなかった。そして言った。
『ああ、とうとう来たね!』
その幻影は消えた・・・。」(P117)
その後クリストフは、知り合いの医者エーリッヒ・ブラウンの世話になりました。
あるときクリストフが作った歌曲を、ブラウンの妻のアンナが情熱的に歌いました。
アンナはどんな行動に出るのか? クリストフとアンナはどんな約束をするのか?
第9巻も目が離せません。まさかスイスで、こんな展開が待っていようとは!
しかし、それ以上に衝撃的だったのは、「復活」の場面でした。
「復活を待つ」と言う狂人に驚愕し、森を歩くうちにクリストフは変容しました。
「クリストフはそこから出て、砕かれ、焼かれ、十年も老けていた—しかし救われ
ていた。彼はクリストフを打ち捨てて、神の中に移り住んだのだった。」(P254)
ここは理解しがたい場面ですが、それゆえに魅力的です。
天才は、ときにこういう超越的な神秘体験をするものです。
さて、次はいよいよ最終巻の第十巻です。
ここまで少しずつ少しずつ読んできました。名残惜しい気がします。
さいごに。(電動アシスト)
先日、娘に電動アシストの自転車を借りたら、あまりにも快適なので驚きました。
わが家へ向かう上り坂を、一度も自転車を降りずに、登りきることができました。
ちなみに、うちの最長老である私の自転車は、娘の中学時代のお古です。
娘には、高校入学と同時に、娘に言われるがまま、電動アシストを買いました。
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(四)には、第九巻と第十巻が収められています。
今回は、第九巻「燃ゆる荊」です。物語の舞台がパリからスイスに移ります。
オリヴィエはある日、顔見知りの一家が、貧困のあまり心中したことを知りました。
オリヴィエは社会問題に関心を抱き始め、労働者階級と付き合うようになりました。
4月に、オリヴィエは流行性感冒で寝込み、クリストフに弱気な言葉を吐きました。
「僕は、君のこれから送る生涯を、少しも見ないで終わってしまうだろう」と。
5月1日のメーデーの日、クリストフはオリヴィエと一緒に街を散歩しました。
熱情のはけ口を探す群衆と、警官や兵士たちの間に、不穏な空気が流れていました。
騒動の中、子供を助けようとしたオリヴィエに、どこからか剣先が向かって・・・
クリストフもまた巻き込まれ、警官と争ううちに相手を刺してしまい・・・
という具合に、またもクリストフの運命は、意図せずして大きく転換していきます。
クリストフはスイスへ・・・その宿でオリヴィエの到着を待つシーンは名場面です。
「突然、扉を開ける音が聞こえた。なんとも言えぬある感情のために、彼は初め振り
向かなかった。一つの手が肩にのせられるのを感じた。そこで振り向いてみると、オ
リヴィエが微笑んで立っていた。彼は別に驚かなかった。そして言った。
『ああ、とうとう来たね!』
その幻影は消えた・・・。」(P117)
その後クリストフは、知り合いの医者エーリッヒ・ブラウンの世話になりました。
あるときクリストフが作った歌曲を、ブラウンの妻のアンナが情熱的に歌いました。
アンナはどんな行動に出るのか? クリストフとアンナはどんな約束をするのか?
第9巻も目が離せません。まさかスイスで、こんな展開が待っていようとは!
しかし、それ以上に衝撃的だったのは、「復活」の場面でした。
「復活を待つ」と言う狂人に驚愕し、森を歩くうちにクリストフは変容しました。
「クリストフはそこから出て、砕かれ、焼かれ、十年も老けていた—しかし救われ
ていた。彼はクリストフを打ち捨てて、神の中に移り住んだのだった。」(P254)
ここは理解しがたい場面ですが、それゆえに魅力的です。
天才は、ときにこういう超越的な神秘体験をするものです。
さて、次はいよいよ最終巻の第十巻です。
ここまで少しずつ少しずつ読んできました。名残惜しい気がします。
さいごに。(電動アシスト)
先日、娘に電動アシストの自転車を借りたら、あまりにも快適なので驚きました。
わが家へ向かう上り坂を、一度も自転車を降りずに、登りきることができました。
ちなみに、うちの最長老である私の自転車は、娘の中学時代のお古です。
娘には、高校入学と同時に、娘に言われるがまま、電動アシストを買いました。
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