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チボー家の人々6 ラ・ソレリーナ [20世紀フランス文学]

 「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)


 3人の青年たちが成長していく10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
 全8部(新書で13巻)です。第4部「ラ・ソレリーナ」は1928年の刊行です。


チボー家の人々 6 ラ・ソレリーナ (白水Uブックス 43)

チボー家の人々 6 ラ・ソレリーナ (白水Uブックス 43)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1984/03/01
  • メディア: 新書



 父のチボー氏は死の床にあり、医者のアントワーヌは余命わずかと診断しています。
 ジャックは3年前に家を出ています。そして、父は彼が自殺したと思い込んでいます。

 ところがアントワーヌは、ジャックがスイスで小説を発表したことを知りました。
 タイトルは「ラ・ソレリーナ(イタリア語で妹)」といって、自伝風の小説でした。

 アントワーヌは、その作品を読むことによって、ジャックの家出の原因を探り・・・
 彼がそこで読んだ衝撃の事件とは? その作品のタイトルに隠された意味は?

 第6巻「ラ・ソレリーナ」のクライマックスは、小説内小説「ラ・ソレリーナ」です。
 これを読み解くことによって、ジャックについてのさまざまな真相が分かります。

 推理小説的で面白い部分です。ただ、ジャックの家出には他の理由もありそうです。
 それが分かるのが、家出前日にジャックが、ジャリクール教授を訪問した場面です。

 教授は彼に言いました。「わたしはからっぽだ、もうおしまいの人間なのだ!」と。
 「書物を捨てるがいい。本能のままにやりたまえ!」と、入学前の彼に言うのです。

 「文明のひきずっているすべてのもの、良きも悪しきも、思いもよらないようなもの、
 二度とあり得ないというようなもの、すべてにしっかり目をあける! そうしたあと
 で、人間なり、社会なりーーまたあなた自身なりにたいして、はじめて口がきけるの
 だ!」(P198)

 これらの言葉によって、ジャリクール教授の印象は深く刻まれます。
 作者デュ・ガールは、このへんのことを最も伝えたかったのではないでしょうか。

 ただし、自分の道を歩み始めたジャックは、決してカッコよくはありません。
 苦労してきた兄のアントワーヌと比べたら、ただの甘ったれの小僧ですよ。

 ところで、ローザンヌで付き合っている怪しげな男たちは、何者かと思ったら・・・
 それが〇〇主義者たちだということに、私は「解説」を読んで初めて気付きました。

 さて、この巻は前巻「診察」の種明かしという役割を持っています。
 そして、次の巻「父の死」で、この長大な物語は前半を終わります。

 さいごに。(見放された自民)

 2名を補う東京都議選で当選したのは、都民ファーストの会と立憲民主党でした。
 自民党は僅差で落選。公明党との選挙協力を、復活させたのがいけなかったのでは?
 (お隣の埼玉でトンデモ条例を推し進めた自公への批判があったという指摘も)

 ところで、2位の立憲民主党の鈴木氏は、共産党の応援まで受けていたといいます。
 これはかえって鈴木氏にマイナスだったはずですが、それ以上に自民がダメだった!

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