SSブログ

チボー家の人々5 診察 [20世紀フランス文学]

 「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)


 3人の少年たちが成長していく10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
 全8部(新書で13巻)。第4部「診察」は1928年刊行で、最終巻は1940年刊行です。


チボー家の人々 5 診察 (白水Uブックス 42)

チボー家の人々 5 診察 (白水Uブックス 42)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1984/03/01
  • メディア: 新書



 この巻は、タイトルの「診察」が示す通り、アントワーヌの一日が描かれています。
 1913年10月13日の月曜日。「美しい季節」から3年、アントワーヌはもう32歳です。

 すでに信頼される医者となっており、さまざまな患者を相手に忙しく働いています。
 合間に父を診に行きますが、チボー氏の病は重く、余命あと2か月ほどのようです。

 第一次世界大戦間近の不穏な空気の中で、彼は自分の仕事を淡々とこなしています。
 かつて激しい恋に落ちた相手ラシェルのことを、すっかり吹っ切っているようです。

 気になるのは、弟のジャックが3年前に家を出ていて、ここには登場しない点です。
 しかも、父はジャックが死んだと思っているようです。いったい、何があったのか?

 ジャックは2年前、義妹のジーゼルにだけ、ロンドンにいることを示唆しています。
 ジャックを愛するジーゼルは、いつかロンドンに出て彼を探そうと考えています。

 この巻を最後まで読んでも、結局、ジャックの身に何があったのかは分かりません。
 ジャックはおそらく物語全体の主人公ですから、いつかは明かされるはずですが。

 この巻でのクライマックスは、同僚の医師ステュドレルとの安楽死の議論でしょう。
 アントワーヌは、ステュドレルの意見を正しいと感じながらも、賛成はできません。

 致死量の注射をうつだけで、赤ん坊もその両親も楽にしてあげられるのですが・・・
 アントワーヌはしかし、「生命の尊重」の観点から、その行為を完全に否定します。

 ところが彼は、さきほどネコの子たちを殺すよう言いつけたことを思い出すのです。
 この展開は、とてもよくできています。結局その日のうちに、赤ん坊も死んで・・・

 さて、この巻はわずか150ページほどでした。
 チボー家の変化を暗示するために挿入しただけの、つなぎの巻だったのでしょうか。

 さいごに。(まさか転ぶとは)

 先日、町内会対抗の運動会がありました。56歳の私は今年もリレーのアンカーです。
 4チーム中4位でバトンをもらって、全力疾走したら、なんと転んでしまいました。

 あとからビデオで見たら、まるでスローモーションのようによろけて転んでいました。
 もちろんビリでゴール。これを見て来年からは若い人が走ってくれるといいのだけど。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。