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チボー家の人々1 灰色ノート [20世紀フランス文学]

 「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)


 3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
 全8部(新書で13巻)。第1部「灰色ノート」は1922年刊行。最終巻は1940年刊行。


チボー家の人々 1 灰色のノート (白水Uブックス 38)

チボー家の人々 1 灰色のノート (白水Uブックス 38)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1984/03/01
  • メディア: 新書



 14歳のジャック・チボーは、先生にノートを勝手に読まれたことに憤慨しました。
 そしてジャックは、級友のダニエル・フォンタナンとともに、家出をしたのです。

 ジャックとダニエルはマルセーユに1泊し、海を渡ってチュニス行こうとしました。
 ところが、乗船を頼むと船員たちに追われ、二人は離れ離れになってしまいました。

 一方、チボー氏と長男アントワーヌは、学校でジャックのノートを手渡されました。
 それは灰色のノートで、ジャックとダニエルとの交換日記のような内容でしたが・・・

 「ぼくらふたり、お互い同士ぼくらの愛の燃える相手であることを、未来永劫おぼえ
 ていよう。」(ジャックからダニエル P83)

 「ぼくの一生の物語は二行に要約される。ぼくを生かすものは愛。そしてぼくには、
 ただひとつの愛しかない、それはきみだ!」(ジャックからダニエル P91)

 これを読んだ先生やチボー氏らは、そこに同性愛の香りを嗅ぎ取って・・・
 それゆえ、ジャックが連れ戻されたあと、チボー氏は彼を隔離することにして・・・

 というところで、「灰色ノート」は終わりました。全13巻中のまだ第1巻です。
 わずか180ページ足らずの中編で、全体のプロローグのような役割を持っています。

 チボー家はカトリック教徒で、厳格な父親が支配しているブルジョワの家庭です。
 ジャックの母は亡く、真面目な兄アントワーヌと、妹と、お手伝いさんがいます。

 フォンタナン家はプロテスタントで、自由な気風で、優しい母が仕切っています。
 ダニエルには妹がいます。父は他の女のもとにいるので、母は離婚を決意しました。

 さて第1巻は、ジャックとダニエルの逃亡の失敗、幼い青春の挫折を描いています。
 このあとふたりはどうなるでしょうか? このあとの展開が気になります。

 さて、第1巻で印象深かったのは、ふたりが家出をして離れ離れになった場面です。
 そのときダニエルは、たまたま声をかけてくれた女について行って・・・

 このときの体験があったからこそ、ダニエルにとって家出は意味があるものでした。
 ダニエルにとってジャックはもはや友だちではなく、単なる子供になっていました。

 一方ジャックは、雷鳴の轟く夕立の中、ある会堂に入ってそこで「神」を感じ・・・
 この場面を読むと、ジャックはいつか天罰を受けるのではないかと考えてしまいます。

 「彼はとつぜん、自分の上に揺曳(ようえい)している、目に見えぬ《眼差し》を感
 じていた。それは、いかにかくされた意思のなかへでもはいり込み、それをあばかず
 にはいないところのものだった! 彼は、自分が重い罪びとであること、自分のここ
 にいることが、この清らかな場所をけがすものであること、したがって、天の高みか
 ら、神によって電撃されてもいたしかたないことをはっきりとさとった。」(P109)

 ところで、「チボー家の人々」13巻(12925円)をどこで購入するかが課題でした。
 私は幸い、アマゾン・アウトレットで「ほぼ新品」を半額ぐらいで買えました。

 ほんとうにラッキーでした。頻繁にアマゾンをチェックしていて良かったです。
 もし「ほぼ新品」が半額ぐらいで出ていたら、迷わず買いです。完全に新品なので。


チボー家の人々(全13巻セット) (白水Uブックス)

チボー家の人々(全13巻セット) (白水Uブックス)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2017/10/01
  • メディア: 新書



 さいごに。(糞づまりふたたび)

 先日、近所のおいしいケーキ屋でケーキを買って、家族3人で食べました。
 生クリームがとってもおいしかったのですが、効果てきめん、翌朝またも便が・・・

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