自由への道2 [20世紀フランス文学]
「自由への道(二)」 J・P・サルトル作 海老坂武・澤田直訳 (岩波文庫)
自由であることにこだわる哲学教師マチウを主人公とした、半自伝的長編小説です。
第一部「分別ざかり」と第二部「猶予」は、大戦直後の1945年に刊行されました。
本書は四部構成です。岩波文庫では、六冊に分けて収録しています。
今回はその二冊目です。第一部「分別ざかり」の後半部について紹介します。
ダニエルは夜、マチウの恋人マルセルの家にやって、彼女に直接尋ねました。
自分はあなたを助けられるが、あなたは本当は子どもが欲しいのではないのか、と。
彼の心のこもった言葉に、マルセルは思わず「子がほしい」と本音をもらしました。
ふたりの間には、愛よりも強い何かがあり、ひとつになったように感じていました。
その頃マチウは、ローラが踊っている店で、イヴィックとボリスと飲んでいました。
マチウに金ができるあてはなく、自分がまったく自由でないことを痛感しました。
「おれの自由なんて、ただの神話だ。(中略)おれの人生は機械みたいに正確にその
下で作られている。つまらぬものだ、何者でもありたくないという、つねに今の自分
とは別でありたいという、高慢で陰気な夢。」(P169)
ところがマチウは突然「自由」をかいま見るのです。「マルセルを捨てる」という。
しかし、そうする勇気もなく、「マルセルと結婚するしかない」と考え始めて・・・
マチウは金を作るために、つまり「自由」を守るために、どんな行動に出るのか?
ダニエルは、「何もかも片のつく手」があると言うが、それはどんな手なのか?
さて、二冊目に入って、マチウという男は、ますます愚かで滑稽に見えてきました。
そして、マチウの「自由」は、実にあっけなく崩壊してしまいます。
マルセルが妊娠したので、彼女から離れたくとも離れられません。
イヴィックが落第したので、彼女と離れがたくとも離れなければなりません。
マチウは高尚な生き方でもしているかのように、「自由、自由」と言っていました。
だけど、女二人を身近に置くこの心地よい状態を、永遠に続けたいだけなのでは?
そう、マチウの「自由」は、ただの幻想でした。最後にようやく彼は気づきました。
そして自分を何度も下司野郎と呼びます。この場面のマチウは、ちょっとかわいい。
ところで、ダニエルの行動には驚きました。終盤の展開はすばらしい。
第一部「分別ざかり」は、これだけで優れた長編小説と言って良いと思いました。
さいごに。(ごはん少なめのはずが)
おなか回りの脂肪を落とすため、最近、夕飯のごはんの量を少なめにしています。
ところが、そうすると少しもの足りないので、そのあとお菓子を食べてしまい・・・
これじゃ意味ないじゃん、と妻にも娘にもツッコミを入れられています。
確かに、お菓子を食べるぐらいなら、ごはんを多めにした方がいいかもしれません。
自由であることにこだわる哲学教師マチウを主人公とした、半自伝的長編小説です。
第一部「分別ざかり」と第二部「猶予」は、大戦直後の1945年に刊行されました。
本書は四部構成です。岩波文庫では、六冊に分けて収録しています。
今回はその二冊目です。第一部「分別ざかり」の後半部について紹介します。
ダニエルは夜、マチウの恋人マルセルの家にやって、彼女に直接尋ねました。
自分はあなたを助けられるが、あなたは本当は子どもが欲しいのではないのか、と。
彼の心のこもった言葉に、マルセルは思わず「子がほしい」と本音をもらしました。
ふたりの間には、愛よりも強い何かがあり、ひとつになったように感じていました。
その頃マチウは、ローラが踊っている店で、イヴィックとボリスと飲んでいました。
マチウに金ができるあてはなく、自分がまったく自由でないことを痛感しました。
「おれの自由なんて、ただの神話だ。(中略)おれの人生は機械みたいに正確にその
下で作られている。つまらぬものだ、何者でもありたくないという、つねに今の自分
とは別でありたいという、高慢で陰気な夢。」(P169)
ところがマチウは突然「自由」をかいま見るのです。「マルセルを捨てる」という。
しかし、そうする勇気もなく、「マルセルと結婚するしかない」と考え始めて・・・
マチウは金を作るために、つまり「自由」を守るために、どんな行動に出るのか?
ダニエルは、「何もかも片のつく手」があると言うが、それはどんな手なのか?
さて、二冊目に入って、マチウという男は、ますます愚かで滑稽に見えてきました。
そして、マチウの「自由」は、実にあっけなく崩壊してしまいます。
マルセルが妊娠したので、彼女から離れたくとも離れられません。
イヴィックが落第したので、彼女と離れがたくとも離れなければなりません。
マチウは高尚な生き方でもしているかのように、「自由、自由」と言っていました。
だけど、女二人を身近に置くこの心地よい状態を、永遠に続けたいだけなのでは?
そう、マチウの「自由」は、ただの幻想でした。最後にようやく彼は気づきました。
そして自分を何度も下司野郎と呼びます。この場面のマチウは、ちょっとかわいい。
ところで、ダニエルの行動には驚きました。終盤の展開はすばらしい。
第一部「分別ざかり」は、これだけで優れた長編小説と言って良いと思いました。
さいごに。(ごはん少なめのはずが)
おなか回りの脂肪を落とすため、最近、夕飯のごはんの量を少なめにしています。
ところが、そうすると少しもの足りないので、そのあとお菓子を食べてしまい・・・
これじゃ意味ないじゃん、と妻にも娘にもツッコミを入れられています。
確かに、お菓子を食べるぐらいなら、ごはんを多めにした方がいいかもしれません。
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