チボー家の人々2 少年園 [20世紀フランス文学]
「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)
3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
全8部(新書で13巻)。第2部「少年園」も1922年刊行、最終巻は1940年刊行です。
ジャックが、クルーイ感化院(少年園)に入れられてから、9か月が経ちました。
ジャックは15歳に、兄アントワーヌは24歳になりました。兄は弟を心配しています。
というのも、ジャックはダニエルに送った手紙で、体裁を取り繕っていたからです。
弟を救い出そうと考えたアントワーヌは、父の許可も取らず、少年園に行きました。
アントワーヌが少年園に着いたときは、弟の部屋はこざっぱりしていて清潔でした。
ところが、汽車に乗り遅れたアントワーヌが不意に戻ると、汚くなっていたのです。
午後の時間、兄弟で散歩をしながら話すうちに、少しずつ真相が見えてきて・・・
アントワーヌは、二週間のうちに自由にしてやると、ジャックに約束して・・・
第二巻「少年園」の前半は、アントワーヌが弟を救い出す場面が描かれています。
少年園はチボー氏の創設ですが、そこでの少年の扱いのひどさが強調されています。
たとえば園長は、園では処罰を行わず説得で更生させると、自慢げに話しています。
しかしその説得は、飢えた少年にごちそうの匂いを嗅がせながら行うと言うのです。
9か月間の監房生活で、ジャックは肉体的・精神的な圧迫を受けてきたのでしょう。
アントワーヌと再会したとき、家出事件当時の快活さはすっかり失われていました。
ボーイたちの悪行を、兄にさえ打ち明けられないジャックは、本当に傷ましいです。
精神的に追い込まれ、無気力状態となって、自由になることさえ欲しませんでした。
家に帰ってきても、まだおどおどしているジャック。
そんな弟に、アントワーヌが投げかける言葉が、印象に残りました。
「われわれチボー家のものは、ほかの人たちとはちがっている。われわれは、ほかの
人たちより、もっと余分のものを持っている。そして、ぼくは、それこそふたりが、
チボー家の人間だからにほかならないとさえ思ってるんだ。」(P164)
さて、「少年園」での読みどころは、むしろ少年園を出たあとの後半にあります。
ジャックとダニエルの恋が始まるからです。やっぱり面白いのは、恋ですよ、恋。
チボー家の家番が卒中で倒れて、急遽その19歳の姪リスベットがやってきました。
リスベットは、いつのまにかアントワーヌと関係を持つようになっていました。
面白いことに、アントワーヌは彼女に、ジャックを誘惑するよう唆しているのです。
おそらくこれは、ジャックに同性愛の疑いがあることを、心配してのことでしょう。
ジャックはリスベットに愛着を抱くものの、やがてリスベットは戻ってしまいます。
次にリスベットが来るのは、家番のおばが死んだときでした。
とうとうジャックとリスベットは関係を持つのですが、この場面が実に印象的です。
おばの遺体とジャックの間を往復する彼女は、死と生の世界を行き来するようです。
そして、死者を弔いながらジャックと結合する性愛の儀式は、荘厳でさえあります。
しかもそのとき彼女はおじとの結婚が決まっているので、禁忌を犯しているのです。
ジャックにとってこの経験は、一生に一度の決定的な出来事になったはずです。
その点、ダニエルの体験といかに違うことか。
さて、ここまで読んで、ジャックを中心に物語が進行していることに気づきました。
この先、彼らはどうなるのでしょうか。特にジャックは、どんな運命をたどるのか?
