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デューン 砂の惑星3 [20世紀アメリカ文学]

 「デューン 砂の惑星(下)」フランク・ハーバート作 酒井昭伸訳(ハヤカワ文庫)


 砂の惑星アラキスに移ったアトレイデス家と、ハルコンネン家との闘いの物語です。
 1965年刊。ハヤカワ文庫で全三巻。今回は下巻「第三部 砂の惑星」を紹介します。


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (下) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (下) (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫



 ポールが、ムアッディブとしてフレメンに受け入れられてから、2年が経ちました。
 ポールは守り神となってフレメンを統率し、母のジェシカは教母となっていました。

 18歳のポールは巨大なワームに乗る儀式を終え、フレメンたちと南に向かいました。
 そこで奇しくも、密輸業者として身を隠す旧友ガーニ―・ハレックと再会しました。

 ところがガーニ―は、ジェシカを裏切り者だと思っていたので、殺そうとして・・・
 ポールの見てきた予知の中に、このようなパターンはまったく無かったため・・・

 「未来はーー灰色の暗雲に包まれた未来はーー沸きたつ焦点に向かって全宇宙が転が
 っていく感覚とともに、ポールのまわりに幻影世界のごとくまとわりついている。」
 (P172)

 ポールは伝説のクウィサッツ・ハデラックなのか? いかにしてそれを証明するか?
 ポール率いるフレメン軍団は、サーダカー五個軍団を相手に、どのように戦うのか?

 帝王皇帝シャッダム四世との会見、演算能力者ハワトの最期、教母ガイアとの再会、
 ハルコンネンとの最後の果し合い、そしてポールが皇帝となるための決断・・・

 ラストは怒涛の展開です。ただし、あまりにも展開が急激すぎだと思いました。
 最後はもう少し丁寧に描いてほしかったです。やや尻切れトンボのようでした。

 ポールはメランジを握っているとはいえ、あまりにもあっさり主導権を握りました。
 アトレイデス家を滅ぼした時の、男爵の用意周到さはどこへ行ってしまったのか?

 また、皇帝の娘イルーランは、最後にほんのちょっと登場するだけでした。
 しかし彼女もベネゲセリットであり、ポールの素質を一瞬で見抜くほどの人物です。

 このあとイルーランはどうなるのか? そしてチェイニーはどうなるのか?
 フレメンたちはどうなるのか? ポールは聖戦を防ぐことができるのだろうか?

 良くも悪くも、読後にややもの足りなさがあり、もっと読みたいと感じさせます。
 ぜひ続編の「デューン 砂の惑星 砂漠の救世主」も読んでみたいと思いました。


デューン 砂漠の救世主〔新訳版〕 上 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂漠の救世主〔新訳版〕 上 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2023/04/15
  • メディア: Kindle版



 ところで、このハヤカワ文庫版は、2016年発行の新訳版です。
 ところが「砂の惑星」は、この版が出る前まで何十年も絶版だったのだそうです。

 アメリカのオールタイム・ベストで不動の第1位の本作が、長年絶版だったとは!
 現在、この本がとても読みやすい新訳で刊行されて、我々は本当に幸せです。

 さて、第三巻の最後に付録(報告書のようなもの)が三つついています。
 ここまでを含めて小説です。この部分が意外に面白かったです。

 特に「附録Ⅲ ベネ・ゲセリットの動機と目的に関する報告書」は興味深いです。
 ここを読むと、人類よりさらに高次の力を持つ何者かがいることが分かるのです。

 さいごに。(なんで体育委員?)

 どのクラスも体育委員は運動神経抜群な人ばかりなのに、うちの娘も体育委員です。
 ジャンケンで負けたため、一番どんくさいうちの娘が、クラスを仕切っています。

 昨日の球技大会もつらかっただろうなあ。
 バレーボールのサーブでは、ボールをまともに前に飛ばすこともできないのだから。

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