さいごに。(ジャックダニエル&コーラ)
ジャックダニエルというウイスキーがあります。若いころよく飲みました。
アメリカのテネシーウィスキーで、オールドNO.7がスタンダードな商品です。
最近、ジャックダニエルのコーラ割りで「ジャックコーク」なる商品が出ました。
試しに飲んでみたら、飲みやすくておいしかったです。クセになりそうな味です。
アマゾンのリンクは、あくまで参考に。ケースでの大量買いはお勧めしません。
スーパーで見かけたら一缶だけ買うのがオススメです。見かけなかったら買わない。
3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
全8部(新書で13巻)。第2部「少年園」も1922年刊行、最終巻は1940年刊行です。
ジャックが、クルーイ感化院(少年園)に入れられてから、9か月が経ちました。
ジャックは15歳に、兄アントワーヌは24歳になりました。兄は弟を心配しています。
というのも、ジャックはダニエルに送った手紙で、体裁を取り繕っていたからです。
弟を救い出そうと考えたアントワーヌは、父の許可も取らず、少年園に行きました。
アントワーヌが少年園に着いたときは、弟の部屋はこざっぱりしていて清潔でした。
ところが、汽車に乗り遅れたアントワーヌが不意に戻ると、汚くなっていたのです。
午後の時間、兄弟で散歩をしながら話すうちに、少しずつ真相が見えてきて・・・
アントワーヌは、二週間のうちに自由にしてやると、ジャックに約束して・・・
第二巻「少年園」の前半は、アントワーヌが弟を救い出す場面が描かれています。
少年園はチボー氏の創設ですが、そこでの少年の扱いのひどさが強調されています。
たとえば園長は、園では処罰を行わず説得で更生させると、自慢げに話しています。
しかしその説得は、飢えた少年にごちそうの匂いを嗅がせながら行うと言うのです。
9か月間の監房生活で、ジャックは肉体的・精神的な圧迫を受けてきたのでしょう。
アントワーヌと再会したとき、家出事件当時の快活さはすっかり失われていました。
ボーイたちの悪行を、兄にさえ打ち明けられないジャックは、本当に傷ましいです。
精神的に追い込まれ、無気力状態となって、自由になることさえ欲しませんでした。
家に帰ってきても、まだおどおどしているジャック。
そんな弟に、アントワーヌが投げかける言葉が、印象に残りました。
「われわれチボー家のものは、ほかの人たちとはちがっている。われわれは、ほかの
人たちより、もっと余分のものを持っている。そして、ぼくは、それこそふたりが、
チボー家の人間だからにほかならないとさえ思ってるんだ。」(P164)
さて、「少年園」での読みどころは、むしろ少年園を出たあとの後半にあります。
ジャックとダニエルの恋が始まるからです。やっぱり面白いのは、恋ですよ、恋。
チボー家の家番が卒中で倒れて、急遽その19歳の姪リスベットがやってきました。
リスベットは、いつのまにかアントワーヌと関係を持つようになっていました。
面白いことに、アントワーヌは彼女に、ジャックを誘惑するよう唆しているのです。
おそらくこれは、ジャックに同性愛の疑いがあることを、心配してのことでしょう。
ジャックはリスベットに愛着を抱くものの、やがてリスベットは戻ってしまいます。
次にリスベットが来るのは、家番のおばが死んだときでした。
とうとうジャックとリスベットは関係を持つのですが、この場面が実に印象的です。
おばの遺体とジャックの間を往復する彼女は、死と生の世界を行き来するようです。
そして、死者を弔いながらジャックと結合する性愛の儀式は、荘厳でさえあります。
しかもそのとき彼女はおじとの結婚が決まっているので、禁忌を犯しているのです。
ジャックにとってこの経験は、一生に一度の決定的な出来事になったはずです。
その点、ダニエルの体験といかに違うことか。
さて、ここまで読んで、ジャックを中心に物語が進行していることに気づきました。
この先、彼らはどうなるのでしょうか。特にジャックは、どんな運命をたどるのか?
さいごに。(ジャックダニエル&コーラ)
ジャックダニエルというウイスキーがあります。若いころよく飲みました。
アメリカのテネシーウィスキーで、オールドNO.7がスタンダードな商品です。
最近、ジャックダニエルのコーラ割りで「ジャックコーク」なる商品が出ました。
試しに飲んでみたら、飲みやすくておいしかったです。クセになりそうな味です。
ジャックダニエル&コカ・コーラ テネシーウイスキー 7% [チューハイ350ml×24本]
- 出版社/メーカー: コカ・コーラ
- 発売日: 2023/04/10
- メディア: 食品&飲料
アマゾンのリンクは、あくまで参考に。ケースでの大量買いはお勧めしません。
スーパーで見かけたら一缶だけ買うのがオススメです。見かけなかったら買わない。
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